若い癌患者の妊よう性温存など生殖医療の普及に取り組む「日本がん・生殖医療研究会」の阿南里恵氏は12日、がん対策推進協議会に、若年癌患者の生殖医療、緩和ケアに関する意見書を提出した。15~29歳の若年者を指す「AYA世代」を中心とする患者に対し、癌治療を最優先としつつ、妊娠のしやすさを保つ生殖医療の取り組みや生殖機能喪失による身体的・精神的苦痛への緩和ケア対策を、国が早急に講じるべきとした。
同協議会の委員を務める阿南氏は、抗癌剤や放射線治療による卵子減少のおそれから妊よう性が失われる不安を覚え、本格的な治療を受ける決心ができない患者の存在を指摘。生殖機能に影響が出る若い癌患者に向け、生殖医療と連携した癌治療の取り組みや医師、不妊症看護認定看護師、臨床心理士などによる緩和ケアの構築などを、次期がん対策推進基本計画の目標に盛り込む必要があると訴えた。