ニュースダイジェスト

2019年1月1日 (火)

薬学生新聞


薬局初任給、高止まり続く‐男性は「30万円以上」が最多

 薬学生の就職はまだまだ「売り手市場」続いているようだ。薬学教育協議会がまとめた今年3月の就職動向調査から、6年制学科卒業生で最も就職者が多かった薬局の初任給の分布は男性が「30万円以上」、女性が「26万~28万円」が最多となったことが分かった。昨年に比べて男性では、高額な「30万円以上」の割合がやや減少。同時に「24万~26万円」の割合が減少し、「26万~28万円」の割合が増加したことから、同協議会は「雇用側の給与格差の調整が進んでいる」と分析している。依然、売り手市場を反映して特に薬局、ドラッグストアの初任給の高額化は進んでいるが、初任給だけではなく、自分の進路をしっかり見据えた上で社会人の第一歩を踏み出したい。

 初任給が最も高額な職種はドラッグストアなどの医薬品販売業で、昨年同様、男女共に「30万円以上」が最多となった。引き続き売り手市場を背景に高止まりが続いている。

 就職者が最も多い保険薬局の初任給は「16万~18万円」から「30万円以上」まで幅が見られたが、男性では「30万円超」が最多となり、全体の23.2%を占めていた。保険薬局の初任給もドラッグストアと同様に高止まりが続いているが、昨年と比べて「30万円以上」の割合は24.9%からわずかに減少した。さらに、「24万~26万円」の割合が減少する一方、「26万~28万円」の割合が増えており、雇用側の給与格差の調整が進んでいることが考えられた。

 一方、女性では「26万~28万円」が最多で、次いで「24万~26万円」「30万円以上」となった。女性は昨年と比べて低い給与分布の「24万~26万円」の割合が3.5ポイント低下し、高い給与分布の「30万円以上」の割合が5ポイント上昇していることなどから、男女の給与格差が小さくなっていることがうかがえた。

 保険薬局の初任給で男女合わせると、分布が多かったのは「26万~28万円」が22.7%、「30万円以上」が21.6%、「24万~26万円」が20.1%、「28万~30万円」が11.5%と、約8割近くが24万~30万円以上の範囲にあった。最も多い分布がより高い給与にシフトし、30万円以上の割合も昨年より増えており、昨年に比べて初任給はさらに上昇傾向を示す状況にあると言えそうだ。

 国立大学病院など国立系病院薬局の初任給は、男女とも「20万~22万円」が最も多い傾向は変わらず、男性の56.8%、女性の58.0%と半数以上を占めた。次いで「22万~24万円」が多く、昨年より高い給与の分布にシフトした。公立大学病院や自治体系病院薬局の初任給は、男性では「20万~22万円」「22万~24万円」の割合がほぼ同率だったが、女性では「22万~24万円」の割合が最も多く、「20万~22万円」の約1.5倍に達するなど給与は上昇傾向にある。私立大学病院・一般病院薬局の初任給は、「22万~24万円」が最も多かった。

 一方、製薬企業など医薬品関連企業の初任給は、職種によってバラツキが大きいものの、ほとんどが「20万~30万円以上」の範囲にあった。開発・学術職、医薬情報担当者(MR)、研究・試験・製造職は共に「24万~26万円」が最も多かったが、研究・試験・製造の女性については、「22万~24万円」の割合が最も多かった。

日病薬「調剤は禁止対象」‐病院薬剤師派遣が波紋

 大手調剤薬局チェーンの日本調剤が今年7月から労働者派遣事業許可を取得して本格的に開始した病院向け「産休・育休代替薬剤師派遣サービス」が波紋を呼んでいる。東京都内では、東京女子医科大学病院への薬剤師派遣が始まっている中、日本病院薬剤師会の川上純一副会長が外部業者から病院への薬剤師派遣を「容認できない」と意義を唱え、日本薬剤師会も同調する事態となった。川上氏の主張は、労働者派遣法の規定で病院における「薬剤師の調剤」は労働者派遣事業の禁止対象になっているというもので、「医療機関に所属する薬剤師が、病棟業務も含めて自分たちが責任を持って行うべき」と強調して危機感を露わにした。今後、敷地内薬局の設置はさらに全国で広がるとみられる中、病院への薬剤師派遣について関係者が神経をとがらせる状況になっている。

