ニュースダイジェスト

2019年5月1日 (水)

薬学生新聞

薬局の後発品割合が上昇‐体制加算見直しなどで75%に

 政府が推進する2020年の後発品数量シェア80%の目標に向け、薬局での後発品使用割合が上昇している。厚生労働省が示した18年度診療報酬改定の検証調査結果では、薬局の平均使用割合が6.6ポイント増の74.9%となった。18年度改定で「後発品使用体制加算」の算定要件を見直し、算定可能となる使用割合の下限を75%以上に引き上げたことなどが影響したと見られる。また、使用割合75%以上の薬局は26.3ポイント増の59.2%となった。後発品調剤に対応するため、薬局の備蓄品目数も増えたが、厚労省は「加算要件を厳しくした効果が出た。薬局が頑張ってくれた」と評価した。

 調査は、保険薬局1500施設、診療所1500施設、病院1000施設を対象に昨年10月に実施した。

 18年度改定では、後発品調剤体制加算をこれまでの加算1(65%以上、18点)、加算2(75%以上・22点)の2区分から、加算1(75%以上、18点)、加算2(80%以上、22点)、加算3(85%以上、26点)の3区分に変更し、底上げを図った。

 その結果、後発品の平均使用割合をみると、改定後の18年7~9月で加算1の「75%以上80%未満」が19.1%、加算2の「80%以上85%未満」が18.3%、加算3の「85%以上」が16.7%で、改定前の同時期に比べ、それぞれ3.1ポイント、6.3ポイント、12.9ポイント高かった。

 一般名処方の品目数割合も増えた。18年度改定では一般名処方加算に関し、後発品がある全品目で一般名処方されている場合の「加算1」を3点から6点、1品目でも一般名処方がある場合の「加算2」を2点から4点に倍増した。

 その結果、18年9月7~13日までの1週間に一般名で処方された品目数の割合は、前年から8.4ポイント増の43.3%に増えた。また、先発品名で処方された品目のうち、後発品への「変更不可」となっている品目数の割合は前回調査から2ポイント減の6.1%となり、後発品名で処方された品目のうち、後発品への「変更不可」とされた品目数の割合も0.6%に減少した。

 後発品の備蓄品目数は、平均329.7品目(17年6月)から平均363.2品目(18年10月)に増加。その大部分を内服薬が占めた。

 後発品の廃棄額(18年4~6月の1カ月分)は、平均4304円に増えており、17年度の平均3389円と比べると27.0%の増加率となった。

 また、後発品を積極的に調剤していない、調剤しにくい医薬品の種類として回答があったもののうち、最も多かったのは「精神神経用剤」(25.0%)で、次いで「抗不安剤」(21.8%)、「催眠鎮静剤」(21.4%)、「抗悪性腫瘍剤」(19.9%)、「免疫抑制剤」(14.9%)、「抗てんかん剤」(14.7%)と続いた。

【第104回薬剤師国試】合格者3年ぶり1万人超え‐「禁忌肢」の影響は限定的

 厚生労働省は3月25日、第104回薬剤師国家試験の結果を発表した。受験者数1万4376人のうち、合格者は1万0194人で前回より610人上回った。合格率は0.33ポイント増の70.91%だった。

 2016年の第101回試験以来、合格者数が3年ぶりに1万人を超えたが、合格率が前回と同水準だったことを踏まえると、受験者数が前回より797人増えたことが影響したと見られる。また、今回の国試から導入された、薬剤師にすべきでない受験者を識別するため、一定数以上選択した場合に自動的に不合格となる「禁忌肢」は、誤って2問まで選択しても不合格にならない措置が取られ、合格率に与える影響は限定的だったと見られる。

 6年制新卒者の合格者は8129人で合格率は85.50%、6年制既卒者は1950人で43.07%だった。新卒者は、前回の84.87%から0.63ポイント増で、既卒者は前回の47.00%から3.93ポイントの減となった。

 合格率を男女別に見ると、男性が68.76%で、女性が72.34%だった。大学の設置主体別の合格者数は、国立が550人(合格率85.40%)で、うち6年制新卒が449人(94.13%)、6年制既卒が30人(52.63%)、その他(旧4年制卒、受験資格認定者)が71人(64.55%)だった。

 公立は253人(88.15%)で、うち6年制新卒219人(95.22%)、6年制既卒17人(60.71%)、その他が17人(58.62%)。私立は9391人(69.85%)で、6年制新卒7461人(84.77%)、6年制既卒1903人(42.84%)、その他27人(13.37%)だった。

 大学別に合格率を見ると、90%を超えたのは6校、50%を下回ったのは6校だった。合格率が最も高かったのは九州大学の95.35%で、金沢大学95.24%、名城大学92.34%、京都薬科大学91.16%、慶應義塾大学90.70%と続いた。

