ニュースダイジェスト

2019年1月1日 (火)

薬学生新聞


【国立がん研究センター】DI室の質疑応答をDB化‐AIが最適な回答提示

 病院の医薬品情報(DI)室の質疑応答事例をデータベース化して、人工知能(AI)を使って薬剤師が的確な情報を引き出せるシステムを構築するプロジェクトが昨秋から国立がん研究センターで動き出した。システム会社の木村情報技術が持つAI技術や同社が開発した質疑応答登録システムを応用し、最適なシステムや運用のあり方について共同で研究を進める。当初は3病院で取り組みを開始し、参加病院を段階的に増やしてデータベースを拡充する計画だ。臨床現場での実証も併せて行い、3年後をメドに全国の施設でも活用できるようにしたい考えである。

 この研究に取り組む医療機関は、国立がん研究センター東病院、同中央病院、国立国際医療研究センター病院の3病院。国立循環器病研究センター病院も加わる。これら病院のDI室に蓄積された質疑応答事例を集めたデータベースをクラウド上に構築する。1万5000件以上の事例が集まると想定されており、重複事例の削除や質の評価を行う予定としている。その後、日常的に発生する質疑応答事例も、木村情報技術が開発したシステムを使って、データベースに随時追加する仕組みを設ける。今年からは他のナショナルセンターも段階的に参加し、幅広く質疑応答事例を集める。全国各地の国立病院にも拡大していく計画だ。

 各病院のDI室には、院内の医師や看護師、薬剤師らから受けた医薬品に関する質問に対して、書籍や文献、製薬会社から得た情報に基づき返答した事例が集積されている。様々な病院に参加してもらうことで、各領域を幅広く、深く網羅した巨大な質疑応答データベースの構築を目指すという。

 AIを使って構築したデータベースから、薬剤師が的確な回答を簡単に引き出せるシステムの構築や運用も進める。医薬品に関する質問を受けた薬剤師が、調べたい内容をスマートフォンやパソコンを使って音声や文字で入力すると、集積された質疑応答事例の中からAIが最適なものを選んで示すもの。これまでのように単語を連ねて検索するのではなく、人と対話するような自然言語で入力すると、AIが質問の意図を的確に捉えて回答を導き出す。質疑応答事例の信頼性を保証する仕組みをどのように作るかが今後の課題だ。

【薬機法改正取りまとめ案】かかりつけ「最低限の薬局」に‐継続的な薬学的管理義務づけ

 薬局・薬剤師のあり方を議論してきた厚生労働省の専門部会は昨年12月14日、医薬品医療機器法の改正に関する取りまとめ案を了承した。合わせて大きな議論となった医薬分業に関する取りまとめも行い、当面の目指すべき薬局・薬剤師の方向性が固まった。法改正により、薬局全体の底上げを図るため、国が求めているかかりつけ機能を持った薬局を「最低限の薬局」として位置づけるほか、薬剤師に服用期間の継続的な薬学的管理と指導内容の記録を行うことなどを義務づけることになった。医薬分業に関する取りまとめでは、単純な対物業務だけで業が成り立っている、経済的な利益追求や効率性にのみ目を奪われ、本来の機能を果たしていないなど厳しい言葉が並んだ。今後、薬剤師として社会に出る薬学生には、目指す職場環境がどうなるかを業界研究に当たって注目される内容が目白押しであり、要チェックと言えよう。

 薬機法改正に向けた取りまとめでは、患者が自ら適した機能を持つ薬局を主体的に選択できるよう、薬局開設許可に加え、特定の機能を持つ薬局を法令上明確にし、表示できるようにするとした。具体的には、「患者のための薬局ビジョン」で示されたかかりつけ機能などを基本とし、これが開設許可要件を満たす最低限の機能を持つ薬局と位置づけた。

 その上で、▽地域で在宅医療への対応や入退院時をはじめ他の医療機関、薬局との服薬情報の一元的・継続的な情報連携を担う薬局▽癌などの薬物療法を受けている患者に対し、医療機関と密接に連携し、より丁寧な薬学管理や、高い専門性のある特殊な調剤に対応できる薬局――に分類する。

 服用期間を通じた継続的な薬学的管理と患者支援も義務づける。現行法で薬剤師が患者に対する情報提供、指導義務が規定されているのは「調剤時」のみ。そのため法改正により、調剤時のみならず、薬の服用期間全体で必要な服薬状況を把握したり、薬学的知見に基づき指導する義務があることを明確化する。

 さらに、こうした取り組みが効果的に実施できるよう把握した患者の服薬状況に関する情報や指導内容の記録を義務づけることとした。

 薬局薬剤師が把握した患者の服薬状況に関する情報は、医師、歯科医師、医療機関の薬剤師へ「適切な頻度で提供するように努めることを明確化すべき」とし、医師などへの情報提供も義務化する。複数の委員が主張していた薬局開設者のガバナンス強化については、医薬品の製造・流通・販売に関わる者のガバナンス強化に含める形で盛り込んだ。薬機法上の許可等業者に対して、法令遵守とそのための体制整備など必要な措置、必要な能力のある責任者、管理者を選ぶことを義務づけ、チェーン薬局など許可等業者が法人である場合は、役員が法令遵守に責任があることを薬機法上明確化するほか、責任役員による法令遵守を担保するため、必要に応じて責任役員の変更を命じることができるようにする。

 また、医薬分業に関する取りまとめでは、調剤技術料が直近で1.8兆円に達しているにも関わらず、患者負担に見合ったメリットがないと厳しい指摘が続いているとし、現在の医薬分業は政策誘導の結果の形式的な分業で多くの薬剤師・薬局が本来の機能を果たせておらず、医薬分業のメリットを患者も他職種も実感できていない、単純に対物中心の業務を行うだけで業が成り立っており、患者や他職種から意義を理解されていないという危機感がないなどと厳しい内容が並び、このことを関係者が重く受け止めるべきと強く指摘した。その上で、今後の地域における薬物療法の提供に当たっての患者支援のあり方について、改めて服薬情報の一元的・継続的な把握し、最適な薬学的管理・指導を行うことの重要性を強調。そのためには、かかりつけ薬剤師・薬局の機能を果たすことが必要とした。


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