日本薬剤師会副会長 生出 泉太郎
2013年は、ネットに始まりネットに終わった1年間でした。
1月の最高裁判決を受けて、厚生労働省は「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を設置しました。検討会では、私も委員として参加し、18人の構成員により、2月から5月まで11回にわたり約30時間をかけて検討を行いましたが、長い時間をかけて検討を行ったにもかかわらず、最後までネット推進派、ネット慎重派の意見がかみ合わず、その報告書は両論併記となりました。検討会で日本薬剤師会は、第1類と指定第2類については、ネット販売を認めることに反対するとの主張を行ってきました。
6月14日には、日本再興戦略が閣議決定されて、「一般用医薬品についてインターネット販売を認める。ただし、スイッチ直後品目(21品目)および劇薬指定品目(4品目)については、医学・薬学等の専門家による検討の上、秋頃までに結論を出す」とされました。
8月には、「スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合」と「一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ」(日薬・藤原常務理事が参加)が設置され、それぞれスイッチ直後品目・劇薬指定品目の販売時の留意点や店舗における専門家の関与、専門家による的確な確認・情報提供等や偽販売サイト・偽造医薬品への対応等について検討されて、10月8日に検討結果の取りまとめが公表されました。
11月6日、田村憲久厚生労働大臣は、一般薬のインターネット等販売に関する国の考えを示し、翌週の12日には閣議決定され、「薬事法及び薬剤師法」の一部を改正する法律案として臨時国会に提出され、今月5日に可決・成立しました。法案成立により、今年1月の最高裁判所判決以来の無法状態下での販売に一定のルールが定められることとなりました。
ほとんどの一般薬のインターネット販売が解禁になったことは、安全性と適正使用の観点から慎重な対応を訴えてきた日薬の主張が理解されなかったものと、残念に思っております。しかし、「要指導医薬品」が新設され、医療用医薬品を含む薬局医薬品と共に、薬剤師による薬学的知見に基づく指導と対面による販売が法律により義務づけられたことは、これからの薬剤師職能にとって画期的なものとして大いに評価したいと考えます。