【各業界の動向と展望をチェック!】薬価改革が海外シフトの引き金に~製薬企業の動向~

2019年3月1日 (金)

薬学生新聞


 2018年度は製薬業界にとって例年にも増して厳しい事業環境となった。昨年4月に実施された薬価制度の抜本改革により、新薬の特許期間中であっても特定の条件を満たさなければ、薬価を引き下げるなどの新しいルールが導入され、製薬企業の国内売上が減少した。ただ、製薬各社の18年度中間決算を見ると、大手・準大手企業を筆頭に、国内の落ち込みを海外の売上増でカバーし、好調な業績で着地している。国内製薬最大手の武田薬品は、日本企業の買収額では過去最大となる約460億ポンド(7兆円)でアイルランド同業大手シャイアーを買収し、世界トップ10の製薬企業に躍り出るなど、大きな注目を集めた。

 新しい薬価制度では、新薬の特許期間中は薬価を維持する「新薬創出等加算」を抜本的に見直すルール変更で、新薬の約70%弱が新薬創出等加算の要件を満たさず、薬価が引き下げられた。ただ、一つの新薬を生み出すのに莫大な研究開発費がかかる製薬企業にとっては、薬価が引き下げられれば投資が回収できなくなるおそれもある。製薬企業の業界団体である日本製薬団体連合会や日本製薬工業協会は、薬価制度の抜本改革について、「新薬開発のイノベーションを阻害する結果となる」と厳しく批判し、制度の見直しを訴えている。

 薬価制度の抜本改革は、国内製薬企業のグローバル化を加速させる引き金になりそうだ。国内の製薬企業は海外市場に進出し、日本市場に対する経営依存度を下げ、収益を最大化させる戦略を取るようになってきた。実際、18年度の中間決算では、国内売上の減少分を海外市場でカバーする大手・準大手は堅調な業績だった。アステラス製薬、エーザイ、小野薬品、塩野義製薬など通期予想を上方修正した企業も多く見られた。一方で、国内を中心とした中堅企業には、薬価引き下げの影響を大きく受け、将来の成長に向けて、事業構造改革を進めているところもある。

 個別企業での18年度最大のニュースといえば、武田薬品が自社と同規模のアイルランド製薬「シャイアー」を買収した出来事を挙げたい。世界売上高20位の中規模の製薬企業から、一気に売上高3兆4000億円の世界トップ10のメガファーマとなり、世界的な製薬企業を意味する“グローバルファーマ”の仲間入りを果たした。さらに今年に入ってから、米ブリストル・マイヤーズスクイブが、血液癌領域に強い米セルジーンを約8兆円で買収するとの発表も行われている。

 製薬業界に関心のある薬学生のみなさんが業界研究を始める場合には、製薬各社のホームページに入り、会社の成長ビジョンとなる中期経営計画で、その会社の強みや事業目標、事業領域、国際展開に対するスタンスなどを読み比べ、本当に働きたいと思える志望企業を探してみるといいかもしれない。



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