東京・浅草地区で実務実習に取り組む学生たちが、乳幼児を持つお母さんを対象に「正しい薬の使い方」に関する講演会を、お芝居仕立てで熱演した。いずれも実務実習の合間を縫って練習を重ねたかいがあり、好評だった。本番を終えた学生たちは「練習以上のものができました」「意外なところでお母さんたちが頷いたり、予想以上に良い反応もあった」などと語り、皆、笑顔に満ちていた。他大学の学生同士の絆も深まり、通常の実習では得られない体験に満足な様子だった。
今回のイベントは、浅草薬剤師会が台東区の補助金事業として地域住民向けに実施している、正しい薬の使い方の普及・啓発運動の一環でもあり、“学生公演”も数年来続けられている。
学生がそれぞれお母さん、お父さん、薬局の薬剤師役となり、突然の乳幼児の発熱などいくつかのシチュエーションの中で、粉薬の上手な飲ませ方、坐薬や目薬などの正しい使い方など、芝居仕立てで紹介するというもの。浅草薬剤師会の坂口眞弓会長は「若いうちから、薬剤師が地域の人たちとコミュニケーションを取ることの意味を学んでほしい」と、取り組みの意義を語る。
今回は2015年10月初旬から準備を進め、11月12、17日の2回に渡り、台東区立日本堤子ども家庭支援センターで20人ほどの母子を前に“公演”した。途中、「突如!!クイズコーナー」も取り入れ、より理解が深まるよう工夫もされていた。
公演に先立ち、まず学生自身が、乳幼児への薬の飲ませ方などの練習も行った。粉薬代わりの「きな粉」、錠剤型「チョコ」を錠剤に見立て、実際にオブラートに「薬」を包んだり、服薬補助ゼリーに混ぜて自ら飲み、子供に薬を飲ませることの大変さを体験。
芝居の練習では、「小学校の演芸会以来だ」という学生もちらほら。長ぜりふに悪戦苦闘の様子だったが、坂口さんは「本番までにはちゃんと覚えてきますよ。学生って凄いなって思います」と笑っていた。
いざ本番。その言葉通り、せりふも入り、さらにアドリブも交えて“完璧”な演技を披露。
お母さん役が「うちの太朗は粉薬が上手に飲めないの。何か良い方法はありますか」と聞けば、薬剤師役が「甘い食べ物に混ぜてみるのが良いかもしれないですね」などと熱演。
続いて、混ぜてはいけない食材なども紹介。30分超の長丁場で泣き出す子供もいたが、お母さんたちはあやしながら熱心に聞き入っていた。