【医学アカデミー薬学ゼミナール】第102回薬剤師国家試験直前‐最終チェックポイント!

2017年1月1日 (日)

薬学生新聞

物理科目責任者 茂木 雄輔、化学科目責任者 林 美樹子、生物科目責任者 小林 あつみ、衛生科目責任者 菊池 聡、薬理科目責任者 猪又 雄太、薬剤科目責任者 横井 宏哉、治療科目責任者 後藤 健太、法規科目責任者 尾島 良太、実務科目責任者 坂口 努

 6年制国家試験の6回目となる第102回薬剤師国家試験が2月25日(土)、26日(日)に実施される。前回の国試は、同年度9月30日に厚生労働省医薬食品局(現医薬・生活衛生局)から「新薬剤師国家試験についての一部改正」が通知され、薬剤師国家試験(以下、国試)の合格基準が一部改正された(改正後合格基準:)ため、多くの学生が不安を感じながら受験することとなった。しかし、実際の合格率は、6年制新卒86.24%(合格者数7108人)、6年制既卒67.92%(合格者数4201人)、その他(旧4年制卒、4年制卒を含む)34.29%(合格者数179人)と高い割合を示し、合格者総数が過去10年で最も高い人数となった。これらの結果は、第99回や第100回国試と比較して、既出問題がそのまま再出題されるなど、解答しやすい問題が多く出題されたことなどが影響したと考えられる。しかし、「基礎力」「考える力」「医療現場での実践力」を問う問題は継続して出題されており、これらは6年卒業時に必要とされている資質「薬剤師として求められる基本的な資質」の中の「基礎的な科学力」「薬物療法における実践的能力」でも示されており、第102回国試でもその傾向は継続されると思われる。

表 薬剤師国家試験問題区分と合格基準(改正後)

 また、改訂コア・カリで長期実務実習中に必ず体験してほしいとされる「代表的な疾患:」が発表され、第101回国試でも実践問題を中心に多く出題されていた。第102回国試に向けても代表的な疾患を中心に症候、検査値を読み取り、ガイドラインに基づいた薬物療法につなげて解答するような臨床的知識を問う内容を理解できる学修が必要となる。

図 「代表的な疾患」

 今回は、第102回国試に向けた「最終チェックポイント」として、薬学ゼミナール科目責任者が全9領域の国試対策を紹介する。

物理

 物理は苦手な方が多い科目ですが、物理の傾向と多く出題される内容を記載しましたので、ご参照下さい。

 物理化学では、図・表を用いてその場で考える問題や、文章を読解し自分で公式を立式する計算問題が出題されます。既出問題の知識を暗記するのではなく、理解し説明できる必要があります。出題頻度が高い範囲は、『エネルギー・自発的な反応、反応速度論、束一的性質、分子間相互作用』です。

 分析化学・放射化学では、既出問題に出題されている知識で解答できる問題が多く出題されます。しっかり既出問題を解き、解くだけでなく、その分野の周辺知識を補完しましょう。出題頻度が高い範囲は、『容量分析、クロマトグラフィー、電気泳動、分光分析、放射性核種』です。

化学

 いよいよ国試が近づいてきましたね。化学の領域は、これまで通り『化学構造』が多く出題されることが予想されます。

 基礎事項は用語を理解し、該当する構造をしっかり選べるようにしましょう。また、化学反応を苦手とする方もいらっしゃると思いますが、それぞれの特徴を理解した上で、化学反応式における主生成物の構造を判断できるようにしましょう。また、糖をはじめとする『生体成分の構造、それに関連する化学反応』も必ず復習しましょう!

 そしてこの時期、忘れてはいけないのが、『生薬』です!覚えてしまえばそのまま得点につながる可能性が高い分野です。『代表的な生薬、生合成経路、確認試験』に加え、実務分野になりますが『漢方処方』の基礎についても学びましょう!最後は気力です!1点でも多く得点してください!

生物

 近年、生物の領域では図表や実験問題など考える力を必要とする内容の出題が増えています。このような問題に対応するためにも、直前期には自分自身の知識の抜けがないかなど網羅的に復習することが重要です。実際に問題を解く際には、自身の知識を呼び起こしながら、キーワードや情報を読み取れるよう意識しましょう。

 また、薬理や薬物治療などの他科目に関連する内容(薬の作用機序、病態形成、感染症など)が実践問題として出題されています。『薬の作用・病態に関連する代謝反応』は、構造や全体像と合わせて、『感染症』は原因となる病原体の特徴などを関連づけて確認しましょう。免疫学は、反応に関わる細胞や抗体などのタンパク質の構造や機能が幅広く出題されていますので、全体像を意識しながら復習してください。

衛生

 衛生の近年の傾向は、平均点が65%前後であることです。出題に関しては、『[1]既出問題[2]実験[3]歴史[4]トピックス』と大きく4範囲です。

 [1]既出問題は解けるだけではなく、一記述のポイントとなるキーワードを確認しましょう。

 [2]実験は主に測定対象物質、試薬とその目的、結果、考察を確認しましょう。

 [3]歴史は、戦後の日本の状況から人口変動や衛生状態の変化などを確認しましょう。

 [4]トピックスは今年話題となった公衆衛生を確認しましょう。

 衛生は年明けからでも得点がグンッと伸びる科目です。最後まで諦めず点数を伸ばしていきましょう!

