薬学教育協議会がまとめた「2015年3月薬系大学卒業生・大学院修了者就職動向調査」によると、6年制薬学部73大学(74学部)の卒業生の進路は、薬局が最も多い傾向に変わりはなかったが、就職しなかった学生の総数が1559人と、昨年度の1019人に比べて大幅に増えたことが分かった。このうち、進学者は約7割減少したのに対し、非就職者と未定の合計は1367人と昨年度の743人から1.8倍増となった。第100回薬剤師国家試験の合格率の低さを反映したもので、同協議会は「進学者の減少と非就職者の増加は、薬学の将来にとって憂慮すべき傾向」と警鐘を鳴らしている。薬学生も就職が難しい時代に入りつつあるという認識を持つ必要があるだろう。
表:2015年3月 6年制学科卒業生就職状況(薬学教育協議会調査一部改変)
調査は、6年制第4期生を輩出した薬系大学をはじめ、全国の国公私立薬系大学73大学(74学部)から回答を得た。卒業生総数は8769人で、昨年度に比べて234人増加した。男女別に見ると、男性が3528人、女性5241人だった。
このうち、大学が進路を把握していた就職者は7210人で、卒業生の82.2%となった。就職率は昨年度に比べて5.9%低下し、特に男性では79.7%と8割を切った。就職しなかった人の総数は1559人で、13年度の742人、昨年度の1019人に比べて大幅に増えた。その中で、進学者が170人と、昨年度の246人に比べて約7割も減ったのに対し、非就職者と未定の人の合計は1367人と、昨年度の743人から1.8倍も増えた。
非就職者と未定の人の割合は全体の15.6%を占め、1割を大きく突破した。これは、第100回薬剤師国家試験の合格率が63.17%と低かったことを反映したものであり、同協議会は「薬学の将来にとって憂慮すべき傾向」と警鐘を鳴らした。
6年制卒業生の就職先を見ると、最も多かったのは薬局の2846人で、32.5%を占めた。ドラッグストアなどの一般販売業の405人、卸売販売業の62人を合わせると約4割に上る。次いで、病院・診療所薬局の2346人(26.8%)となった。
これに対し、医薬品関連企業に就職した人は、「開発・学術」が286人と3.3%にとどまり、「医薬情報担当者」(MR)の410人、「研究・試験・製造」の162人を含めても、合計895人と全体の約1割にすぎなかった。行政への就職者は225人と、昨年度の198人から増加した。
昨年度と同様、多くの卒業生が患者と直接触れ合う医療現場、薬剤師免許を活用できる職種を目指しており、医療人養成を目標に掲げる6年制学科卒業生の傾向がうかがえた。
一方、6年制薬学部に併設される4年制学科の第1期生で、大学院博士前期課程(修士課程)、博士後期課程を修了した(4+2+3)卒業生の進路を見ると、博士課程修了者は、国公立が183人、私立が29人で、国公立修了者の85.8%、私立修了者の79.3%は男性だった。