 日本調剤がスタートさせた病院向けの産休・育休代替薬剤師派遣サービスは、東京女子医科大学病院にとどまらず、同社は今後対象地域を広げる姿勢を見せている。敷地内薬局の設置が全国的に拡大する動きも相まって、病院薬剤師への影響が懸念されているところである。

 川上氏が指摘したのは、労働者派遣法で薬剤師の調剤は派遣事業の禁止対象になっていること。医師が処方を確定する前の情報提供やそのための病棟活動、さらに薬を交付した後の服薬説明、服薬管理など一連の業務を「調剤」とする見解を表明し、こうした広義の調剤業務は派遣禁止対象になるとの認識を示した。

 ただし、調剤業務がどこまでの範囲を指すのかという解釈をめぐる議論はあり得るとの見方も示している。病院の医療関係業務は労働者派遣事業の禁止対象となっているが、産前産後休業、育児休業、介護休業を取る薬剤師の代わりに派遣する場合は「可能」とする例外規定が設けられているためだ。今回の日本調剤の事例は、法律や法令の隙間を突いているとも言え、病院薬剤師の職能団体の幹部として強い危機感を示した格好である。

 日本薬剤師会の山本信夫会長も記者会見で「われわれも同じ意見だ」と同調した。規制緩和によって敷地内薬局の開設が解禁されたことで、「薬局がさらに病院の中に入っていき、病院の薬剤師を外に出してしまうのではという懸念はあった」と表明。その上で、「医療機関に勤務する薬剤師はそれぞれ責任を持って院内で仕事をしている」と強調し、「病院薬剤師がアウトソーシングされてしまうと、派遣されてきた薬剤師はどういう責任を持つのかということになる。それを考えると難しいだろう」との見通しを示した。

 また、院内での多職種連携などを考えた場合、外部業者が病院に薬剤師を派遣するケースについて、「極めて問題視している」と強調。「日病薬の副会長として、それは絶対に認めないというのは正しい。われわれも同じ意見だ」と歩調を合わせた。

添付文書情報を電子化‐外箱にQRコード表示

 来年に予定される医薬品医療機器法の改正で、医薬品の添付文書情報が電子化することが決まった。製薬企業が製品の外箱にQRコードを表記し、医療機関や薬局が最新情報に迅速にアクセスできるようにするなどの方策を法律に盛り込む。紙の添付文書を製品に同梱することをやめ、製薬企業、医薬品卸が医療機関を訪問し、電子的な入手方法を伝えるようにする。急速に社会の電子化が進んでいる中、医療機関側から添付文書の電子化を求める声が上がっていたが、長年の課題だった添付文書の電子化がいよいよ実現することになった。ただ、要指導医薬品と一般用医薬品については、消費者が情報内容をすぐに確認できるよう引き続き紙の媒体を同梱することになった。

 厚生労働省の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で議論され、概ね賛同を得た。厚労省は、紙の添付文書が迅速で最新の情報提供に必ずしも役立っていないとして、最新情報を速やかに提供するため記載情報の電子的な提供を基本とする方向性を打ち出し、委員から了承を得た。

 具体的な電子化として、医薬品に紙の添付文書を同梱することをやめ、製薬企業が製品の外箱にQRコードを表記して最新情報にアクセスできるようにし、製薬企業か医薬品卸が医療機関や薬局を訪問し、紙媒体の提供を行いつつ、添付文書情報の電子的な入手方法を伝えることとしている。

 医療現場にとって大きな変更となることから、厚労省は、法改正に当たって十分な経過措置を設ける方針だ。また、要指導薬と一般用医薬品については、消費者が使用時に情報内容をすぐに確認できる状態を確保する必要があるため、紙媒体の同梱を続ける。

 添付文書の電子化に関しては、議論で目立った反対もなく、委員から広く賛同を得た。「全ての医薬品に紙媒体の添付文書が同梱されていることは資源の面で問題。ペーパーレス化を進めることが早急に必要」「電子化を推進し、災害時などでも確実に情報提供できるなど実行性があるものにすべき」など意見が出た。


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