災害薬事コーディネーター養成を‐「3.11」の教訓から提言

2014年1月1日 (水)

薬学生新聞


丹野氏

丹野氏

 2011年3月11日午後、未曾有の巨大地震が東日本を襲った。まさにその時、宮城県石巻市の石巻薬剤師会医薬品センター薬局では、薬学生の実務研修が行われていた。奇しくも、その日の朝には大地震が来た際の対応を話していたこともあって、津波から逃れるため学生を連れて避難した。

 薬剤師会の薬局は、市立病院の近隣にあり地域での拠点でもあったため、戻ろうと試みるも津波によって阻まれ、結局は全壊してしまった。薬剤師の死者・行方不明者11人という人的被害のほか、薬剤師会の97薬局中、全壊38、半壊31という壊滅的な状況になった。

 それでも薬剤師は避難所等への巡回医療活動をすぐさま開始し、避難所等の衛生管理などに着手した。被災後、各被災地に派遣された災害医療チームには薬剤師が入っていなかったため、避難者の服薬していた慢性疾患医薬品やジェネリック薬を的確に判別することに混乱が生じた。この経験から、「災害医療チームに薬剤師がいないと困る」との認識が浸透していき、最近では災害医療チームに初めから薬剤師を入れる動きも出始めた。

震災で薬局(写真上)は全壊し、現在は別の地で業務をしている

震災で薬局(写真上)は全壊し、現在は別の地で業務をしている

 石巻薬剤師会の丹野佳郎専務理事は、東日本大震災の貴重な経験から、薬剤師の活動として、[1]救護所・避難所で救護班へ助言[2]医薬品集積場での仕分け作業[3]病院・救護所での調剤[4]避難所への一般用医薬品の供給[5]避難所等での衛生活動(トイレ、飲料水、うがい、害虫駆除)――の5項目を挙げた。

 その上で今回の経験を踏まえ、[1]被災地の薬局活用(外来用の備蓄が少ない病院の現状を踏まえ、薬局の備蓄も必要)[2]災害に強い薬剤師の養成[3]災害時医薬品の標準化と災害拠点病院採用薬の公開[4]ジェネリック薬の災害医療での活用[5]災害薬事コーディネーターの養成[6]的確な医薬品供給のために地元を熟知した卸への支援[7]お薬手帳の活用[8]メロンパンチーム(移動パン屋のような移動薬局)活動の展開――を提言した。

 特に、災害医療に精通した薬剤師が必要であることを痛感した丹野氏は、「災害時には薬剤師に仕事の要請がくる。他の医療職と同じレベルで災害医療に対応できるスペシャリストとして活躍できるよう、しっかり勉強してほしい。また、ジェネラリスト薬剤師としても災害医療の知識を深めてほしい」と強調した。

 薬学教育カリキュラムにも災害医療が設定される。地震大国日本では、どこでも震災に見舞われる危険性はある。薬学生は、すべての薬剤師に薬の専門家としての貢献が求められていることを忘れるべきではない。



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