第75回FIP会議に参加して

2015年11月1日 (日)

薬学生新聞

旭川医科大学病院薬剤部 笠茂 紗千子

ライン川沿いに立つラインタワーからのデュッセルドルフの景色

ライン川沿いに立つラインタワーからのデュッセルドルフの景色

 第75回FIP国際薬剤師・薬学大会(FIP World Congress of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences)がドイツのデュッセルドルフで開催され、会期は9月29日から5日間、108カ国から3200人が参加しました。

 本会のテーマは“Better practice ? science based, evidence driven”(科学をベースとしてエビデンスに基づく-より良い実践を目指して)でした。私の所属する旭川医科大学病院薬剤部は薬剤師による処方入力支援業務についてポスター発表を行いました。

 FIPでは、様々な専門分野の薬剤師や研究者による講演があります。特に印象に残ったのは医療経済学のWailoo教授の “If a technology provides no benefits to patients, it is not an innovation, it’s an invention”です。 つまり、「患者への利益をもたらさない技術は社会を変えるほど革新的な “イノベーション”ではなく、単なる発明である」ということです。研究・臨床・治療、どの場においても患者利益が最重要だと改めて思いました。

スローガンが書いてあるプラカードと一緒に(筆者)

スローガンが書いてあるプラカードと一緒に(筆者)

 会場では様々なスローガンのプラカードを持ったスタッフが写真撮影をしてくれます。 私が選んだのは、“Practice without science is like a pestle without a mortar”(科学なしの実践は乳鉢なしの乳棒のようなものだ)です。mortar(乳鉢)とpestle(乳棒)は昔から薬の調合に使われていたので、海外では薬剤師・薬局のシンボルです。すなわち「薬剤師の実践において科学は不可欠=科学的に考えて行う実践が重要である」という意味になります。

 親交を深めるためのイベントもたくさんあり、Japan Nightは今年、日本病院薬剤師会主催でした。他国の参加者からは、日本の病院薬剤部では臨床、研究、双方に力を入れている事が素晴らしいと言われました。海外の現役薬学生も多く、格安Student Packageを使い積極的に参加し、多くのアジア人が欧米諸国で教育を受けている事に感銘を受けました。

 今回は初めての参加で、海外から学ぶ事もありますが、日本からも発信できる場でもあると思いました。

FIP会場前。後ろにライン川が流れています

FIP会場前。後ろにライン川が流れています

シンポジウムの様子

シンポジウムの様子

ポスターセッション会場の様子。開催期間中640ものポスターが展示されました

ポスターセッション会場の様子。開催期間中640ものポスターが展示されました



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