マイナビ就職情報事業本部
メディカル事業統括部統括部長
木村 雅人氏に聞く
3月に入り、学生の就職活動が本格化している。これまで培ってきた力を存分に発揮でき、さらなる成長を遂げられる進路を模索する日々は、薬学生の多くも例外ではない。そうした中、マイナビ就職情報事業本部メディカル事業統括部で統括部長を務める木村雅人氏に、薬学生を取り巻く就職活動環境や採用側が薬学生に求めている能力、就職活動に関するアドバイスなどをうかがった。
採用活動は少し早めに推移
17年卒は6月が選考解禁
薬学生を取り巻く就職活動環境について木村氏は、「薬学生の採用ニーズは、一定水準から全く落ちていない。採用予定人数であったり、採用にかけるコストや時間といったものは、むしろ増えている」と分析。「従って、採用側から見ると、輩出されてくる薬剤師数そのものが少し不足しているという感触になっており、採用活動に非常に熱が入っている状態というのが、薬学生の採用を取り巻く現在の環境だと思う」と語る。
2016年卒の学生の就職活動スケジュールは従来よりも後ろ倒しに変更され、選考解禁が8月だった。この点に関して木村氏は、「薬学生も、このスケジュール変更を受け入れるのに少し時間がかかった」と説明する。マイナビに登録している薬学部の学生に対するアンケートでも、約60%がスケジュールの後ろ倒しによって学事日程と就職活動の両立に不安を覚えると回答。「採用側は積極的に採用活動を行っているのだが、学生側はスケジュールの変更などもあって、夏あたりから積極的に動いていく層と、それほど一生懸命に就職活動をしなくてもいいと思っている層に分かれたのが2016年卒の傾向だった」(木村氏)とする。
一方、2017年卒学生の就職活動スケジュールでは、8月の選考解禁から6月選考解禁へ変更となった。木村氏は、「マイナビで昨年11月末にイベントを行ったが、参加する学生たちからは一生懸命に就職活動するという熱意を感じた」とし、「2016年卒学生よりは少し早めに動いている学生が多くなってくるのではないか」との見通しを示す。
コミュニケーション能力と仕事に取り組む姿勢
採用側が薬学生に求めている能力としては「人材として求められるものは一言で言えば、コミュニケーション能力」との考えを強調する。
その背景として、「国が、かかりつけ薬局制度に注力しており、また先駆的な医療機関などでは在宅医療への対応に力を入れている。他の医療職と共に患者さんのご自宅にうかがって仕事をするという観点では、いろいろな患者さんや他の医療職がいる中で、処方箋に準じた形で調剤業務を行うこと以外の部分も求められてくるのは明白だ」と指摘。「コミュニケーション能力に加え、能動的に自分の判断と行動で仕事に取り組んでいける人材が求められていくのだと思う」と語る。
こうした薬学生を取り巻く就職活動環境や採用側のニーズ等を踏まえて木村氏は、本格的な就職活動が始まる前に薬学生が取り組んでおくべきことに言及。
「自分を知ることが第一。そこが欠けてしまうと、結局は自分の気持ちや考えていることが相手に伝わらない。どのようなことに取り組んでいきたいのかというところまで行き着くような自己分析が就職活動の最初の段階では必要だと思う」とし、「何から手をつけたらいいか分からなければ、例えば大学内で行われる合同説明会や就職ガイダンスに参加してみるとか、大学外で開かれているイベントなどに参加してみるなど、有意義な時間を過ごすことが非常に大切」と話す。
3月以降、積極的な活動を
さらに、BESTな就職先の見つけ方としては、「“このような薬剤師になっていきたい”という理想から紐解いた方がよい」と指摘。「紐解くことは簡単でないと思うが、様々な業界・企業の働き方を自分の目で見て確認することで、具体的にイメージできるようになる」との考えを示す。
実際の就職活動に関して木村氏は、「5年生になる頃から自己分析をはじめ、自分自身を掘り下げてみることなどに取り組んでおくのがよいのではないか」と語る。その上で、「現5年生では、夏過ぎから既に動き出している学生も、まだそれほど着手できていない学生もいると思うが、正式な応募の解禁は3月1日であり、3月以降、積極的にいろいろな行動を起こしたらいいと思う」とアドバイスする。
薬学生のためのマイナビ就職EXPO
そのような、行動を起こすきっかけになり得るイベントをマイナビでは開催している。
その1つが、「薬学生のためのマイナビ就職EXPO」(東京会場は3月6日開催)だ。同イベントには約140法人が出展を予定しており、薬学生が採用対象となる全業界が出展しているといっても過言ではない規模での開催となる。
木村氏は、「イベント当日1日で、様々な業界・業種の確認と勉強ができるのが特徴で、活用次第では様々なものが獲得できる。就職活動を早めから意識してこなかった薬学生も、その遅れを取り戻せる内容になっている」とし、「こうしたイベントと共に、当社のWebの情報なども活用し、就職活動へ進んでいってほしい」とエールを送る。