【日本薬学生連盟アンケート】「セルフM」「かかりつけ薬局」、薬学生は意識している?

2019年9月1日 (日)

薬学生新聞

はじめに

 近年、セルフメディケーションやかかりつけ薬局が注目されているものの、認知度は低い現状があります。これらの取り組みが今後発展いくことを目指し、日本薬学生連盟では、薬局およびドラッグストアの利用の現状について2018年から継続的に学生へのアンケートを通して調査を行っています。特に、薬学生新聞5月号では、薬局・ドラッグストアの利用目的と薬学生として薬局やドラッグストアに期待することについて整理しました。

 18年調査では、薬剤師との相談制度の充実化や、OTC医薬品購入者への声かけなどが必要であると考えると多くの学生が多かったものの、実際に薬局・ドラッグストアで薬や健康に関する相談をしたことがある人は、調査人数の3分の1ほどであり、薬学生であっても、セルフメディケーションやかかりつけ薬局が普及しているとは言い難い状況でした。

 しかし、セルフメディケーションおよびかかりつけ薬局は今後、さらに推進されていくものであり、最前線の立場となる薬学生は特に、上手に活用していくことが求められているでしょう。今回は、以前行った調査から約1年が経過した現在、意識が前回とどのように変わっているのか調査しました。(2019年度日本薬学生連盟広報統括理事=明治薬科大学2年 小倉由未佳)

セルフメディケーション・かかりつけ薬局、なかなか浸透せず

 まず、薬局・ドラッグストアを利用する目的を調べました。18年調査と同様に、保険調剤・OTC医薬品の購入、健康相談、薬に関する相談、衛生製品の購入、日用品および生活雑貨の購入、食品の購入、利用したことがない、といった八つの目的の中から利用目的を複数回答可で調査しました。

図:薬局の利用目的とそれぞれの割合 図:ドラッグストアの利用目的とそれぞれの割合 図

 その結果、今回の調査でも薬局では保険調剤が、ドラッグストアでは日用品や生活雑貨の購入が、主な利用目的となっていました。今回の調査対象者47人のうち46人が前回調査の対象でない学生であるにもかかわらず、18年調査の結果と19年調査の結果にはこれほど大きな正の相関があります。また、表に示すように18年、19年調査とも調査対象者の多くが1、2年生と薬学に関してそれほど多くの専門知識を学んでいない学生であり、どちらかといえば、一般的な傾向とそれほどかけ離れていない調査結果が反映されていると考えます。セルフメディケーションやかかりつけ薬局が推進され、適切に薬局・ドラッグストアを活用する方向性が示されていますが、社会に浸透していないことが示唆されます。

 実際、セルフメディケーションを意識している学生は19%、かかりつけ薬局を意識している学生は30%と課題が浮き彫りとなっています。

 次に、前回調査から変化があった項目について、考察してみます。18年調査では、薬局での薬に関する相談をする学生は3.4%であったのが19年調査では、10.6%まで上昇しました。この結果から、母集団を信頼区間95%で推定すると18年調査では、0%~7.36%であったものが19年調査の結果は、1.64%~19.63%となり、薬局において薬に関する相談をする学生が増えていることが示唆されます。

図:薬局の利用目的の推移 図:ドラッグストアの利用目的の推移

 さらに、セルフメディケーションやかかりつけ薬局を意識して、薬局やドラッグストアを利用している学生に注目をすると、ドラッグストアでOTC医薬品を購入する学生の割合が64.3%と11.1ポイント増となりました。つまり、セルフメディケーションやかかりつけ薬局を意識している学生は、薬局やドラッグストアをより適切に利用しているのではないでしょうか。

 そこで、回答した学生にセルフメディケーションやかかりつけ薬局を推進するためにアイデアを聞いたところ、「テレビで取り上げる」「ネットを利用したPRをする」、といった意見が挙がりました。セルフメディケーションやかかりつけ薬局を浸透させるための第一歩としてより社会全体の認知度を高める必要があると感じていることがうかがえます。

 一方で、学部2年生からは、「大学の授業で取り上げるべき」という意見がありました。薬学部とは言っても2年生までの授業でセルフメディケーションやかかりつけ薬局を取り上げていない大学もあるようです。学部高学年の調査も今後継続的に実施し、大学の授業を有効的に活用する手法についても考えていきたいと思います。

最後に

 今回は、セルフメディケーションおよびかかりつけ薬局の認知度向上を目的とした調査の18年調査および19年調査の結果について、簡単に比較考察を行いました。利用目的や認知度については、大きく変化していない状況が分かりました。一方で、セルフメディケーションやかかりつけ薬局を意識している一部の学生は、意識していない学生より、ドラッグストアを積極的に活用していることが示唆されました。

 さらに、認知度向上には、社会的な取り組みだけでなく、薬学部の授業を通した手法についても着目する必要があると考えられるでしょう。

 18年調査および19年調査では、学部低学年の回答者が多かったため、日本薬学生連盟では、学部高学年の調査も行い、大学の講義や実習による意識の変化について考えていきたいと思っています。



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