薬理

 例年、必須・理論・実践問題で、出題基準に沿って万遍なく出題されます。その中には、『既出問題の内容』や、『未出題薬物』に関する問題がバランスよく盛り込まれます。

 既出問題の内容は、問題中のキーワードを理解できていれば解けるものが多いため、既出問題を繰り返し定着させながら学修し、覚えるだけでなく、理解まで完遂させておきましょう。

 未出題薬物に関しては、過去3~4年分(第98~101回国試)の問題文中に、作用機序などの一部のキーワードが「前振り」として出ていることがあります。近年の問題で新しく出ている単語や、文章表現などの確認も忘れずに行っておきましょう。

薬剤

 薬剤領域の近年の傾向として、出題基準から万遍ない出題があり、これまでの既出問題を理解する上での重要な知識が問われる傾向にあります。

 直前期には、これまでに学修を進めた内容の定着・知識の漏れをなくすことを意識して対策を進めましょう。

 『投与計画』や『DDS』の範囲については出題の可能性が高い上、投与計画では第97回・第99回国試、DDSでは第98回・第99回国試に複数題出題されている要確認の範囲です。

 また、実践問題(実務や治療)との関連性の高い範囲として、『TDM薬物相互作用体内動態変動(テーラーメイド医療)』があります。TDMでは有効血中薬物濃度、薬物相互作用では代謝の誘導と阻害、体内動態変動では疾患時や加齢に伴う体内動態パラメーターの変化について確認しましょう。

病態・薬物治療

 病態・治療は大きく病態生理・薬物治療と情報・検定から出題されます。

 病態生理・薬物治療に関しては過去にも出題のある一般的な疾患と近年話題性のある疾患からの出題があります。理論問題では症例から疾患や患者の状態を把握して薬物を選択する問題が出題されますので、主要な疾患の『検査項目』は事前に確認しておく必要があります。

 情報・検定の範囲に関しては、近年の国試では10題程度の出題があります。特に情報に関しては『添付文書インタビューフォーム緊急安全性情報』など既出問題を確認することにより得点できる部分が多いため、既出問題の確認をしっかりとしましょう。また、検定に関しては実際のデータを確認しながら回答する問題がありますので、既出問題から、データの読み方のポイントを確認しましょう。

法規・制度・倫理

 近年は、出題基準から万遍なく出題され、毎年新傾向の内容も出題されています。既出問題の内容を理解していることで得点できる設問は多く、他科目と比較して得点しやすい傾向です。

図 <出題頻度が高い10項目>

 国試までには、上記の範囲の既出問題は一通り目を通して理解をしておきましょう。必須、理論、実践のいずれでも出題されております。

 なお、近年の法改正の注目点として、『要指導医薬品(第101回国試初出題)再生医療等製品医療機器・体外診断用医薬品の規制』は参考書等でしっかりと確認しておきましょう。また、6年制国試でまだ出題がない『覚醒剤』『大麻・あへん』『GMP』なども注目です。

実務

 まず、問題を解く時に『薬剤師として適切な行動を心がける』ということ。分からない問題に出会った時も、選択肢の内容の先を考えると、患者にとって不利益になる内容が隠れており、正誤を判断できることがあります。また、直前期に何を勉強すべきかは、特に多く出題される下記の範囲を目安に再確認してください。

 【注射剤・輸液関連】頻出されるのが、配合変化で、pH変動や溶剤、輸液バックの素材など様々なので、配合変化の理由まで確認してください。また近年では電解質輸液だけではなく、栄養輸液に関しても出題されているので、各輸液の特徴を確認しましょう。

 【医薬品関連】既に出題された用法・用量や相互作用は必ず覚えましょう。また、副作用の初期症状が判別できるか問われています。

 【管理】医薬品はどのような方法で管理するのか、例えば、どのような場所で管理するのか、廃棄をするのか等、確認しましょう。



HOME > 薬学生新聞 > 【医学アカデミー薬学ゼミナール】第102回薬剤師国家試験直前‐最終チェックポイント!

‐AD‐
薬学生新聞 新着記事
検索
カテゴリー別 全記事一覧
年月別 全記事一覧
新着記事
お知らせ
アカウント・RSS
RSSRSS