宮本理事長が引責辞任
化学及血清療法研究所は2日、国の承認と異なる方法で血漿分画製剤を製造していた問題で、違反行為等の不正に至った経緯をまとめた第三者委員会の報告書を、薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会に提出した。報告書では、40年以上前から悪質な不正の隠ぺいが行われ、歴代経営陣が不正を認識しながら放置し続けた組織ぐるみの行為と厳しく指摘した。これを受け、化血研の宮本誠二理事長は「多くの方々に迷惑をかけたことをお詫びする」と謝罪。同日付で自身の引責辞任と退職慰労金の返上、常務理事以上の役員全員の辞任、降格処分を明らかにした。
報告書は、化血研が製造販売する血漿分画製剤について、31個の不整合があり、最も古いものは1974年頃から行われ、多くは80~90年代前半にかけて生じていると指摘。その背景には、当時の薬害エイズ問題により、国内の非加熱製剤が加熱製剤に切り替わる中、血漿分画製剤も加熱製剤の生産増強が要請されていた状況で、責任者のトップダウンのもと早期の製品化を優先して開発を急いでいたことがあると結論づけた。