薬剤師国家試験(以下、国試)では、約2割既出問題が出題されます。また、既出問題を周辺知識も含めしっかり理解していれば、解くことができる問題を含めるとその割合は軽視できないものとなります。まずは既出問題を制覇し、次のステップとして考える問題への応用力を養ってください。今回は、既出問題の解き方を3つの科目の目線から伝授したいと思います。
化学
第97回から新課程の国試へと移行し、化学の内容にも変化が見られています。その代表が「構造式」です。これまでの試験では文章題での出題が多く、文章から構造や反応式を記載し、解答する形式がほとんどでした。一方、第101回では、日本薬局方生薬の理論問題1題を除き、全て構造式が与えられ、ほとんどが構造から判断するような問題が出題されました。
「化学」と聞くと、苦手意識を持つ人が多いと思いますので、苦手意識を克服しましょう!
まずは「構造式を書く!」…「ベンゼン環を見ただけで眠くなる」という学生の声を聞いたことがあります。難しい構造ではなく、ベンゼンやピリジン、ピロールなどの基本的な化合物をすらすらと書けるように練習しましょう。きっと愛着が湧いてきます♪
次に「既出問題を解く!」…相手を知らないとどれくらいの勉強が必要か分かりません。まずは第101回の問題を解き、近年の傾向を探りましょう!また、新国試が始まった第97回から解くと、出題の全体像が見えると思います!自力で難しいと感じる人は、薬ゼミ講習会なども利用してみてくださいね。
例えば、第101回のアザチオプリン(メルカプトプリンのプロドラッグ)の問題ですが、この問題を解くと、プリンの構造を覚える必要があることが見えてきます。
基礎の苦手意識は早めに克服するのがおススメです。ぜひ実践してください!
生物
6年制国試へ移行したことで、生物は「図表」や「構造」を用いた問題、実験問題の出題がスタンダード化され、物事の本質が理解できているか、図表・実験問題を読み解く問題解決能力があるのかが問われてきています。「図表や実験問題になると分からなくなる」という声も多く聞かれますが、これを解決していくための手法をつかみましょう!
その1)構造の特徴、反応の目的をつかむ
その2)具体的な反応の流れ、全体像をつかむ
例えば、第101回問116では複製過程の図からラギング鎖の形成について判断する問題が出題されました。この問題を解くためには、「DNA」の構造を知り、DNA複製反応の特徴・目的をつかむこと、そしてこれらの情報をつなぎ合わせることが必要です。
このほか、脂質や糖質などの代謝、各臓器の機能についても、同じように、まずはその1)から情報を確認し、土台を作っていきましょう!
法規・制度・倫理
近年では、既出問題を理解していることで解答できる問題の出題が多いです。得点を稼ぐには、そのような問題を確実に落とさないようにすることが大切です。
後回しになりがちな科目ですが、今のうちからコツコツと既出問題に目を通しておくことが本番の点数につながります。
以下、表形式にて第101回の問題と他の既出問題を比較してみました。