【ドラッグストアの動向】小売業界で唯一成長続く業態

2015年1月1日 (木)

薬学生新聞


 日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は昨年11月に、「ドラッグストア業界研究レポート2014後期」をまとめた。それによると、ドラッグストア業界はJACDSが設立された1999年頃には約2兆円規模だったが、今日においては約3倍の6兆円産業にまで成長している。同レポートでは、「ドラッグストア業界は、長く続くデフレ不況の中にあっても小売業界で唯一成長してきた業態」と強調する。一方、成長の伸びは鈍化してきており、初めてマイナス成長になる可能性があることを指摘し、主因としては、[1]取り扱いカテゴリーの業態エリアが7割近く、伸び代がない[2]ドラッグストア商圏の著しい狭小商圏化[3]再び起こっている業界再編の波[4]医薬品ネット販売の動きと対応[5]消費税8%導入への現状――を挙げている。

 JACDSの「ドラッグストア業界研究レポート2014後期」では、現在の業界再編に関しては、「ドラッグストア各社における再編の動きが活発になってきている。この動きは業界マーケットが伸び悩む中で、ドラッグストア各社が資本を集約、集中して規模の大きさをもって対応することを狙ったもの」と指摘。「資本の論理から言って、こうした動きは極めて妥当性があるが、その一方で規模の大きさや思想の異なった企業の集合化することが、むしろ縮小化するマーケットへの対応を困難にする場合が多い。仕入力や資金力だけでは、狭小商圏化や高齢者ニーズに対応できないからだ。いずれにしても、新しい時代の消費構造や消費者ニーズにしっかり対応できる経営構造を持つプロトタイプを作り、徹底した現場力を発揮することが重要となる」としている。

 さらに、「“地域密着”が今後発展のキーワードになる」との考えを提示。「チェーンドラッグストアの場合、“地域の健康”と言いつつも、本当に“地域”との付き合い方をしてきたかといえば疑問も多い。確かに“医薬品”をどこよりも安く、どこよりも多く売っていることから、その一部は実現されているかもしれないが、生活者の健康づくりを地域と共に実現しているとは言い難い」とし、「“地域”とどう向き合い、そこに住む生活者の健康を育み、しっかりと収益構造に結びつけることが、ドラッグストア業界やドラッグストア各社の最も大きな課題。大手ドラッグストアのみならず、各地に存在する中小ドラッグストアチェーンの新しい成長の可能性が存在する」としている。

 その上で、「このまま衰退の道をたどるのか、これを起点に再び成長業態になるのか、ドラッグストア業界および各社の対応にかかっていると言ってよい」との考えを示している。

業界は大きく再編へ

昨年10月に4社の経営統合を発表したイオンおよびウエルシアHDの幹部

昨年10月に4社の経営統合を発表したイオンおよびウエルシアHDの幹部

 そうした中、具体的な業界再編の動きの一つとして、昨年10月には小売業大手のイオンと同グループのウエルシアホールディングス(HD)から、ウエルシアHD、CFSコーポレーション、タキヤ、シミズ薬品の4社(いずれもイオングループ)の経営を統合することが発表された。

 イオンとウエルシアHDは、昨年4月14日に業務資本提携の深化を公表し、それ以降、両社およびCFSコーポレーション、タキヤ、シミズ薬品との間で経営統合に向けた討議を重ねてきたが、昨年10月22日に開催されたウエルシアHD、CFS、タキヤ、シミズ薬品の各取締役会で正式に決議した。統合は今年の9月1日を予定し、日本一の売上規模となるドラッグ企業が誕生する。

 今回、イオンがウエルシアHDに対する株式公開買い付け(TOB)を実施し、昨年11月27日にウエルシアHDはイオンの連結子会社になった。ウエルシアHDもイオンによる公開買い付けに賛同していた。

 また、ウエルシアHDとCFSの間で、ウエルシアHDを親会社、CFSを子会社とする株式交換による経営統合に向けた基本合意書を締結。この基本合意のもと、今年9月1日をメドとした経営統合に向けて、現在、ウエルシアHDとCFSで協議を進めている。

 さらに、タキヤ、シミズ薬品の2社を今年3月1日、ウエルシアHDの完全子会社にする予定。これにより関西エリアにおけるウエルシアHDの経営基盤を強固にする考えだ。

 今回の経営統合が完了するのは今年9月1日の予定。その時点における規模は、4社統合による単純合算だが、売上高約5600億円、営業利益約185億円、店舗数約1400店(うち調剤併設約800店)となり、売上規模は日本一となる見込みだ。

 昨年10月22日に都内で開催した記者会見で、イオンの岡田元也社長は、「4社のドラッグ事業をウエルシアに一本化し、国内No.1のドラッグストアチェーンの確立を目指す」と強調。「まずはウエルシアが国内No.1になることを確立した上で、グループを挙げてヘルス&ウエルネスマーケットへの取り組みを本格化していきたい」とした。

 ウエルシアHDの池野隆光会長は、「当社のさらなる飛躍の足掛かりになる」と指摘。「統合のメリットはスケールメリット、ないしはコストの削減、人材の育成だ。CFS、タキヤ、シミズ薬品の関係者と協議し、早急に合併して効果を出したい」と語った。

 また、ウエルシアHDの水野秀晴社長は昨年11月4日の「ウエルシア薬局発足披露パーティー」で今回の経営統合について触れ、「2015年3月にはタキヤ、シミズ薬品、9月にはCFSがウエルシアHDの仲間に入る。非常に忙しいが、非常に楽しみ」と強調。「統合の目的は、日本一のドラッグストアチェーンを作るということ。業績だけでなく、おもてなし・接客の日本一、そして地域に皆様に美と健康の情報を伝達する知識、商品の品揃えなども含め、真の日本一になろうと突き進んでいく」と話した。



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