ニュースダイジェスト 「薬事日報」の紙面から

2021年11月1日 (月)

薬学生新聞


調剤業務で規制緩和の動き‐一部自治体が検討進める

 薬剤師の調剤業務をめぐり一部の自治体で規制改革に関する要望が出されている。大分県津久見市は、離島のへき地などにいる患者に診療所に常駐する看護師が調剤を行い、医薬品の提供が可能とするよう提案したほか、岩手県矢巾町は小規模薬局の一包化調剤業務を大規模な調剤薬局に業務委託する構想を持つ。こうした規制改革の動きに対し、日本薬剤師会は「調剤業務の効率化だけではなく、薬局業務の高度化、地域医薬品提供体制の充実につながるかどうかの検討が必要」との姿勢を示し、新設したタスクフォースのもと調剤業務のあり方を検討する方向だ。

 10月3日にオンラインで開催された日本薬剤師会東北ブロック会議で報告されたもの。津久見市は、地方分権改革への要望として、香川県高松市、高知県、大分県、宮崎市と離島でオンライン診療を行う場合の調剤制限緩和を共同提案した。

 津久見市から船で20分の場所には離島があり、医師が週に3回程度、島に渡り診療を行っている。その島には常駐している薬剤師がおらず、市は看護師が医師や薬剤師の指示のもと調剤を行い、医薬品を提供することが可能になるよう国に規制緩和を求めている。

 これに対し厚生労働省は「看護師による調剤は薬剤師法で認められていないため難しい」と回答。「離島などの医薬品提供体制は、地域薬剤師会等の協力により、当該診療所に薬剤師を派遣するなどの対応をまず検討することが重要」との認識を示した。

 日薬の磯部総一郎専務理事は、「規制の特例よりも薬局の整備を議論するのが第一」と説明した。現在、大分県の薬剤師会や病院薬剤師会などと連携し、離島の診療所に薬剤師を常置で派遣することを検討している。

 政府のスーパーシティ型構想に名乗りを上げる岩手県矢巾町は、小規模薬局の一包化調剤業務を大規模な薬局に業務委託が可能になるよう規制改革を提案した。

 町には岩手医科大学附属病院があり、門前には調剤薬局チェーン、比較的人口が少ない周辺地域に十数軒の薬局が立地している。小規模薬局の薬剤師が対人業務の時間を確保するために、一包化調剤業務を他の薬局に委ねることを想定している。

 ただ、矢巾町側から薬剤師会・岩手医大に具体的な話は来ていないという。日薬は調剤業務の外部委託には反対の立場を取っており、岩手県薬から町に働きかけを行っている。

 調剤業務のあり方については、今後、厚労省「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」で議論が再開される見込み。日薬は「調剤業務のあり方は薬剤師会が考えるべき問題」との認識を示し、タスクフォースを設置した。AIやロボットなど調剤業務の技術のイノベーション、非薬剤師の活用などについて検討していく方針だ。

(2021年10月06日掲載)

地域連携薬局は全国740軒‐東京都が唯一の三桁台

 医薬品医療機器等法の一部改正で8月に認定薬局制度が施行され、2カ月が経過した。本紙が9月29日時点で回答が得られなかった新潟県を除く46都道府県の認定状況を調べたところ、地域連携薬局740軒、専門医療機関連携薬局45軒が認定されていた。地域連携薬局は東京都がトップの173軒、次いで大阪府、埼玉県、神奈川県と続き、滑り出しとしては概ね順調との評価だ。一方、専門医療機関連携薬局は軒数が二桁に届いた都道府県は未だになく、半数の道府県で認定薬局がゼロとなっている。

 本紙は9月29日時点で各都道府県がホームページ上で公表している情報を中心に地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の集計を行い、46都道府県の認定状況をまとめた。

 地域連携薬局が最も多かったのは東京都で都内薬局6895軒中173軒が認定を取得し、全国で唯一、三桁台となった。都は、「申請が出てきているので、200程度まで伸びると思う。まあまあのペースではないか」との認識を示し、今後も軒数が増加していくと見通した。

 大阪府は9月1日時点で75軒が認定を取得している。薬務課は「前月に比べて順調に増加している」とした。埼玉県は9月28日時点で66軒。地域の他の医療機関への情報提供回数月30回以上などの認定要件で「実績のある薬局が認定を取得している」(県保健医療部薬務課)と分析する。

 認定状況には地域差が見られており、認定薬局数一桁台は25道県に上る。福井県と宮崎県はゼロと認定薬局がまだ誕生していない。

 一方、抗癌剤などで癌治療を行う患者に専門的指導を行う専門医療機関連携薬局は、全国で45軒と出足が鈍い。トップの東京都が5軒、神奈川県が4軒、千葉県、福岡県、愛知県、群馬県が3軒と認定を取得していたのは23都府県にとどまった。

 認定要件が地域連携薬局と比べてもハードルが高く、ネックとなっているのが「癌に関する専門性の認定を受けた常勤の薬剤師を配置していること」で、認定を受けている薬剤師を確保できないことが課題となっている。公表されている認定薬局を見ると、癌治療を行う大学病院などの門前薬局や調剤薬局チェーンが大半を占めており、小規模の薬局が認定を取得するのが難しい現状が浮き彫りとなっている。

(2021年10月1日掲載)

【順天堂大学】24年4月に薬学部開設検討‐医療総合大学の特色出す

 順天堂大学は2024年4月に、千葉県浦安市の浦安・日の出キャンパスに6年制の薬学部薬学科(仮称)を開設するための準備を進めると発表した。今後、薬学部教員の構成や医療総合大学として薬学部の特色をどう打ち出していくか検討する。23年4月までに文部科学省に薬学部設置の申請を行う予定で、医学部や看護学部、六つの医学部附属病院と連携して研究マインドを持った臨床能力の高い薬剤師を養成していきたい考えである。

 順大は、医学部、スポーツ健康学部、医療看護学部、保健看護学部、国際教養学部、保健医療学部、医療科学部の7学部や大学院を擁する医療系総合大学。24年4月に浦安・日の出キャンパスに薬学部の設置を検討し入学定員数は160人でスタートする方針だ。薬学部を開設する構想を発表したことについて、順大新学部開設準備室は「タイミングを捉えての判断」とコメントしたのみで、設立の具体的な経緯や狙いは明らかにしていない。

 医学部附属病院や医学部・看護学部と“オール順天堂体制”による連携を通じて、研究マインドを持った臨床能力の高い薬剤師の養成を目指す。こうした研究体制を強みに、将来的には大学院設立も構想に入れているという。

 大学薬学部をめぐっては、新設ラッシュが続き、入学定員数が大幅に増加し、現在は4年制を含めると77学部で入学定員は1万3050人に膨れ上がっている。それに対し、20年度の入学充足率で全国私立大学薬学部・薬科大学の約4割が90%以下となっているのが現状だ。

 特に18年以降に新設された5大学・学部のうち、岐阜医療科学大学は20年度充足率が79%、21年度は78%と2年連続で定員割れとなっている。神奈川県の湘南医療大学は定員130人に対して入学者数はわずか34人にとどまり、充足率は26%と低調だった。

 将来的に薬剤師が過剰になるとの需給推計結果を踏まえ、定員割れが相次ぐ大学薬学部の新設については「慎重に考えるべき」との声が上がる。入学志願者数が減少し、大学間競争も激しくなる中、順大は他の医療系学部との多職種連携を前提とした薬剤師教育をアピールし、差別化を図りたい考え。

(2021年10月15日掲載)



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