ニュースダイジェスト 「薬事日報」の紙面から

2021年3月1日 (月)

薬学生新聞

【厚労省】1年以上の勤務など要件‐常勤薬剤師は半数以上

 厚生労働省は1月22日、医薬品医療機器等法の薬局認定制度に関連した施行規則を改正する省令を公布した。地域連携薬局や専門医療機関連携薬局の基準では、継続して1年以上勤務している薬剤師を半数以上とすることが要件。地域連携薬局では地域の医療関係者に患者の薬剤使用情報を月平均30回以上報告・連絡を行っていること、専門医療機関連携薬局では過去1年間にわたって癌の専門的治療を提供する地域医療機関と連携していることなどを実績として示す必要がある。改正省令は8月に施行する予定。

 改正薬機法の省令では、都道府県による地域連携薬局、専門医療機関連携薬局の基準が盛り込まれた。入退院時の医療機関との情報連携や在宅医療に一元的・継続的に対応できる地域連携薬局については、薬局開設者が薬剤師に過去1年間地域包括ケアシステムの構築に資する会議に継続的に参加させ、半数以上が地域包括ケアシステムに関する研修を修了していることを求めた。

 地域の他の医療提供施設と連携する体制も基準で示した。薬剤の使用情報を地域の医療機関や薬局に報告、連絡できる体制を備え、地域の医療機関に勤務する医療関係者に過去1年間で医薬品の使用に関する情報を月平均30回以上報告・連絡を行った実績が必要とした。

 在宅医療での実績についても、居宅等での調剤、情報提供、薬学的知見に基づく指導を過去1年間で月平均2回以上実施するよう盛り込んだ。

 一方、癌に関する専門的な薬学管理で他の医療機関と連携して対応できる専門医療機関連携薬局については、癌患者の治療方針を共有するために、過去1年間で専門的な癌治療を提供する医療機関に対し、患者の医薬品使用に関する情報を連絡・報告した実績があること、医療機関で開催される会議に継続的に参加していることを要件とした。

 地域の他の薬局にも患者の薬剤使用情報の報告・連絡を行い、在庫保管する癌にかかる医薬品が必要な場合には、他の薬局経営者に提供できる体制も求めた。

 また、厚労省の基準に適合した団体によって認定された薬剤師を配置し、1年以内ごとに癌に関連した専門的な薬学的知見に基づく調剤や指導に関する研修を計画的に受ける必要があるとした。地域の他の薬局に対しては、薬剤師が癌にかかる研修を定期的に実施することとした。

(2021年1月27日掲載)

【福井県】小林化工に業務停止116日‐過去最長、製造実態黙認で

 小林化工が製造販売する抗真菌剤「イトラコナゾール錠」に睡眠導入剤が混入して健康被害が発生した事案について、福井県は2月9日、同社に対して医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、過去最長となる116日間の業務停止命令を出した。

 同社が製造販売したイトラコナゾール錠をめぐっては、服用した患者344人のうち、2月1日時点で2人の死亡例を含む221人の健康被害が報告されている。

 厚生労働省と県、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施した同社工場の立ち入り調査の結果、本来2人体制で実施するはずの原料の取り出し作業を人員不足により1人で行い、本来使用すべき原料と睡眠導入剤の原薬を取り違える製造実態が明らかになった。

 さらに、承認された手順書に反する製造実態に合わせた手順書の作成が常態化しており、取り違えた原薬を製造工程の途中で継ぎ足していた。立入検査対策として、虚偽の記録(二重帳簿)も作成していたことが分かった。品質試験結果のねつ造も行っており、異常データの検出に対する原因究明を実施していなかった。

 承認外手順書による製造は少なくとも2005年頃から行われ、経営陣も同時期から把握していた。品質試験結果のねつ造は40年以上前から行われていた。

 矢地と清間の2工場で製造された約500品目のうち、二重帳簿が作成されていたものが7割、承認外手順書に従って製造されたものが3割を占めた。

 福井県は、この製造実態が薬機法の複数の規定に反すると判断。県の基準に沿って、同社の矢地工場に116日間、清間工場に60日間の業務停止命令を出した。経営陣が法令に反する実態を把握しながら改善策を取らなかったことが最大の問題とし、16年に旧化学及血清療法研究所に出した110日間を上回り、過去最長となる厳しい処分となった。

(2021年2月12日掲載)

【日病薬】タスクシフト、先進事例を公開へ‐全国的な実施に向け後押し

 日本病院薬剤師会は近く、タスク・シフティングの先進的な事例を公開する。厚生労働省の補助金を得て昨年11月から全国の医療機関を対象に事例収集を開始した。収集事例をデータベース化して今年春頃をメドに公開するほか、収集した事例の中から先進的な好事例を抽出し、ウェブサイトやセミナーで会員に伝える計画だ。

 従来は医師等が手がけてきた業務を病院薬剤師が受け持つタスク・シフティングが全国の医療機関で実施されるよう事例周知等の事業を通じて後押しする。

 事例収集は、昨年11月から日病薬のウェブサイトで開始した。1月中旬までに報告があった事例は計49件となっている。具体的には、▽院外処方箋の問い合わせ簡素化▽癌患者の支持療法の設計や実行▽B型肝炎ウイルス再活性化を把握する検査オーダ入力――などに薬剤師が関わる事例が全国の医療機関から示された。

 事前に合意したプロトコールに基づき医師等と薬剤師が協働で行う薬物治療管理(PBPM)の方法を活用した事例が多い。医師等のタスク・シフティングを推進する上で、PBPMは現行の法規制下でも実施可能とされているが、まだ取り組む医療機関は少ない。具体的な事例を周知することで、PBPMなどに取り組む医療機関を増やしたい考え。

 今後も数年かけて継続的に事例を集め、データベース化して公開する。第1段階として、収集した事例のデータを今春頃に公開する計画だ。収集した事例の中から先進的な好事例を抽出し、ウェブサイトやセミナーで会員に周知することにも取り組む。

(2021年1月18日掲載)



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