第9回「日本薬局学会学術総会」が“薬局機能を高める・みらいへの展望-問われる私たちの進化と真価”をテーマに、9月26、27の両日、横浜市のパシフィコ横浜で開催された(学術総会会長は大野利美知氏:ファーマライズホールディングス社長)。厚生労働省医政局長(当時、現在は厚生労働事務次官)の二川一男氏による基調講演や、めぐみ在宅クリニック院長の小澤竹俊氏の特別講演、シンポジウム、未来セミナー、ワークショップなど充実したプログラムが実施され、次の時代に向けての新しい薬局の形を力強く発信した。
開会式の中であいさつに立った日本保険薬局協会(NPhA)の中村勝会長(クオール社長)は、日本薬局学会の今後に関して言及。「薬剤師を中心としたNPhA内の学会から、薬学部関係者、医師や看護師なども含めて広い範囲の学会へ拡大していくことが必要ではないか」との考えを示した。その上で、「京都で開催される来年の第10回学術総会を機に、できるだけ開かれた学会に変化させていきたい」と語った。
来賓としてあいさつした東京薬科大学の今西信幸理事長は、「薬学教育が4年制から6年制に変わり、これまでの教育、研究に加え、臨床強化が6年制薬学部の使命となった」と指摘。「そうした観点から、日本薬局学会は貴重な臨床薬学の場。この学会で学び、それらを広めることによって薬剤師の基本的な地位が変わってくると思う」とし、「この学会をさらに発展させ、薬剤師の臨床薬学の拠点にすべき」と述べた。
シンポジウム「認知症患者・家族を支えるための地域での取り組み・挑戦」では、認知症早期発見に向けた薬局の役割などが議論された。
その中で岩田淳氏(東京大学神経内科学講師)は専門医の立場から、認知症診療で薬局薬剤師に期待することとして、▽認知症の人の拾い上げ▽認知症患者の内服薬の確認▽診断後の日常生活の支援――を挙げた。特に、初期の認知症を薬局で見つけるため、頻繁に来局する高齢者と雑談をしてニュース、日付、曜日を質問したり、同じ処方箋を持って来局していないか確認することをポイントとして指摘した。