【日本CRO協会・学生向け業界説明会】CRO業務は多様化進む‐柔軟に対応できる人材が必要

2020年1月1日 (水)

薬学生新聞


日本CRO協会・学生向け業界説明会

 日本CRO協会は昨年10月に、就職活動中の大学生向けに業界説明会を開催した。昨年に引き続き、人事担当者と現場で活躍する先輩社員が学生に直接業界の魅力を語った。医薬品開発を受託するCROを取り巻く環境の変化が著しい中、柔軟に対応できる人材が必要になっている。植松尚会長はあいさつで、「CRO業務は多様化しており、勉強することもたくさん出てくる。治験の半分以上が国際共同試験であり、英語もできなければいけない。ただ業務を遂行するだけではなく、業界の中で自分が何にチャレンジできるかを考え、仕事を面白くしていくことが大切だと思う」と話した。

植松会長

植松会長

 同協会会員企業の総売上は、年々上昇傾向が続いていたが、18年は一部企業が他業務を分社化したのに伴い、前年比1.2%減の1901億円となった。しかし来年については、4.1%増の1979億円と再度拡大に転じると予想している。

 植松氏は、同協会が今年で設立25周年を迎えたことを説明した上で、「これまでサービス産業として活動してきたが、製薬企業からCROに様々な業務が委託され、ノウハウがどんどん蓄積されるようになった」と振り返った。

 その上で、「治験環境が変化している」とCRO業務の多様化を強調。医薬品開発は生活習慣病を対象とした大規模試験が主流だったが、希少疾患や抗癌剤といった専門性の高い新薬開発に移っている。医薬品の開発費用も増加し、臨床試験の業務も複雑化している中、製薬企業も開発業務の効率化を推し進めており、CROの専門性や柔軟性が求められてきた。

 臨床開発モニター(CRA)が行うモニタリング業務の手法も効率化・多様化している。「これまでは、CRAが各医療機関に訪問し、試験で得られたデータを全部確認していたが、今はITを活用してセントラルモニタリングを行い、集まったデータからリスクベースドアプローチ(RBA)で医療機関が行う工程でどこにリスクがあるかを分析しながら業務を行っている」と語った。

臨床試験に患者の声

 さらに、「最近では臨床試験の中に患者さんの声を取り入れるようになった。これまでは製薬企業が中心となって試験の計画書(プロトコル)を作成していたが、そこに患者さんの声を入れていく。個人情報が含まれたデータの取り扱いといった業務も変化している」と指摘。通院が難しい患者には、モバイルヘルスを活用して在宅でデータを取得する「バーチャル臨床試験」を紹介し、新たな形で実施される臨床試験の受託も増加していくとした。

 グローバル化、デジタル化、業務の複雑化に加え、抗体医薬品や再生医療、核酸医薬など開発品も多様化しており、モニタリング業務に人材を大量に投入する労働集約型のビジネスモデルから質的に転換していくことも説明した。「協会の賛助会員には、ビッグデータを扱うIT企業が続々入会するようになった。われわれの業務は単独で成り立つものではなく、様々な業界が持つ専門性をまとめて一つの臨床試験を行い、新薬の申請に向かっていく」と語った。

国際治験は英語必須

各社のブースでは、先輩社員が学生に業務内容を説明した

各社のブースでは、先輩社員が学生に業務内容を説明した

 説明会後には、各社のブースに分かれ、実際にCROで働いている先輩社員が学生に対し、業務内容を座談会形式で説明した。語学力の必要性についての質問に対し、「国際共同治験では、英語の種類を扱うことが多く、英語は入社後に英会話スクールに通うなどして頑張りました」と返答していた。

 また、抗癌剤の開発や薬事業務に興味を持つ学生に対しては、「自分が希望する仕事をある程度は要望することもできる。製薬企業の開発品では、癌領域が一番多く、チャレンジできる」「薬事業務では、医薬品開発に関わる様々な知識が要求されるので、ある程度キャリアを積んでからがいいのではないか」とアドバイスしていた。



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