採算性から製薬企業の支援が得られにくい小児用医薬品の剤形開発をめぐる現状を打開するため、日本のアカデミアが国際連携に乗り出す。欧州で小児用剤形の開発に取り組むコンソーシアム「EuPFI」と連携するため、国内の製剤研究者で構成する製剤機械技術学会に準備委員会を立ち上げ、日本側の窓口と位置づける構想だ。EuPFIが効率化を目指す五つの優先課題に対し、日本薬剤学会、日本医薬品添加剤協会など関連する他団体にワーキンググループを設置。年齢に適した製剤設計、味の評価方法、苦みマスキング等の問題解決を目指す。これまで小児用剤形の開発は大きな進展が見られなかったが、国際連携を足がかりに課題解決を前進させたい考えだ。
小児用医薬品については、未だに約7割が添付文書に用法・用量、安全性等の記載がなく、投与する剤形も十分に開発されていないのが現状。こうした中、薬剤学の研究者で構成する日本薬剤学会では、個別化製剤フォーカスグループ(FG)を立ち上げ、治療上の見捨てられた孤児と言われる患児を救うため、子供が感じる薬の苦みや飲みにくさなどを解決する小児製剤の技術開発に向けた議論を重ねてきた。