【就活生必見!各業界の動向は…】調剤事業など強化し再び成長~ドラッグストアの動向~

2018年3月1日 (木)

薬学生新聞

 ドラッグストアの2016年の売上規模は約6兆5000億円となり、その規模は百貨店を超えた。人口減少や高齢化の進展が深刻化する中、街や地域におけるドラッグストアの存在はますます大きくなり、期待される役割や機能も非常に多岐にわたってきている。業界成長に陰りが見え始めた12年頃の“成長の踊り場”を経て、様々な再成長戦略を講じ、“ドラッグストア再成長元年”とした16年は大きく伸長(前年比106%)。25年の業界規模10兆円を目指し、現在、強力に活動を行っている。

 日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)がまとめた17年後期版の「ドラッグストア業界研究レポート」によると、6兆4920億円だった16年の売上規模は、JACDSが設立された99年と比べ、約3倍の規模となっている。近年のドラッグストアの成長の背景には、毎年400店前後の新規出店があったが、16年のドラッグストア店舗数は1万8874店舗で、調剤併設ドラッグストアも約8000店舗という状況。「毎年400店舗くらい増加しているが、このままの状態で10年が経つと約4000店舗の増加。さらにそのスピードを上げていこうというのが業界の考え方」(JACDS)としている。

 また、ドラッグストアの成長要因としては、[1]面分業の増加に伴う調剤事業の伸長[2]既存食品の購入の高まり[3]中国をはじめとする訪日外国人によるインバウンド需要の高まり――などが指摘されている。特に、処方箋調剤においては、来店客数の増加と来店時の買い物(ワンストップショッピング)の増加によって、調剤併設店舗には堅調な伸びが見られる傾向だ。

 そうした中、ドラッグストア業界では現在、再成長を目指して強力な活動を展開。25年の業界目標を計画し、実現に向けて業界一丸となって取り組んでいる。25年の業界目標としては、▽ドラッグストア業界規模―10兆円産業化の実現(健康インフラ)▽ドラッグストア業界店舗数―3万店舗(商圏人口4000人以下店舗)▽調剤事業の推進―調剤シェア40%前後(勤務薬剤師の組織化)▽牽引企業の躍進―複数の1兆円準備ドラッグストア企業の出現――を掲げている。

 調剤シェア拡大に向けた業界活動としては、様々な基盤強化活動に注力。特に、薬剤師確保の支援という面からは、薬科大学・薬学部との連携強化に取り組んでいる。業界レポートでは、「調剤の拡大には薬剤師の確保が不可欠である。このため各企業とも採用活動に工夫を凝らし、力を入れている。しかし、新卒薬剤師の採用は容易ではないという問題を抱えている。その原因の一つには、薬科大学・薬学部の教職員や薬学生にドラッグストアの現状や将来像が十分には伝わっていないことが挙げられる。一部ではあるものの、街の雑貨店といった旧態依然のマイナスイメージばかりが流布・まん延していることも否めない」とし、「このようなマイナスイメージを払拭し、ドラッグストアの将来像を理解してもらうために、JACDSが主体となって薬科大学・薬学部向けの広報パンフレットを作成。今後、会員企業が薬科大学・薬学部の訪問時に持参し説明することで、ドラッグストアの真の姿を知ってもらい、リクルートにつなげていきたい」としている。

 一方、店舗数が3万店舗となったドラッグストアは、商圏距離がより短くなり対象商圏人口が小さくなる。現在、1店舗あたりの平均対象人口約7500人(約4000世帯)の人口が商圏距離の短縮化により対象商圏人口が小さくなる「狭小商圏化」になると指摘されている。

 ドラッグストアの狭小商圏化が進むと、生活者により近い存在として様々な日常生活を支える商品やサービスをきめ細かに提供できるようになる。その反面、現在の成長を支えてきた経営フォーマットまたはビジネスモデルでは立ち行かなくなるとの見方もある。対象人口(世帯)が半減しても、地域の生活者に貢献し、早急に大きな売上と収益を確保できる「狭小商圏型ドラッグストア」の開発が求められている状況だ。



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