【考えよう!キャリアデザイン】なぜ何度も転職するのか

2017年1月1日 (日)

薬学生新聞

キャリア・ポジション社長
西鶴 智香

西鶴智香氏

 私は、転職を考えている薬剤師に対して個別にキャリアカウンセリングを行い、それぞれのキャリアプランに合う転職先を紹介する会社を経営しています。これまで多数の薬剤師の転職を支援してきました。結婚や家族の事情で勤務地や勤務時間を変更しなければならなくなった方もいますが、多くは、今の職場に何らかの不満を抱き、改善したり乗り越えたりすることなく、他にきっとある「もっと良い職場」に変わりたいというのが転職の理由です。

 彼らが言う「もっと良い職場」とは何でしょうか。給料は高めで勤務地が自宅から近く、勉強会も適度に開かれて同僚は自分に優しい人ばかり、という職場環境を指すことがほとんどです。こういった環境を求めて転職を繰り返す薬剤師には「自分が薬剤師としてやりたいと思う具体的なキャリアビジョン」が不明確な方が多いですね。ビジョンがないので居心地の良い職場環境を求めてしまうわけです。

 薬剤師は医療者であるはずなのに、なぜビジョンが不明確なのでしょうか?1つには、薬剤師の就職が売り手市場であるという背景があります。就職面接の場面で、薬剤師としてのビジョンを明確に示さなくても就職できるのが現状です。その必要性に迫られてこなかったのです。

 薬剤師になろうとした動機を転職者に聞くと、職業の魅力よりも、安定した国家資格の取得が目的だったことも共通しています。もちろん、進学時には資格取得が目的だったものの、働いているうちに仕事のやりがいを見つけて、具体的なビジョンを持てるようになった方もたくさんいます。その違いは「生涯、薬剤師としてやり遂げたいゴール」を見つけようとしているかどうか、なのです。

 これから社会に出ていく皆さんは、働く中で幾度も、様々な困難や苦痛に遭遇することでしょう。その時に職場から逃げて転職するのではなく、立ち向かい乗り越えていくには「薬剤師としてこれをやる!」という強い情熱が必要です。ぜひ、そのビジョンを探してみてください。



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