近年の薬剤師国家試験では、多くの科目で計算問題が出題されており、全体で20題ほどの出題があります。また「考える力」を必要とする計算問題も出題されており、薬剤師国家試験(以下、国試)の合否を分ける要因にもなっています。
【参考データ】※弊校大阪教室における、第101回国試結果調査より
計算問題の得点率(全18題中)が60%以上の受験生の推定合格率は100%でした。
学生が国試対策において公式把握の必要性を感じていることは弊校実施のアンケートにより確認できましたが、[1]暗記傾向で演習を進める学生と、[2]内容理解を大切に演習を進めた学生の間には、国試における得点に差が生じており、内容理解を意識した方が国試における得点が高いことが確認できました。したがって、国試対策では「公式の把握」のみではなく、「内容理解」へとステップアップすることが大切と考えます。以下に第101回国試の各領域における特徴と出題例を記載します。「計算が苦手」と感じている方がこの記事を一読し、計算問題への抵抗をなくす一助になれば幸いです。
物理
■領域における特徴
物理化学の範囲を中心に設問文を読解し、自ら式を組み立て正答を導く難易度の高い出題があります。よって、自己学習をする際に、解説で使っている式が「なぜ」この問題に対して使用できるのかを考えることが大切です。一方、分析化学の範囲では暗記した公式を活用する出題も見受けられます。
■出題例
■出題のPOINT
本設問は、問題文から自分で式を組み立て、正答を導く問題です。他の回の国試でも同様の出題が見られますので、文章から式を起こす練習をしましょう!
薬剤
■領域における特徴
薬剤領域の計算問題は難化傾向であり、薬動学が計算問題の大部分を占めています。既出問題での演習をベースに学習を進め、問われた薬物動態パラメータが何を示すかを理解した上での解答が求められています。
■出題例
■出題例のPOINT
本設問の計算過程や形式は既出問題に準じたものですが、小腸利用率(小腸アベイラビリティ)は初の出題です。受験生は「小腸におけるバイオアベイラビリティ」、つまり「小腸での代謝による初回通過効果の影響」と考え、解答する必要がありました。
実務
■領域における特徴
実務領域の計算問題の難易度は平易~中等であり、散剤・液剤・消毒薬・輸液(mEq、NPC/Nなど)とバランス良く出題されます。既出問題にある基本的な計算をベースに、様々な情報を組み合わせた現場に即した出題があり、設問中から必要な情報を的確に見つけ出し、活用することが求められています。
■出題例
■出題例のPOINT
本問題は与えられている式を活用する問題です。このような小児薬用量を求める式を活用する出題形式は初の出題で、今後の国家試験でもこのような形式の出題が予想されますので、本問題を通じてまずは【慣れ】ていきましょう!
出題例に示した問題も含め6年制国試のPOINTとなる既出問題の解説動画を薬ゼミオンライン教室(お試しライセンス:無料)で視聴できます。
https://yakuzemi.study.jp/rpv/
国試の計算問題は近年、難化傾向にあります。今後の国試においても同様の傾向が考えられます。薬学ゼミナールでは計算問題を理解して勉強するための問題集を発刊しました。既出問題や問題集などを活用して、計算問題演習をしっかり行い、国試に合格する実力と共に「考える力」を養いましょう。