【日本薬学生連盟】「残薬削減」の現場をリポート

2016年1月1日 (金)

薬学生新聞


右から大木先生、山口、飯塚千亜希(日本薬学生連盟会長)

右から大木先生、山口、飯塚千亜希(日本薬学生連盟会長)

 私は、東京都薬剤師会副会長を務めるクリーン薬局(品川区)の大木一正先生に、残薬に関して様々なことを学ばせていただきました。そこで、薬剤師がより積極的に関与すれば残薬はもっと減るということを知り、このようなことを学生のうちから知っておくことは、今後のためにも非常に重要であると実感しました。そのため、薬学生新聞を通じて残薬に関しての知識を少しでも得てほしいと思い、今回このような特集を組みました。

 この記事が残薬に関して考え、行動するきっかけとなれば幸いです。

様々な工夫で“適正化”推進

 Q 残薬として出たお薬は、結局どうなるのでしょうか?

 A 一度患者さんの手に渡った薬は回収したとしても廃棄するしかありません。次回、診察を受けて処方される時、以前まで使っていたお薬でも、使わなくなるものもあります。継続しなくなった薬で余っていたら、有効期限などは関係なく、廃棄処分します。

 Q 残薬が発生しやすいのは、どういった場面ですか?

 A 大きく分けて2つあります。まず1つ目は入退院の時だと思います。

 急に具合が悪くなり、服用途中のお薬を残したまま入院。入院先で新しく処方されて退院する時にそのお薬を持って帰ってきた場合、入院する前まで飲んでいたお薬は残薬になってしまいます。その繰り返しが一つの残薬が積み重なる部分にもなります。

 お薬が多く余るもう1つの場面は施設です。特別養護老人ホームや有料老人ホームなど集団で住んでいらっしゃるようなところでは、残薬はまとまって出てきます。例えば大きな施設では100人も住んでいらっしゃいます。

 Q そのような施設で残薬がまとまって出てくる原因は何ですか?

実際の“残薬”の山を前に

実際の“残薬”の山を前に

 A 主な原因は、服用途中に、その患者さんがお亡くなりになった。あるいは服用途中で施設を退所する患者さんもいらっしゃるので、その時に飲み残しのお薬をまとめて置いていかれることなどが挙げられます。

 Q 入退院の際に出てしまう残薬は、病院側の薬剤師次第でどうにかならないのでしょうか。

 A それは難しいのではないのでしょうか。入院前に使用していたお薬を入院先の病院で管理できるといっても、患者さんがお薬を持ってこられるか否かによります。例えば、救急車で運ばれてくる時に「残薬も一緒に持ってきてください」とは言いません。

 ただ、明日から入院するという時など、「残薬も一緒に持ってきてください」というのは、時間的余裕があるので可能だとは思います。

 病院のシステムと、患者さんの入院時の状況で対応は大きく変わってくるので、今の段階では難しいと思います。

 Q 在宅における残薬解消の取り組みについて教えてください。

 A 訪問先でお薬を整理し、必要があれば再分包したり、飲み忘れ防止のための服薬カレンダーに入れたり、お薬専用のごみ捨てケースを作ったりしています。服薬カレンダーなどをうまく使うことができれば、残薬は格段に減ります。

 Q 在宅でのお薬の管理の方法を教えてください。

 A 重度の認知症で自分のお薬のことが分からない患者さんに対しては、ヘルパーさんに飲み終わったお薬のごみを、専用ケースやかごに入れておいてもらいます。それを薬剤師が一週間に一回、回収し、服薬状況を確認した上で、また服薬カレンダーやピルケースに薬を詰めてきます。

 整理方法は様々で、かっこいいピルケース、あるいはクッキーの空箱やティッシュケースなど活用し、「薬の箱」を作って管理していくと、認知症の患者さんでもうまくお薬を管理することができます。認知症の患者さんのお薬の管理も、残薬を減らすためには重要です。

 ごみ捨てケースのデザインを良くするだけでも、患者さん本人がお薬のごみを捨ててくれるようになることもあります。

 Q お薬を定期的に飲めない患者さんに対する取り組みはありますか?

 A お薬を欠かさずに飲めない患者さんは、服薬カレンダーに詰めた薬をそのままの状態にしておいてもらえば、飲めないタイミングが分かるので、医師に伝え、処方の適正化につなげることができます。それが残薬解消の方法の一つです。

 また、お薬手帳を患者宅で目立つところに下げておくと、薬剤師だけでなく、ヘルパーや看護師など関係職種のみんなが、患者さんが飲んでいるお薬について理解しやすいため、残薬を防ぎやすくなります。

 Q 外来患者さんは、在宅と違って実際の残薬が見えません。そういう時にはどう確認していますか?

 A 患者さん自身が、外来でお薬を取りにくるスパンを把握できているかどうかということがまず一つ。例えば、14日分の処方受けて、きちんと14日後にまた外来で来ているかをお薬手帳や薬歴、レセコンなどで確認します。それがずれていれば残薬が発生している可能性があります。ですが、自分から申し出てくれる患者さんは残薬が把握しやすいです。

 逆に、余っているはずなのに言わない患者さんもいらっしゃいます。それを解決する手段は実際に訪問するか、残薬回収袋を渡し、次の外来の時に、残薬があれば持ってくるように促すことですね。

 持ってきてくれた残薬を薬剤師が確認し、医師にどのくらい余っているのか報告し、残薬の活用を含め、処方の最適化をお願いしています。

 Q 残薬解消のために、改めて薬剤師が活躍できることを教えてください。

 A 残薬の主な原因は、患者さんのお薬に対する理解不足と併用薬を含めたお薬の多さ、それから飲み忘れです。

 患者さんがお薬の管理をできない、飲み忘れる。あるいはお薬が飲みづらいなどの物理的な部分と、飲んでいる薬の重要性など、薬に関する様々な知識部分を補うことは、薬剤師にしかできないことだと思います。

日本大学2年 山口 真奈



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