 新卒の合格率100%は、九州大学、長崎大学、京都大学、東京大学の4大学だった。

【18年・IQVIA調査】医療用医薬品市場1.7%減‐2年連続マイナス成長

 2018年の国内医療用医薬品市場が、前年比1.7%減の10兆3374億円となったことが、IQVIA社の調査で明らかになった。昨年4月に医薬品の薬価を引き下げる「薬価制度の抜本改革」による影響で2年連続のマイナス成長となり、17年の1.0%減よりも大きな減少幅となった。

 薬効分類別では抗腫瘍剤が二桁近い伸びを示したほか、製品別ではC型慢性肝炎治療薬「マヴィレット」が前年のランク外から首位に躍り出た。マヴィレット、抗癌剤「アバスチン」「オプジーボ」の3製品が売上1000億円を超えた。

 日本医薬品市場は4年連続で10兆円を超えたが、金額ベースでは前年から1770億円程度減少し、市場縮小に歯止めがかかっていない。病院市場は0.7%増の4兆5403億円と前年のマイナス成長から微増に転じた。しかし、開業医市場は2.3%減の2兆1155億円、薬局その他市場は4.1%減の3兆6816億円と縮んだ。

 薬効分類別では、抗腫瘍剤が12年から年間トップを堅持し、9.6%増の1兆2001億円と大きく伸びた。2位には糖尿病治療薬が0.2%減の5493億円、3位には抗血栓症薬が2.2%減の4280億円と続いた。レニン・アンジオテンシン系は14年からマイナス成長が続き23.9%減、脂質調整剤、動脈硬化用剤が16.1%減と生活習慣病治療薬の市場が大きく縮小している。

 上位10製品では、17年11月発売のマヴィレットが前年比10倍以上の伸長率で、前年トップのアバスチンに代わり首位に浮上。17年2月発売の抗癌剤「キイトルーダ」も6位にランクインした。胃潰瘍治療剤「タケキャブ」がランキング入りする一方、前年10位以内だった糖尿病治療薬のDPP-4阻害剤「ジャヌビア」、アンジオテンシンII受容体拮抗剤「オルメテック」、経皮鎮痛消炎剤「モーラス」はランク外となった。

中性脂肪異常改善剤「エパデールT」、第1類薬移行‐医療機関で血液検査義務づけ

 薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会安全対策調査会は、持田製薬の中性脂肪異常改善剤で、要指導医薬品の「イコサペント酸エチル」(製品名:エパデールT)を一般用医薬品の第1類として販売することを了承した。厚生労働省は先月15日、都道府県に通知を発出。添付文書を改訂し、患者が服用後の血液検査を医療機関で必ず行うことや販売時に用いたセルフチェックシートを2年間保管することを薬局等に義務づけ、求めに応じて製造販売業者に提出するなどを求めた。

 要指導医薬品のエパデールTは、服用後の血液検査の実施率が低いことなどが問題視され、第1類に移行することに委員からも賛否が分かれた。調査会は、重篤な副作用は報告されておらず、安全性などに問題がないとし、「承認拒否事由に当たらない」と判断。断固反対だった日本医師会も含め一般薬への移行を認めた格好だ。

 ただ、日医が一貫して生活習慣病治療薬の一般薬移行に反対してきた経緯を踏まえ、「今回は特例として認めるが、本来は要指導薬にとどめておくべき」と、他の生活習慣病治療薬の一般薬への移行は認めない考えを示した。

 今回の通知では、従来の販売時の対応に加え、製造販売業者に薬局等の名称と所在地を予め登録した上で、これら情報を管理することを求めた。同剤の服用のみで症状を改善できるよう患者に誤解させないため、添付文書に「中性脂肪の改善には、食事や運動など生活習慣の改善を合わせて行うことが大事」と追記する。

 また、血液検査に関する記載については、「服用3カ月後には、医療機関等で血液検査を行い、中性脂肪値の改善を確認すること」と改訂するよう求めている。薬局向けの情報提供資料についても、「医療機関等で血液検査が行われていない場合は、3カ月経過ごとに血液検査を行うよう繰り返し指導すること」と記載することとした。

 薬局には、販売時に購入者からセルフチェックシートの提出を必ず求めると共に、これまでの購入回数に関わらず、血液検査の結果・検査年月が記入されていることなど、販売して問題ない患者であることを確認することとし、インターネット販売でも同様の対応を求めた。

 販売時に使用したセルフチェックシートを販売ごとに購入者から受け取ると共に、2年間の保管を義務づけ、求めに応じて製造販売業者に提出することとし、購入履歴も2年間管理する。血液検査の結果、中性脂肪の改善が見られない場合は服用を中止するよう指導し、受診勧奨を行うこととした。

 生活習慣の改善状況や服用継続の可否を定期的に確認する観点から、一度に販売可能な数量を原則として1カ月分までとしている。



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