ニュースダイジェスト 「薬事日報」の紙面から

2021年1月1日 (金)

薬学生新聞

【厚労省】コロナ感染者、受験認めず‐薬剤師国試で異例の措置へ

 厚生労働省が2021年2月20、21日に実施する第106回薬剤師国家試験は、新型コロナウイルス感染症の診断がなされた場合、受験を認めないという異例の措置が取られることになった。会場入口で検温を実施し、37.5℃以上の者には迅速抗原検査を実施。陽性反応が出た場合はオンラインで医師が診察を行い、新型コロナウイルス感染症の診断がなされた場合は受験を認めず、追加試験も行わない。濃厚接触者については、試験当日に無症状などの条件を満たせば別室で受験を認める方針。受験者には、試験当日まで感染防止対策など万全の準備が必要になりそうだ。

 第106回薬剤師国試は、新型コロナウイルス感染症対策を行った上で、国試の科目、実施方法、合格者の決定方法は変更せずに実施する。

 試験当日に新型コロナウイルス感染症に罹患し、入院中、宿泊療養中、自宅療養中の受験者は受験を認めない。会場入口でサーモグラフィカメラによる検温を実施し、37.5℃以上の者や咳などの症状を認めた者は再度、接触型体温計により検温し、37.5℃以上の発熱が認められれば、迅速抗原検査を実施する。

 検査の結果、陽性反応が出た場合は、オンラインで医師が診察を行い、新型コロナウイルス感染症と診断されれば受験を認めず、追試などの救済措置も行わない。それ以外の場合は別室での受験となる。

 試験当日、新型コロナウイルス感染症の診断で受験できなかった受験者に限り、試験日前後2週間に診断書などの提出によって受験手数料を返還する。

 保健所から濃厚接触者に該当するとされた者については、試験前日までに予め申し出ることとした。当日の受験については、▽自治体によるPCR等検査で陰性▽受験当日も無症状▽公共の交通機関を利用せず、自家用車などを使って人が密集する場所を避けて試験場に行く――の条件を満たした場合に別室での受験が可能になる。

 当日の試験では、受験者間の間隔を1m以上確保するとされ、受験者にはマスク着用を義務づける。第105回薬剤師国試は全国13会場で実施したが、できる限り広い試験会場が必要になることから、会場数が増える可能性がある。希望者数の状況により、受験願書に記載した受験地に隣接する都道府県に所在する試験会場で受験してもらうこともある。

 感染状況がさらに拡大した場合、新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる場合の受験要件がより厳しくなる可能性もあるという。

(2020年12月7日掲載)

【厚労省】薬剤師の配置時間見直しへ‐年度内に一定の方向性

 厚生労働省は2020年11月26日の規制改革推進会議医療・介護ワーキンググループで、OTC医薬品販売に関する薬剤師や登録販売者の配置時間や対面販売の規制について「早急に見直す方向で検討する」方針を示した。特に有資格者の配置については、年度内に一定の方向性を示すと明言したが、委員からは検討の加速化を求める注文が相次いだ。

 OTC薬の販売をめぐっては、10月の会合で日本フランチャイズチェーン協会などが、開店時間のうち半分以上は薬剤師等の有資格者を配置する規制を見直すこと、オンラインを活用した遠隔システムで有資格者が患者の相談を受け付けた上で、在庫のある最寄り店舗でOTC薬を受け取ることができるよう要望していた。

 この日のWGで厚労省は、見直しを求められた規制について「早急に見直す方向で検討したい」との考えを示した。特に有資格者を営業時間の半分以上配置する規制に関しては、今年度中をメドに一定の方向性を出したいとした。

 ただ、委員からは「見直しの内容や検討の進め方などについて、早く結論を出してほしい」「年度内というタイムスパンでは遅い。スピード感を持った取り組みが必要」など、より踏み込んだ取り組みを求める意見が相次いだ。

 大石佳能子座長(メディヴァ代表取締役社長)も「世間や関係者の求めるスピード感に追いついていない。従来の規制の枠内で検討しているように見え、根本的な考えから振り返った上で進め方を改めて整理し、早急に取り組んでもらう必要がある」と述べた。

(2020年11月30日掲載)

【MR認定センター】MR総数、過去最大減続く‐製薬大手の人員削減が影響

 MR認定センターは「2020年版MR白書」をまとめた。2020年3月末時点のMR総数は、前年比2742人減の5万7158人となり、2年連続で過去最大の減少となった。2000人以上の大幅な減少が続く厳しい状況が明らかになった格好で、減少したMR数のうち、MR雇用規模が1000人以上の企業のMRが約6割を占め、大手製薬企業を中心とした人員削減が大きく響いた。

 同センターに登録している企業総数は、昨年から3社減の200社となった。内訳を見ると、内資系企業が3社減、外資系企業が1社減、MR業務委託・派遣企業(CSO)が1社増となった。

 MR総数は、13年度の6万5752人をピークに、14年度が1095人減、15年度が522人減、16年度が950人減、17年度が752人減、18年度が2533人減となっており、19年度は過去最大の2742人減で、6年連続の減少となった。

