【医学アカデミー薬学ゼミナール】薬剤師国家試験対策「知識の横断的な活用」

2020年11月1日 (日)

薬学生新聞


薬理科目責任者 猪又 雄太、病態・薬物治療科目責任者 後藤 健太、薬剤科目責任者 横井 宏哉

 多様かつ複雑な知識を必要とする医療の現場において、薬剤師が医療の担い手として役割を果たすには、修得した知識を最大限発揮して責任ある行動をとることが求められます。第106回薬剤師国家試験(国試)からは、「改訂コアカリ」で学んできた学生が「新出題基準」の適用される試験を受けます。既に近年の国試では、科目の壁を超えた問題など「総合的な知識」や「考える力」を必要とする出題が見られます。「改訂コアカリ」や「新出題基準」における新たな項目や、求められている臨床的知識について、近年の国試を例に紹介します。

薬理学と病態・薬物治療学の総合的な知識

 本設問は、近年、理論問題で出題されるようになった薬理学と病態・薬物治療学の連問で、痛風発作の治療およびその後の予防に関する問題です。

<問167解答> 4
<問168解答> 1

<横断的なアプローチ(病態から薬理へ)>

 病態では、様々な症状や検査結果から、患者の病態を的確に判断し、それを治療方針の決定につなげる能力が求められます。更に薬物治療を行う上での注意点を確認し、適切な薬物治療の実践を行うことが重要となります。

 薬理では、患者の症状から問題点を把握し、治療薬の選択を作用機序を考慮して導く力が求められています。今回の問題文には複数の検査結果が記載されていますが、「患者の抱える問題点は何か」を考え、治療薬の作用機序へとつなげていく必要があります。薬理学を単独で学修するだけでなく、薬物と病態(患者)をつなげる力を養っていきましょう。

<具体的なアプローチ>

問167

[1]共通リード文の嗜好と症状から疾患を推測しよう!

 患者の「日常、ビールを飲むことが多い」という習慣的な飲酒歴、「右足母趾の腫脹と痛み」という症状から高尿酸血症による痛風発作と予測します。

[2]リード文から目的を把握しよう!

 「患者が訴えている症状を速やかに改善させる」ためには、痛風発作の極期に使用される非ステロイド性抗炎症薬(ナプロキセン)を選択する必要があります。ここでのもう一つのPOINTは、痛風発作が悪化するため、痛風発作が生じていている患者に対しては、尿酸値を下げる薬物の投与開始はできない点です。

問168

[1]検査結果を理解しよう!

 尿酸値10.5mg/dLであり、高尿酸血症が確認できます。

[2]患者の原疾患も合わせて総合的に治療薬を選択しよう!

 高尿酸血症の治療には尿酸生合成阻害薬および尿酸排泄促進薬が用いられます。しかし、本症例のように「左腎結石を認める症例」では症状が悪化する恐れがあるため、尿酸排泄促進薬は使用できないところがPOINTです。

薬剤の知識を活用した臨床応用

 本設問は、薬物の体内動態の変化を考え処方変更・提案をする内容です。国試では実践問題において処方提案・変更に関する出題が増加しています。各科目の知識を実務につなげましょう。

<問266解答> 2
<問267解答> 1

<横断的なアプローチ(薬剤から実務へ)>

 薬剤の「物理薬剤学」で学ぶ各医薬品の物質の物性や、体内動態の特徴を確認することで、実践問題の薬物相互作用や医薬品の選択につなげることができます。

<具体的なアプローチ>

 本設問では薬物の溶解性を考えてアプローチします。エルロチニブは、難溶性薬物でかつ弱塩基性薬物です。そのため、エソメプラゾールの併用などにより胃内pHが上昇すると、分子形分率が上昇し溶解度が低下するため、消化管吸収が低下してしまいます。したがって、エソメプラゾールマグネシウム水和物カプセルの中止が望まれます。

医療系科目の対策

 具体例を提示したように、近年の国試では臨床現場を強く意識した問題が出題されています。特に医療系科目では、症例や処方箋を見て考える力が必要であり、薬理・薬剤・治療の知識を総合的に利用することが重要になっています。

 以下に、医療系科目の勉強方法について紹介しますので、国試に向けての学修に役立ててください。



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