【各業界の動向と展望をチェック!】医薬品の安定供給が使命~医薬品流通の動向~

2020年3月1日 (日)

薬学生新聞


 日本における医薬品流通は、医療用の場合、製薬メーカーから医薬品卸へ運ばれ、医薬品卸から十数万軒の医療機関・調剤薬局へ届けられる。サプライチェーンの真ん中にいる卸は日々、医療現場で必要とされる安全・安心な医薬品を、安定して供給している。

 しかも、大地震・津波や台風・大雨など大災害発生時には、自ら(本人、家族、自宅、会社)被災していても、医薬品卸の社会使命を自覚し、患者の生命と人々の健康に不可欠な医薬品を、必要な時に必要な場所へ確実に届けたことは、いろいろな報道で紹介された。この活躍で医薬品卸は、社会インフラの一つとして認知され、2016年には日本医薬品卸売業連合会が団体として厚生労働大臣表彰(薬事功労)の栄に浴した。医薬品は誰かが必ず現場に届けなければ患者に渡らないのだから、当然の評価である。この卸の活動は災害に限らず、新型インフルエンザ等のパンデミック発生時も同様である。

 一方、医薬品流通には依然として不可解な商習慣も存在する。薬の価格を決めずに納める「未妥結・仮納入」、薬価改定には薬価調査による単品毎の市場実勢価格の把握が必要だが、それをいろいろな製品の価格をまとめた「総価取引」などであり、値段を決めずに納品することは他の業界ではあり得ない特殊な状況である。

 これら昔から業界に残る習慣を正常に向かわせるべく、長きにわたって流通の近代化、流通改善に取り組んできたが、なかなか是正成果は得られなかった。そこでとうとう国が主導して、「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドラインについて」を、厚生労働省医政局長・保険局長の連名で18年1月23日に発出し、4月1日から適用された。

 流通改善ガイドラインの遵守によって、薬価調査に影響する単品単価取引や早期の価格妥結などで一定の成果が見られ、一歩前進と評されていた。その後も、「医療用医薬品に関する販売情報提供活動ガイドライン」、「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」が出されたことを受けて、医薬品卸として適切に対応するため種々の取り組みを進めていた。

 そんな矢先の昨年11月27日、医薬品大手4社のアルフレッサ、メディセオ、スズケン、東邦薬品へ、公正取引委員会が地域医療機能推進機構(JCHO)での医薬品入札に関する独占禁止法違反(談合)疑惑で犯則調査権に基づく強制調査に入った。マスコミにも取り上げられたので、知っている薬学生も多いと思う。現在は調査中であり、公取委の結論を待つしかないが、正すべきは正さないと、国民と関係者からの信頼は失墜したままとなり、医薬品卸の存在意義さえ危うくなりかねない。今後の推移を見守りたい。

 なお、今年10月には2年に1度のIFPW(国際医薬品卸連盟)総会が東京で開催される。世界中の医薬品メーカー、流通、販売の専門家たちが一堂に会して、医薬品に関する課題や解決策、将来の展望について議論を展開する予定となっている。グローバルな知見に触れられる機会であるので、関心のある人は注目してもらいたい。



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