実務実習の重要性が際立つ内容‐第99回薬剤師国家試験を振り返る

2014年5月1日 (木)

薬学生新聞


学校法人医学アカデミー学長
木暮 喜久子

 6年制薬剤師を輩出する3回目となる第99回薬剤師国家試験は、2014年3月1、2日の両日に実施された。受験者総数1万2019人、総合格者数7312人、総合格率60.84%で、98回に比べ合格率が18.26%低く、6年制の卒業生が輩出されない95回と96回を除き最も低い合格率であった。6年制新卒の合格率は、70.49%(合格者数6219人)で、98回に比べて15.11%低くなっている。また6年制既卒は39.85%(合格者数2517人)、その他(旧4年制卒を含む)は13.24%(合格者数90人)であり、受験生にとって厳しい結果となった。第99回薬剤師国家試験は、97回、98回に比べ「基礎力」「考える力」「医療現場での実践力」を問う問題が増加し、問題解決能力や臨床能力をもつ6年制薬剤師に対する期待を感じさせる出題であった。

全体的にバランスとれた“良問”

 第99回薬剤師国家試験(345問)は、解なしが1題あったが、表1(厚生労働省発表)に示すように、受験生全体の平均点は、昨年に比べ15.6点(換算点では4.52%)低下し、「必須問題」「理論問題」「実践問題」のいずれも98回より低い結果であった。

 薬学ゼミナールの「薬ゼミ自己採点システム」(集計数7975人)でみると、99回の各領域別正答率は、総合で比較すると「病態・薬物治療」が僅かに98回を上回っているが、他の領域は下回っている。「必須問題」では、物理、化学、生物が約10%下回り、「薬学理論問題」では、化学、病態・薬物治療、法規・制度・倫理がいずれも約10%近く下回っていた。「薬学実践問題」では、複合問題の物理、化学が約6%低く、「実務」は約14%正答率が低下していた。

 99回の問題は、全体的にバランスのとれた良問が多い印象であったが、「物理・化学・生物」には、高校で学んだ基礎事項や基本的内容が出題されており、基礎力のない受験者には難しい試験であったと思われる。グラフを用いた問題や計算問題は第98回の1.6倍多く、グラフや式、図やイラストが与えられ、これらを用いて正解を導くための「考える力」や「応用力」を必要とする問題も多く、暗記では到底解けないものであった。また既出問題の出題は20%位とされているが、そのままの再出題はなく、既出問題の内容をベースに、問い方や出題形式を変えるなどした問題であったため、多くの受験生が新傾向の問題だと思ってしまったかもしれない(表2)。この傾向は続き、暗記だけでは解けない「理解力」と「考える力」を必要とする国家試験になってくると思われる。また実践問題の「複合問題」と「実務」中心に、第97回や第98回より医療現場での実践的な記述、臨床判断を要求する記述、添付文書からの記載、薬物療法についてなど臨床的知識を問う問題が多く、5年次以降に実施される長期実務実習の重要性が際立った試験であった。

薬剤師国試の概略および対策

 国家試験は、必須問題(90問)と一般問題(255問)の合計345題である。出題試験領域は「物理・化学・生物」「衛生」「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」「法規・制度・倫理」「実務」の7領域である。試験は、領域別に行うのではなく、薬学全領域を出題の対象として、「必須問題」と「一般問題」とに分け、さらに一般問題を「薬学理論問題」と「薬学実践問題」とした3区分で実施した。それぞれの出題区分は下記のような内容で出題される。

 「必須問題」は、全領域で出題され、医療の担い手である薬剤師として特に必要不可欠な基本的資質を確認する問題であり、共用試験と同様の五肢択一の比較的やさしい問題である。また「必須問題」は、一般問題に比べて比較的得点しやすいため得点源である。「必須問題」の得点率が90%なら、「一般問題」の得点率は56.5%で合格基準に達することになる。「必須問題」は、80~90%の得点率を目指して勉強してほしい。

 「薬学理論問題」は、「実務」を除く全領域で出題され、6年間で学んだ薬学理論に基づいた問題である。

 一般問題の薬学実践問題は、「実務」のみの問題と「実務」とそれ以外の領域とを関連させた連問題形式の「複合問題」からなる。「複合問題」は、6年制薬剤師国家試験で初めて導入された出題形式で、症例や事例を挙げて実務の現場で薬剤師が直面する問題を解釈・解決するための資質を問う問題で、実践力・総合力・基礎力を確認する出題である。

 薬剤師国家試験は2日間で実施され、「必須問題」は1問1分、「一般問題」は1問2.5分で解く時間配分になっている。合格基準は、全問題への配点の65%以上を基本とする。しかし、「必須問題」は、全問題への配点の70%以上で、かつ構成する領域の得点がそれぞれ配点の50%以上、「一般問題」は構成する各領域の得点がそれぞれ配点の35%以上とされている。これを「足切り」という。

 4年次に行われるCBTは総点で判断される(60%以上)が、国家試験は、各領域毎に「足切り」が設定されている。いくら総点が合格基準に達していても「足切り」で不合格になるので注意しなければならない。第99回国家試験では、「物理・化学・生物」の「必須問題」と「一般問題」、また「病態・治療」の「一般問題」での足切りで不合格になった受験生が多かったと思われる。

 (薬ゼミ自己採点システム調べ


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