キャリア・ポジション社長
西鶴 智香
今回は「就職先へのこだわりの有無」についてです。私は日頃就職活動をする薬学生の相談にのっていますが、毎年のように「まずは病院に就職した方がいいのか?」と聞かれます。薬学生が自らそう考えているのではなく、指導教授や親や就職課などから「いったんは病院に就職して、その後ゆっくり考えればいい」と勧められているのではないかと想像しています。
確かに薬学部が4年制だった頃は実習期間が1~2週間と短く、「最初は病院に就職」とよく耳にしました。様々な疾患に悩む実際の患者を診て、医師の治療方針と薬の使い方を学びたいのが理由です。
現在の病院実習は約3カ月です。病棟活動も経験でき、カンファレンスにも参加します。毎日皆さんを指導してくださった方々は「最初は病院に就職すると臨床の勉強ができていいよ」と言っていましたか?それよりも「チーム医療で働くには深い知識だけでなくプロ意識が大事だよ」とか「医療人マインドを持って」とか、情熱やビジョンを持って働くことが大切と教えて下さったのではないかと思います。
取得を希望する薬学生が多い「がん専門薬剤師」ですが、「最初の数年は病院で勉強したい」程度の意識では取れません。専門や認定資格を取得している薬剤師は、規定の年限以上勤務し、多数の症例を経験したり、学会で発表したり、論文を書いたりした成果で認められたのです。
実は最近、ある学生さんが病院をひとつ受けたが不合格になり、落ち込んで「薬局に志望変更しようか」と言い始めました。自分が目指す病院薬剤師になりたいなら、こだわりを持ってとことん就職活動をして、受かるまでいくつも受けたらいいのです。
それでもどこの病院も採用してくれなかったら、それはひょっとしたら自分には向いていないか、もしくは何かが足りないのでしょう。その時は異業種で働きながら再度自分を見つめ直し、なおチャレンジしたければそこからまた挑めばいい。就職先にこだわりを持てるように、就活前に再度じっくり考えてみましょう。