【日本薬学生連盟】どうする就活、進路選択‐先輩薬剤師2人に聞く

2022年11月15日 (火)

薬学生新聞

 日本薬学生連盟広報部は、高知市に本社を置き薬局を展開するブルークロスで薬剤師として働く2人の先輩に、進路選択やキャリア設計についてお話を伺いました。高井薫子(東京薬科大学薬学部2年生)、杉林澪(慶應義塾大学薬学部3年生)、羽渕仁哉(東北大学薬学部1年生)がインタビュアーとなって先輩から教えを受けました。先輩方が就職先を選んだ理由や就職のために行ったことを、皆様のこれからの進路選択に役立てていただければ幸いです。

橋崎 友厚さん(東邦大学薬学部卒)

多くの人に会い話を聞く
橋崎友厚さん

 ――今の進路を選択された時期とその理由を教えてください。

 3年生の夏頃から進路をぼんやりと考え始め、最終決定したのは5年生の3月頃でした。最終的に現在の薬局に就職したのですが、当初は企業志望で製薬会社や化粧品会社への就職を考えていました。

 なぜ企業志望から薬局志望に変わったのかというと、実家が薬局を営んでいたからです。自己分析をする中で、家業を継ぎたいということが判断基準だったと気づき、企業だとその基準からはずれてしまうので薬局に就職しました。

 ――当初は企業を志望した理由を教えてください。

 就職を意識し始めたころは、営業さえできればやっていけると考えていました。企業によって売るものが変わるだけで、何かを伝える、売るというスキルを身につければどんな業界でも生き残れると思っていました。人にうまく売り込む力があれば仕事には困らないはずです。当時は薬剤師の資格だけではやっていけないとも感じていました。4年生で日本薬学生連盟に入り、財務部での活動や社会人との交流を通じて、将来はMRになりたいと考えました。

 ――就職を意識してから最初に行ったことは何ですか。

 最初はインターンシップに行きました。1年浪人していたので、進路を考え始めた3年生の夏は、文系の友人の多くが就職先を決めた時期でした。高校時代の友人に会った時に就職の話になり、自分も何か行動に移さないといけないと感じました。学生のうちはいろいろな企業を比較できるというアドバイスを社会人の方からもらったので、3年生でも参加可能な薬局のインターンシップに申し込みました。それが現在勤めている会社です。

 ――就職活動でやって良かったこと、やっておけば良かったことを教えてください。

 やって良かったことは自己分析です。5年生になる頃から始めました。当時の日本薬学生連盟の先輩が就活のために自己分析をしていて、その話を聞いて真似しました。今までの経験を振り返ってノートに書きだしたり、日本薬学生連盟の同期や友人に自分の良いところや悪いところを聞いたりして、自分自身を客観的に捉えようとしました。

 同時期に、製薬会社と薬局に勤務する6人のOBやOGを訪問しました。学生の訪問は受け入れてもらえます。学生という立場を最大限に生かせるOBやOGの訪問をもう少し行うべきでした。

 ――5年生になると実務実習などで就職活動にあまり時間を割けないと思うのですが、その期間の両立について教えてください。

 実務実習は9~17時で、実習後の時間を使えたので、思っていたより時間に余裕がありました。研究室に配属されている期間の方が、拘束時間は長く大変だと思います。実務実習などと就職活動の両立は、学生の間に上手な時間の使い方を勉強するいい機会になります。実習の日報は、昼休みに午前中のことを、帰りの電車の中で午後のことを記載しておけば、夜には企業研究などの時間を確保できます。

 ――就職活動のために取り組んだことがあれば教えてください。

 社会人になっても役に立ちそうなことを勉強しました。具体的には、敬語やメールの書き方といった基本的なビジネスマナーを学んだり、学生という立場を利用してたくさんの方から話を聞いたりしました。

 ――薬学生に一言お願い致します。

 きちんと大学での勉強に取り組んだ上で、大学の外に出ることが大切です。日本薬学生連盟のような団体での活動もそうですし、旅行やたくさんの人に会うこと、アルバイトも当てはまります。そうすることで大学内の雰囲気に染まり過ぎず、社会の雰囲気や自分の感覚のずれが明確に分かると思います。

森田 有紀子さん(東邦大学薬学部卒)

自己+他己分析が役立つ
森田有紀子さん

 ――今の進路を選択した時期と理由を教えてください。

 就職を意識し始めたのは4年生ぐらいでした。2年生の終わりの3月に当社のインターンシップに参加したのですが、その時は就活のことは考えていませんでした。ここで働きたいと決めたのは5年生の終わりの3月でした。

 ――インターンシップに参加したきっかけは何ですか。

 インターンシップに参加した先輩が、参加するなら早ければ早い方がいいとおっしゃっていて、その言葉通りに申し込みました。2年生では座学の基礎科目の授業が多いので、薬学部を卒業された方が現場で働いている姿を見るために参加しました。

 ――就職先を薬局に決めた理由は何ですか。

 直接患者さんと話せる仕事がいいと思ったからです。選択肢を狭めないように企業も考えたり、病院と薬局で迷ったりしましたが、人々の日々の生活にできるだけ長く深く寄り添いたいという気持ちから薬局への就職を決めました。

 ――学生時代に思い描いたキャリアプランを教えてください。

 就職を本格的に意識し始める前の4年生の夏には、5年生の実務実習が終われば自然と進路が決まるはずと考えていました。でも、終了後も進路のことで悩んでいました。自分がどんな薬剤師になりたいかを紙に書き出してみた時に、患者さんに「あなたに会いにきたよ」と言ってもらえる薬剤師や、来た時よりも帰る時に患者さんが笑顔になれる薬剤師になりたいと思いました。

 ――結婚や妊娠など女性ならではのイベントについて考えましたか。

 すごく考えました。若いうちに結婚して子どもを産んで、子育てが落ち着けばまた仕事に復帰する予定でしたが、実際は違うものですね。

 ――就職を意識してから最初に行ったことは何ですか。

 自己分析から始めました。薬学部の学生は意識しなくても就職できますが、他学部の友達が真剣に自己分析していたことがきっかけで始めました。自己分析は個人の価値観が客観的に反映されるので、進路に迷った時の手助けになります。また、就職に関係なく、遊び感覚で気軽に取り組んでもいいと思います。

 ――ほかに意識したことはありますか。

 自己分析とセットになる他己分析も行いました。周りから自分がどう見られているかは自分ではあまり分からないけれど、人からの評価は社会ではとても大切です。仲のいい友達と自己分析について話した時に、一緒に他己分析もしたという形ですね。

 ――就職活動でやって良かったこと、やっておけば良かったことを教えてください。

 インターンシップに参加して良かったですし、もっと参加しても良かったと感じています。インターンシップが就職説明会のようなもので終わってしまったので、長めのインターンシップに参加するなど現場をより深く知ろうとするべきでした。OBやOGを訪問するなどもっと社会人の方と関わる機会を増やしても良かったと思います。また、長期間ブライダルスタッフのアルバイトをしましたが、いろいろな人に出会い丁寧に接することを意識して仕事に取り組めたことは良い経験でした。アルバイトは学業と両立しながら、自分のペースでやりたいようにやるのが良いと思います。

 ――薬学生に一言お願い致します。

 国家試験合格が最終目標になりがちですが、その先の社会での活躍が目的だということを忘れないようにしてほしいです。その先の目標は、たくさん悩んでたくさん考えてください。誰かの話を聞くだけではなく、自分の目で見て感じることも大切にしてください。



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