キャリア・ポジション代表取締役
西鶴 智香
Q
薬学部5年生です。私は病院と薬局の実務実習を経験して、薬剤師職に全く興味が持てない自分に気づきました。医療従事者になる気はありません。そこで、製薬企業も含めた一般企業に就職したいのですが、就職するにはどのようなスキルが必要でしょうか?英語力や会計の知識には全く自信がないのですが……。
A
私は、「薬学部を卒業した全員が、薬剤師職に就かねばならない」とは思いませんし、誰にでも職業選択の自由はあるわけですから、自己決定ならばそれでいいと思います。とはいえ、高い学費を出してくれた親や親族の方には、就職先の志望理由を丁寧に説明することをアドバイスします。
さて、一般企業に就職できるスキルを知りたいとのこと。2010年に経済産業省が行った調査で、「社会に出て活躍する際に足りない力」について、学生と企業それぞれに質問をしました。学生が答えた、自分に不足している力は、▽語学力▽業界に関する専門知識▽会計の知識――だったのですが、企業側は、▽主体性▽粘り強さ▽一般常識▽コミュニケーションスキル――と回答しました。大きなギャップがありますね。企業が重視しているのは「その人の内面的な能力」です。
今後、ルーティン業務や定型業務はAIやロボット等に代替される可能性が高いため、働く人に求められるのは特に、コミュニケーションスキルと主体性です。コミュニケーションスキルの中でも、▽環境に適応する力▽仕事に対するモチベーションをコントロールする力▽相手との壁を越えて多様性を生かす対話力――などが重視されます。主体性は、▽自分で課題を設定する力▽困難を乗り越える力▽やり切る力――などを指します。英語力や会計の勉強をすることも大事なことですが、毎日の大学でのSGDや実習、学外活動でこれら二つの力をつけることはできます。
一般企業の面接は、全国の様々な学部の学生と一緒に挑むことになります。日頃から他学部学生の行動を見ながら自分のスキルを上げていきましょう。全国に優秀な学生はたくさんいます。優秀とは成績評価だけを指すのではなく、視野の広さ、高いコミュニケーションスキル、完遂する力などいろんな力を指します。学生のうちに、内面の力を磨いていきましょう。頑張ってね。