 認定取得者は2522人減の5万6058人で、MR認定証取得率は98.1%だった。管理職数は537人増の8717人と増加に転じた。

 MR雇用規模別のMR数は「99人以下」が20人増、「100人~299人」が64人減、「300~499人」が124人減、「500~999人」が961人減、「1000人以上」が1613人減となり、大手製薬企業のMR数減少が目立った。

 薬剤師のMRは、156人減の4997人だった。MR総数に占める薬剤師MRの比率は0.1ポイント増の8.7%となった。

 MRの新卒採用を行った企業は、0.4%減の85社。そのうち、内資系企業が68社、外資系企業が17社となった。中途採用したのは130社で2.4%増加した。

(2020年11月2日掲載)

【厚労省】スイッチOTC化で中間案‐薬剤師が重要な役割担う

 厚生労働省は2020年12月2日、「医療用医薬品から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」でスイッチOTC化の要望と議論を効果的、効率的に行うための中間取りまとめ案を示した。要指導・一般用医薬品では薬剤師が服薬指導・薬剤選択、フォローアップを担うなど重要な役割を担うとし、スイッチ化が可能な医薬品については使用者自身が症状を判断できるアレルギー性鼻炎治療薬などを候補に挙げた。

 中間取りまとめは、検討会議で議論となった事項などをまとめ、スイッチ化の要望と議論を効果的、効率的に行うことが目的。骨子案の議論を踏まえ、論点や課題を記載した中間取りまとめ案として明示した。

 中間案では、スイッチOTC化により、医療用医薬品から転用されて薬局などで販売されるようになることで、各ステークホルダーの責任を明確化した。医療用医薬品では医師が診断・処方を行い管理するのに対し、一般用医薬品は使用者自身、または薬剤師による管理とした。薬剤師は使用者への服薬指導や薬剤選択などでも重要な役割を担うと明記した。

 また、使用者である国民に対しても、薬剤師に症状や服薬状況などの個人情報を正確に伝達し、医薬品を自己選択することへの責任などを求めるとした。

 スイッチ化が可能な医薬品については、使用者の状態や変化に応じて、医師による薬剤選択や用量調整を必要としない薬剤であることを要件とした。使用者自身が症状を判断することが可能で、使用者自身の判断で適正に短期間使用することが可能な医薬品などを候補とし、アレルギー性鼻炎薬や解熱鎮痛薬、過敏性腸症候群(IBS)治療薬を例に挙げた。

 この日の会議では、スイッチOTC化をさらに推進していくために薬剤師と医師との情報連携のあり方をめぐって議論が行われた。小縣悦子構成員(日本女性薬剤師会副会長)は、医師と薬剤師間の検査情報共有化に言及。「処方箋以外の共通資料として検査情報があれば、患者の状況を知った上で一般用医薬品を使うのか、もう一度病院の医師に相談するのかが判断できるため、盛り込んでもらえるとありがたい」と要望した。

 笠貫宏座長(早稲田大学特命教授)は「スイッチOTC化を推進していく上で各ステークホルダーが連携していく環境づくりは重要」と指摘。検査情報の共有化も「スイッチ化の課題整理に向けた一つの事例になる」との見方を示した。

(2020年12月4日掲載)

【米アマゾン・ドット・コム】オンラインで処方薬注文‐有料会員には無料配送も

 米アマゾン・ドット・コムは米国時間の2020年11月17日、米国内でオンラインで処方箋薬の注文を受け付け、自宅に配送するサービスを開始した。アマゾンの有料プライム会員には無料で薬を迅速に配送し、保険未加入者に対しても割安で薬を販売する。2018年に処方薬を一包化するオンライン薬局「ピルパック」を買収しており、今回のサービスを開始することでオンライン薬局市場への本格参入を図る構えだ。

 顧客は、オンライン上のアマゾン薬局を通じて、購入可能な先発品、後発品、剤形や投与量などを確認でき、スマートフォンやウェブ上からアマゾン・ドット・コムにアクセスし、簡単に薬を注文することが可能。顧客が指定する住所に配送され、アマゾンのプライム会員は、アマゾン薬局に参加する米国内の5万以上の薬局から薬を無料で受け取ることができる。

 アマゾン薬局では、医療保険を使った場合と医療保険を使わなかった場合の自己負担額を比較できるようにし、最低価格のオプションを選択できるようにした。保険未加入者でも先発品であれば最大4割引き、後発品は最大8割引きで購入が行うことができ、ウェブからの薬購入による利便性だけではなく、薬代の節約にもつなげる。オピオイド薬など管理が必要な薬剤は取り扱っていない。

 また、ウェブ上から保険情報の追加や処方箋の管理などを簡単に行うことができ、薬についての相談はオンライン上で薬剤師が24時間年中無休で対応する。

 アマゾンは18年6月、慢性疾患に対する複数の治療薬を一包化して提供する「ピルパック」を買収。ネットで処方箋を受け付け、1回の服用分を小分けに包装して配送するオンライン薬局サービスに参入した。

(2020年11月20日掲載)



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