【国試予備校の現場から】新型コロナ治療薬の知識

2020年7月1日 (水)

薬学生新聞

メディセレスクール社長
児島 惠美子

児島惠美子氏

 こんにちは。メディセレのしゃっちょう、児島惠美子です。1720年のペスト流行を皮切りに、1820年にはコレラ、1918年にはスペイン風邪、そして2020年には新型コロナウイルス(COVID-19)が流行し、世界が危機に瀕しています。薬学生としてCOVID-19感染症の治療薬について知っておきましょう。

 国内では5月に「レムデシビル」(商品名ベクルリー)がCOVID-19感染症治療薬として承認されました。通常は申請から承認まで1年以上かかりますが、特例承認という枠組みによって、異例の3日で承認されました。製薬メーカーが主導的に行うヒトを対象とした企業主導治験の結果だけではなく、医師自らが主導して実施する医師主導治験の結果も踏まえて審査されました。治験実施期間もデータ数も少ないので、今後は有効性や重篤な副作用の出現を、市販後調査でチェックをしていかなければなりません。

 さらに厚生労働省は「COVID-19感染症に対する医薬品などは、治験の結果がなくても、国際的な科学的、倫理的水準を持たした公的な研究事業で有効性や安全性が確認された場合は、そのデータを用いて薬機法上の承認申請が可能になる」と発表しました。治験成績なしで承認申請できるという大胆な発表です。通常、治験には長い期間がかかるため、それが終わるのを待たずにCOVID-19感染症治療薬を早く承認して増やそうということです。インフルエンザ治療薬「ファビピラビル」(商品名アビガン)のように、既に他の病気への適応が認められている薬は、承認に必要なデータの多くが揃っているのでアリですね。

犬用「イベルメクチン」。骨の形を模したチュアブル製剤になっている

犬用「イベルメクチン」。骨の形を模したチュアブル製剤になっている

 COVID-19感染症治療薬候補の一つである「イベルメクチン」(商品名ストロメクトール:駆虫薬)は、犬にもよく使われます。犬用はチュアブル錠です。ワンちゃん喜ぶ、牛肉味のジャーキータイプ。薬剤師たるもの、きちんと情報を把握し、発信しなければいけません。ということで試しに実食。噛んでしっとり、ほのかな肉の風味でした。お味は…微妙(笑)

 共に知識を更新し、正しく怖がり、正しく行動していきましょう。



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