各分野での経験踏まえ
2014年4月、千葉県外房地域の山武長生夷隅医療圏で第3次救急医療を担う地方独立行政法人東金九十九里地域医療センター・東千葉メディカルセンターが開院した。ハイスペックの設備・機器を配備し、災害拠点病院としての機能も有する。フルオープンは16年で、現在もハード・ソフト両面での準備が進められている。同センターオープニングスタッフの一人、篠崎浩司さんは、「薬剤師になって10年が経過。救急・集中治療分野、癌や感染症分野でもっと知識を付け、さらに深く携わっていきたい」と語る。
篠崎さんは02年に星薬科大学を卒業、同大博士前期課程に進み04年に修了。その後、慶應義塾大学病院薬剤部、帝京大学ちば総合医療センター薬剤部を経て、開院前の14年1月から東金九十九里地域医療センター東千葉メディカルセンター薬剤部に着任。現在は、救急・集中治療分野を中心に活躍している。
そもそも篠崎さんが病院薬剤師を目指したのは、「病院では、薬剤部内での調剤や薬品管理などの業務に加え、病棟での薬剤管理指導や病棟薬剤業務を通じ、他の医療スタッフと協働して患者さんの治療に深く関われる。これら業務を通じて薬剤師として幅広い知識や技能を習得できる」と考えたからという。
卒後、数施設を経験しているが、「大学病院での薬剤師業務は非常に多岐にわたり、幅広い知識や技能を習得できるため、当初の就職先として大学病院を選びました。その後は、培った知識、技能を生かし地域医療に貢献したいと思い、東千葉メディカルセンターが新規開院するのに合わせて現職場に就職しました」と語る。
さらに「これまでに一通りの業務を経験し、DI室や注射調剤室の責任者も務めました。特にDI室では医薬品情報の扱い方を学べ、薬剤師としての知識を育ててくれました。それらを踏まえ、現在は救急・集中治療領域における病棟専任薬剤師として、他のスタッフと協働し患者さんの薬物療法に貢献しています」と語る。
具体的には「肝機能・腎機能などの臓器障害や凝固系異常、水分貯留などの薬物動態に変化のある患者さんが多いので、薬剤師の視点から投与量設定や薬剤選択を提案し、適正な薬物療法が行われるよう努めています」という。さらに「その結果、患者さんの薬物療法に貢献できることに、非常にやりがいを感じています」と語る。
篠崎さんは最初の10年はジェネラリストを目指し、様々な分野を勉強。それ以後は、最も興味を持った分野を極めようと決めていたという。
実際に「10年が経過した今、現在業務に深く携わっている救急・集中治療分野や癌、感染に興味があるので、もっと知識をつけていけるようこれからも日々研さんしたい」とさらなる進化を誓う。
最後に「12年の診療報酬改定による病棟薬剤業務実施加算は体制加算であり、病院薬剤師へ期待の表れとして、大きな意味があります。同時にわれわれが試される時でもあり、薬剤師が病棟にいることの結果を残さなければなりません。その意味では若い世代には期待をしています。大学では、薬剤師の基礎である薬学をしっかり身に付け、われわれと共に病院薬剤師を盛り立ててもらいたい」とラブコールを送る。