実務実習における学生の指定白衣はケーシー白衣、長白衣のどちらか?‐東北医科薬科大学が実習先にアンケート

2018年3月1日 (木)

薬学生新聞

東北医科薬科大学が作製したケーシー白衣

東北医科薬科大学が作製したケーシー白衣

 薬学教育においては、5年次に薬局と病院で実務実習を行っているが、実務実習を行う学生は“医療人”としての身だしなみである清潔な白衣等で実習することが求められる。東北医科薬科大学でも、学生に対しシミ・しわのない清潔な白衣で実務実習を行うよう指導しているが、「見た目が学生と分かりやすいケーシータイプの白衣(以下、ケーシー白衣)」を望む実習先も見られたことから、大学指定のケーシー白衣を作製し、実習施設へのアンケートを行った。その結果、1割以上の施設では「ケーシー白衣」を希望していたものの、大多数は「どちらでも構わない」と回答したという。

動きやすく判別しやすさ重視も、大多数は「どちらでも構わない」

 同検討結果は、昨年11月26日に東北医科薬科大学70周年記念講堂で開かれた「宮城薬剤師学術フォーラム」(宮城県薬剤師会の主催、宮城県病院薬剤師会の後援)で、「実務実習における学生の指定白衣に関するアンケート結果」と題して発表された。報告したのは、東北医科薬科大学薬学部薬剤学教室の工藤香澄氏ら。

 同大学で購入可能な白衣は、診察衣(長袖、ダブル)であるが、化学実験等の実験衣としても使用するものと同じであるため、着丈が長く、しぼりの袖も長いので紐がついている。そのため実習先の施設より、動きにくさや袖の紐が不要、との指摘が寄せられたという。また、診察衣であることから施設内で学生であることが分かりにくいとの意見もあり、「動きやすく、見た目が学生であると分かりやすいケーシー白衣を導入してほしい」との要望も寄せられたという。

 このほか、白衣の内側に着用している服装について、襟元等の指摘を受ける学生もいるという。そこで、大学指定のケーシー白衣を作成し、作成した白衣についての実習の可否について、実習施設にアンケートを実施した。

 調査は2017年7月に、同年度に東北医科薬科大学の学生が実習している178施設に対しアンケートを郵送(全220施設であるが、一部本社へ送付)、回収方法はFAXとした。アンケート内容は、学生の服装について「ケーシー白衣」と「長白衣」のどちらを希望するかを聞くと共に、自由記載の欄を設けた。

 ケーシー白衣(指定白衣案)は、大学で検討した白衣で、動きやすさを重視し、伸縮性がある。やや厚手で、下に着用する服が透けない生地であり、同大学の学生であることが分かるよう、袖に校章と大学名を刺繍してある。男女兼用で、長白衣に比べ値段が高くなる(現在は大学では販売していない)

 一方の長白衣は、現在大学で購入可能な白衣であり、実験衣としても使うため、丈が長い。長袖で絞りの紐がついており、丈が長いため動きにくい、しゃがんだ時に裾が床に着くなどの欠点がある。洗濯時にシワがつくため、定期的にアイロンをかける必要もある。安価であり、複数枚の購入がしやすい。

 指定白衣に関するアンケートだが、まず「薬局」は106施設のうち95施設が回答した(回収率89.6%)。結果は「可能な限りケーシー白衣を着用させてほしい」3件、「できればケーシー白衣にしてほしい」5件、「条件付きでケーシー白衣可能」2件、「どちらでも構わない」71件、「更衣室がないため長白衣にしてほしい」4件、「できれば従来の長白衣にしてほしい」8件、「指定ケーシー白衣はやめてほしい」1件、「その他」3件となった。

 ケーシー白衣を着用させてほしいとする意見としては、「現状は当薬局のケーシー白衣を貸与して実習を行っている」「下のズボン指定があるなら指定白衣で良い」「気温に応じて、ケーシー白衣の上に長白衣を着るなどできるようにしてほしい」など。

 これに対し、「長白衣にしてほしい、指定ケーシー白衣はやめてほしい」に関する意見としては、「同時期に複数大学を受け入れた際、大学間で異なるため」「スタッフがケーシー白衣のため、長白衣の方が学生と分かりやすい」「ケーシー白衣の場合は上下セットで考えるべき(特に女子はズボンで)」など。

 「病院」については72施設のうち66施設が回答した(回収率91.7%)。結果は「ケーシーと白のズボンにしてほしい」2件、「可能な限りケーシー白衣を着用させてほしい」7件、「できればケーシー白衣にしてほしい」8件、「どちらでも構わない」37件、「更衣室がないため長白衣にしてほしい」1件、「できれば従来の長白衣にしてほしい」4件、「指定ケーシー白衣はやめてほしい」4件、「指定ケーシー白衣だけは認められないが、ケーシー白衣の上に長白衣を着用すれば問題ない」1件、「その他」2件となった。

 アンケートでは、ケーシー白衣を希望する施設は1割以上いるものの、大多数が「どちらでも構わない」という回答であった。一方で、ケーシー白衣を希望する施設と同数程度、長白衣を希望する施設があることが分かった。

 発表を行った工藤氏は「今回、アンケートを取ることにより、実務実習中の学生の服装について改めて考え直す機会となった。さらに、ケーシー白衣の導入については、下衣も指定にすべきとの意見も多く、また更衣室の必要性も問題視された。実務実習中の学生の服装は、清潔感があり整然とした服装が求められるが、11週間と長期間であり、動きやすく温度変化に対応可能な服装が望ましいと考えられる。今回の結果を受け、学生に対しより一層身だしなみへの意識づけをし、適切な服装で実務実習が行えるよう検討していきたい」とした。



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