キャリア・ポジション社長
西鶴 智香
前回から「独立」についてお伝えしています。前回は、慎重な準備をしなくても独立できる場合があるというお話をしました。そういう独立の仕方もありますが、大抵の場合は「独立資金」が必要になります。今回は、知っておきたい「独立資金」について話します。
「薬剤師として理想の薬局を作りたい」と開局を目指す場合を考えてみます。この場合、事前に必要な資金を準備しなければなりません。まずは会社を作るための資金が必要です。今は資本金が少額でも会社を興すことができる時代になったので、これには大きなお金は要りませんが、法務局に行って会社設立の申請が必要になるなど、少しずつ何かとお金がかかります。
その上で一番大きな資金が必要になるのは、薬局の建物を借りる時の保証金や、作る時の内装工事費、機械・什器等の設備費です。薬局は店舗業、つまりお店になりますので、できれば建物の1階を探すことになると思いますが、ご想像通り一番家賃が高いのは建物の1階です。そういったいろいろなことにお金がかかりますので、薬局を開くには1000~3000万円くらいの資金が必要になります。スタッフを1人でも雇えば給料を払わなければなりませんので、更に資金を準備する必要があります。
薬局を作るにはそんなにお金がかかるのか、と驚かれるかもしれませんね。自分でできることはなるべく自分でやるとか、安い業者を探すとか、居ぬき(以前借りていた会社の設備等が付いている)物件を探すとか、工夫次第で少しでも経費を節減できます。
運転資金も必要です。薬局の場合、その月の患者の自己負担額以外の売上げ金(保険請求分)については2カ月後の入金になりますので、給与の支払い等でまずは3カ月の運転資金を準備する必要があります。
さて、それではその資金は自己資金で賄わなければならないのでしょうか。資金の調達の仕方には、自分の貯金を取り崩す方法と、金融機関から借りる方法があります。金融機関からお金を借りる場合、例えば突然1人で銀行の窓口を訪れ「お金を貸してほしい」と言ってもすぐには貸してはくれません。創業時は「日本政策金融公庫」等が融資を検討してくれやすい機関で、融資額の利子率、保証人の要否等の確認は慎重に。この話、次回に続きます。