スイスのノバルティスは9日、遺伝子治療薬に強い米エイベックシスを87億ドル(約9300億円)で買収すると発表した。今年半ばまでに手続きを終える予定。2019年の米国承認を見込まれるアデノ随伴ウイルス9(AAV9)を用いた乳児型脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬「AVXS-101」の獲得が狙いだ。3月27日に英GSKと展開していたコンシューマーヘルスケアに関する合弁会社を、130億ドルでGSKに売却することに合意していたが、その売却益を遺伝子治療薬に強いバイオ企業の買収費用に充てた格好。世界的な業界再編が加速する中、事業の選択と集中を進める戦略だ。
エイベックシスは、SMAを対象とした遺伝子治療薬を開発している。開発パイプラインの中で先行するSMA治療薬「AVXS-101」は、米FDAからブレークスルーセラピー、欧州EMAからPRIME、日本でも3月に先駆け審査指定制度の対象品目となっている。米国で19年の承認・上市を目指す。国内でも治験実施予定だ。ピーク時には売上20億ドルの大型製品に育成する。