2016年度診療報酬改定で、抗癌剤を注射する一部患者に対して算定できる「無菌製剤処理料1」の対象を拡大し、新たに閉鎖式接続器具を使用した場合に180点が算定できるようになった。現行制度では、閉鎖式接続器具を使用した場合、揮発性の高い薬剤では150点を算定できるものの、イホスファミド、シクロホスファミド、ベンダムスチン塩酸塩の3製剤に限定されていたが、今回の対象拡大により、単回使用バイアルを複数回使用し、使い切れずに残った抗癌剤の廃棄量を減らす動きに弾みがつきそうだ。
抗癌剤の保険請求は、使い切った残薬が廃棄されているにもかかわらず、1回のみ使用されるバイアル単位で行われているが、その廃棄額は約500億円に上るとの試算もある。医療費削減に向け、使い切れずに残った抗癌剤を閉鎖式接続器具を使用して安全に次の患者に使うことにより、抗癌剤の廃棄量を減らす取り組みが提言されていたが、閉鎖式接続器具のコストが現行の診療報酬体系ではカバーできないことが課題となっていた。