【対談】新卒社員が第一線で活躍できる業界‐CROが新薬開発を支える

2014年1月1日 (水)

薬学生新聞


出席者
日本CRO協会理事長 植松 尚氏
広報事業検討委員会リーダー 南 丈裕氏

左から植松氏、南氏

左から植松氏、南氏

 製薬企業の医薬品開発を支えるCROが、国内で誕生して20年を迎えた。多くの先達の努力で、CROに対する社会的な認知度や信頼性が向上し、今では“臨床開発のパートナー”と呼ばれるようになった。その間、新卒社員を育て、第一線で活躍する人材育成の土壌ができ、今年4月の新卒採用人数は前年度比で20%増を計画。今後、「製薬企業のパートナーから、自立したプレイヤーへの脱皮」の目標達成に向け、チャレンジ精神が豊かな薬学生が活躍するフィールドがますます広がっていきそうだ。日本CRO協会理事長の植松尚氏と、広報事業検討委員会リーダーの南丈裕氏に話を聞いた。

20年の歴史で認知・信頼が向上

 ――20周年を迎え、記念誌が発刊されました。CROの歴史が凝縮されていますね。

 植松 日本CRO協会ができて、今年で20年目を迎えました。20周年では記念講演会を開催し、製薬企業、医療機器メーカーや行政関係者、CROなど500人を超える参加者を集め、また20周年記念誌を発刊しました。

 記念誌では、学生の方が読んでもこれまでのCROの歩みや薬事行政の歴史を理解できるように配慮しました。CRO発展の立役者と参議院議員、治験・臨床研究を牽引する医師、医薬品医療機器総合機構の理事長などが参加した対談や鼎談では、さらなる挑戦と飛躍を目指して将来を展望する内容となっています。読み応えのある記念誌となっています。

  CROや薬事行政の歴史は年表で網羅し、治験やCRO業務に関連する用語をそれぞれ分かりやすく解説した用語集を加えています。新卒でCROへ就職を考えている方にも、この記念誌から、CROという業態をつくり、社会に確立させた先輩たちの経験を学び取り、新薬開発をサポートした20年を知ってほしいと思います。

 ただ、学生のみなさん全てに記念誌を配布するのは難しいため、日本CRO協会では、ホームページのリニューアル(http://www.jcroa.gr.jp/)を行い、記念誌の内容を順次、公開しています。その第1弾では、参議院議員の藤井基之氏と日本CRO協会前会長の中村和男氏の対談、「政治・行政の視点からCROに期待すること」をアップしました。お2人の対談を通して、CROの20年の軌跡を学んでいただけるのではないかと思います。

 ――この20年で大きく成長を遂げましたが、製薬企業との関係性や社会からの位置づけはどのように変化したと受け止めていますか。

 植松 この20年間を振り返ると、最初の10年は「CROを知ってもらう」ための期間、いわば“存在価値”を認知していただく期間だったように思います。後半の10年は、CRO各社が治験薬の有効性や安全性を正しく評価する「データ品質」などを追求し、依頼者である製薬企業から信頼を得るために取り組んできました。その結果、会員社数は28社、総従業員数1万2400人、総売上高は約1330億円にまで拡大し、今もなお成長を遂げるなど将来性も魅力です。今後10年は、“自立したプレイヤー”に向け、製薬企業の真のパートナーになるのが目標です。

  植松理事長が挙げた“自立したプレイヤー”とは、治験の依頼者である製薬企業に対して、被験者データの収集や管理、データ品質を担保するための方法論など、従来の手法とは異なるアプローチで新たな価値を積極的に提案していくことです。これまでの対等な関係からさらに一歩進め、医薬品開発で製薬企業が手がけない領域を担うという役割も考えられます。

 植松 治験の憲法とも言われる「GCP」に沿って、製薬企業から要望された受託業務だけを行うのではなく、これまで培ってきた経験・知識を武器に、医薬品開発で主体的に行動できる業態になる必要があります。例えば、治験では製薬企業やCRO、医療機関、審査を行う医薬品医療機器総合機構に加え、治験データを管理するIT事業者、治験薬管理を行う物流事業者など様々なプレイヤーが存在しています。CROが、こうしたステークホルダーと情報の受け渡しを行いながら、全体を調整していく役割が求められてくるでしょう。

やりがいを“自分で創り出す”

 ――“CROのやりがい”はどういった点に挙げられるのでしょうか。

  ホームページをリニューアルしましたが、その中で「CROで働く魅力」というコンテンツをつくりました。新卒でCROに入社し、治験業務の中核となるモニタリング業務と、データマネジメント業務で活躍する2人の先輩が、それぞれの立場でCROのやりがいを語っています。

 彼らも入社当初は、白紙の状態から治験業務を学び、多くの失敗を経験しながらも、顧客である製薬企業から感謝されることで達成感を味わい、後輩を教育する立場となったことで新たな目標につながる、そんな成長過程を経験しています。やりがいは人それぞれ違いますが、まだ国内で誕生してわずか20年の業態なので、自分自身で創り出すことができます。

 ただ、新薬を開発することで、苦しんでいる患者さんを助けることができるのですから、日々の仕事から“社会貢献”を実感できる数少ない業界であるのは間違いありません。こうした思いを持っている方にとっては、進路の選択肢の1つと言えます。

 ――どういった人材に入社してほしいでしょうか。

 植松 仕事そのものが社会貢献の1つであり、業務の範囲を超えて幅広く物事を考えられる人材が必要になります。「GCP」を学ぶのはもちろん、医療機関や患者、病気のことなど幅広い視点から知識を吸収していく柔軟性が必要でしょう。さらに多くの人たちと協力しながら仕事を前に進め、チーム全体を引っ張っていくリーダーシップもCROに求められているように思います。

  求められるスキルや高度化している分、チャレンジ精神が旺盛な方に来ていただきたいです。2012年12月にGCPが改正され、製薬企業からCROへの外部委託が従来の「一部」から、「一部若しくは全部」へと認められました。製薬企業は臨床開発の全てをCROに委託することが可能になり、CROの活躍できるフィールドが広がりました。

 入社される1人ひとりの方に“自立したプレイヤー”の意識を持っていただきたいと思います。安定志向や現状に満足するのではなく、変化を楽しみ努力できる方には、多くの成長機会が与えられていると思います。

図:CRO新卒採用人数

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