わたしの「1日」~業界の先輩に聞く~ 弥栄ゆう薬局 岡田果子さん

2023年1月15日 (日)

薬学生新聞

地域の人支える存在に

岡田果子さん

 京都府北部の京丹後市にある弥栄ゆう薬局で働く岡田果子さん。昨春に大学を卒業し、同薬局で働き始めた1年目の薬剤師だ。入社後半年以上経って基礎的な業務は一通りこなせるようになり、在宅医療の患者を受け持つなど、任される仕事が増えてきた。まだ1年目とあって、周囲の先輩薬剤師に比べて知識不足を実感する日々だが、目指す姿は明確。「地域に密着し、そこに住む方を支える薬剤師になりたい」と前を向く。

岡田さんの1日

 11月のある日、岡田さんは8時45分に出社後、9時から投薬業務を手がけた。弥栄ゆう薬局では調剤、鑑査、投薬のプロセスを、薬剤師が交代しながら受け持っている。投薬は、薬局窓口のほか、ドライブスルーでも対応。新型コロナウイルスの感染拡大もあって約半数の患者はドライブスルーを利用するという。

 この日、岡田さんは窓口で鎮痛薬を服用する高齢女性に痛みの状況を尋ねた。「痛みが増した」との返答を受け詳しく聞くと、マラソン大会を控えた孫と一緒に走ったら痛みが強まったとのことだった。鎮痛薬で様子を見て何かあれば薬局に連絡してほしいと伝え、このことを薬歴に記載し薬剤師間で共有した。この患者のように「慢性疾患で同じ薬が続く場合でも、何か話題を振って患者さんのことを知るように意識している」と岡田さん。家族関係や生活状況の把握に努めるのは、その人に応じた薬物療法の最適化につなげたいと考えているからだ。

薬局のテラスエリアにキッチンカーを誘致し、地域の人が集まる拠点づくりに取り組んでいる

薬局のテラスエリアにキッチンカーを誘致し、地域の人が集まる拠点づくりに取り組んでいる

 昼休みには、道路に面した薬局のテラスエリアに週1回出店するキッチンカーでクレープを購入した。キッチンカーの誘致は、薬局を地域の人が集まる拠点とすべく取り組んでいるもの。このほか地域の農業高校生による野菜販売なども行い、地域の活性化を支援している。

 午後に入ると13時に、受け持っている小規模の高齢者施設を訪問。調剤した15人分の薬を渡して看護師から入居者の様子を聞き取り、薬物療法に大きな問題はないことを確認した。

 薬局に戻り14時から鑑査のプロセスを担当。他の薬剤師が調剤した薬の種類や数をチェックするだけでなく、患者の病状や生活などにも目を向け、確認すべきことがあれば投薬担当の薬剤師に伝えた。まだ経験が浅く、「鑑査業務は難しい」と話す岡田さん。周囲の先輩薬剤師に支えられながらレベルアップに励んでいる。

 16時から、在宅医療を受ける患者の自宅を訪問した。高齢者施設のほか数人の在宅患者を担当。この日訪れたのは術後の経過を自宅で診ている男性癌患者。カリウム値が低くなり新たな薬が処方されたため、服薬の意義を説明し、理解してもらった。

 この患者は担当した当初、口数が少なかった。家族を通じて様子を聞き、薬の効果や注意点などを説明。経口抗癌剤の服用は続いているが経過は順調で、食欲不振や睡眠障害の症状は改善していった。「その姿が嬉しい」と岡田さん。患者からは「今度薬局の近くを通りかかった時に会いに行くよ」との言葉をもらえた。

 患者宅訪問を終えると再び薬局に戻り17時から薬歴記載業務。17時45分に退勤した。

 岡田さんは昨年春に神戸学院大学薬学部を卒業。京都府を中心に100薬局以上を展開するゆう薬局グループに入社した。複数店舗での研修を経て、京丹後市立弥栄病院の院外処方箋発行に合わせて昨年5月、近隣にオープンした弥栄ゆう薬局の一員になった。

 大学低学年時には、進むべき道を描けずにいた岡田さん。5年次に実務実習を受けた個人薬局で地域密着型の業務を目の当たりにし、薬局で働くことを意識した。「地域の人が処方箋の有無に関係なく生活の相談に来るなど、薬局が地域で必要とされていた。こういう薬剤師になりたいと思った」と振り返る。

 インターンシップで様々な企業の薬局業務を経験。その中で、ゆう薬局グループが舞鶴市で開く地域活動「ゆう薬局カフェ」の取り組みに興味を持った。これは、商店街のコミュニティスペースで月1回、管理栄養士監修のランチやドリンクを提供し、地域の多職種や薬剤師がミニ講座を開いて、地域住民と交流するもの。地域と薬局のつながりを重視する企業姿勢に共感し、入社を決めた。

 入社して半年以上が過ぎ、基礎的な業務は一通りできるようになった。在宅医療も受け持ち、責任が重い仕事も手がけつつある。もともと人と話すのが好きな岡田さん。「薬局窓口や在宅で患者や家族と話すのは楽しい」と語る。一方、患者の質問にすぐに答えられないなど、知識不足を実感している。的確に仕事を進める周りの先輩薬剤師に早く追いつきたいという。

 目標は、地域の同じ患者にずっと寄り添い、支え続ける薬剤師だ。その実現に向けて患者のことを知ろうとする姿勢を貫く。弥栄ゆう薬局には広い待合スペースやテラスエリアがある。そこを活用し、地域住民とのつながりを強化するイベントも「積極的に提案したい」と意気込む。



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