【学会ダイジェスト】薬剤師の“見える化”推進‐滋賀県薬が近畿薬剤師学術大会で報告

2015年11月1日 (日)

薬学生新聞

 滋賀県薬剤師会は2014年度から2年間限定の「薬剤師見える化特別委員会」を新設し、薬剤師の役割や業務内容を社会に認知してもらう活動に力を入れている。その一環として薬剤師業務のエビデンス構築を推進。残薬回収事業を実施し、医師に連絡して処方を調整するなど薬局薬剤師の介入によって、回収した残薬の74%を有効活用できることを明らかにした。15年度も参加薬局数を増やして同様の事業を行い、その成果を数値化する計画だ。

過去最多の2550人が参加した近畿薬剤師学術大会

過去最多の2550人が参加した近畿薬剤師学術大会

 8月29、30日に神戸市で開かれた近畿薬剤師学術大会で滋賀県薬常務理事の永井智宏氏(かも調剤薬局)が事業の概要や成果を発表した。

 残薬の回収事業は「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進事業」の一環として実施。スーパーのレジ袋タイプの「おくすり持参袋」と啓蒙用のチラシを作成し、会員薬局に送付した。14年12月から15年2月までの3カ月間、この袋を活用して患者や家族、薬剤師自身を含む医療・介護スタッフを通じて残薬を回収した。薬剤師は回収した残薬の中から再利用可能なものがあれば医師に連絡し、処方日数の削減につなげた。

 滋賀県薬は、残薬の商品名や数量、残薬の原因、処理方法、医師への対応などを容易に入力できる残薬確認システムを開発し、各薬局に入力してもらった。そのデータなどを解析し、残薬回収事業の成果の数値化に取り組んだ。

 3カ月間で91薬局が参加し、520人から残薬を回収した。その金額は合計251万8583円。残薬回収後の有効活用率は74%だった。永井氏は「薬剤師の介入によって残薬を有効に活用でき、医療費削減に貢献できた」と強調。滋賀県の全薬局がこの活動を行うと仮定すると3カ月間で約1030万円、全国規模では約11億6800万円の医療費削減効果があると語った。

 15年度も参加薬局を増やして残薬回収事業を実施する計画だ。「n数を増やし、どんな薬、どんな薬効の薬が残薬になりやすいのかを分析したい」と永井氏は強調。看護・介護職への残薬回収の啓蒙にも力を入れるとした。



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