【医学アカデミー薬学ゼミナール】臨床につなげる基礎!‐実践的思考力を身につけるには

2021年9月1日 (水)

薬学生新聞


茂木 雄輔 物理科目責任者、上田 敬太郎 化学科目責任者、石塚 博康 生物科目責任者、大内 邦弘 衛生科目責任者

 近年の薬剤師国家試験(以下、国試)では、基礎科目(物理、化学、生物)や衛生についても、臨床に直結する問題が多く出題されています。基礎的な知識が「臨床現場でどのように応用されているか」を確認しながら学修を進めていただきたいです。

物理

■領域における特徴、出題傾向

 特に実践問題において、「臨床現場を意識した問題」が多く出題される傾向にあります。医薬品の物性や臨床現場で使用される分析機器の基本を理解した上で解答する問題などがあります。興味を持って学修を進めていただきたいです。

■第106回薬剤師国家試験出題例
■出題例のポイント

 本設問は、妊娠検査薬の原理であるドライケミストリーのイムノクロマト法の知識が必要となります。臨床現場で使用する分析機器の原理をしっかり学修することが必要です。

■領域における学修方法のアドバイス

 実践問題では、特に分析化学の出題頻度が高く、その中でも画像診断、クロマトグラフィー、センサー・ドライケミストリーの出題が多いです。分析装置の測定原理や装置について、内容を理解しながら学修を進めていきましょう。

 (解答3 参考正答率28%)

化学

■領域における特徴、出題傾向

 必須や実践問題を通して「暗記」ではなく、「構造を見て判断」する問題が多く出題されています。基本的な知識の習得とともに、「知識を構造に結びつける力」を養いましょう。既出問題を解く際に、「どの知識が必要か」「何が分かれば解けるのか」を意識してください。

■第106回薬剤師国家試験出題例
■出題例のPOINT

 前問で出した追加薬(構造での出題)の受容体に対する、内因性リガンドの相互作用を構造から読み解く問題です。構造から考え得る化学的性質を判断する能力を必要とします。

■領域における学修方法のアドバイス

 有機化学は「知識の積み重ね」が重要です。特に近年は、基礎事項をしっかりと理解した上で「臨床で使用されている医薬品が化学反応とどう関わっているのか」を問う問題が散見されます。基本事項をしっかり理解し、化学反応や医薬品化学について、与えられた構造から判断できるようにしましょう。

 (解答3 参考正答率54%)

生物

■領域における特徴、出題傾向

 図や構造、実験操作などから情報を読み取り、判断することで答えを導き出す「考える力を必要とする問題」「応用力を必要とする問題」の出題が多く見られます。

■第106回薬剤師国家試験出題例
■出題例のPOINT

 前問(問220)は、薬剤師が薬剤の相互作用をもとに処方提案する実務の問題です。生物で学修するヌクレオチド代謝の基礎的な内容を構造とともに整理し、臨床現場で頻用される薬剤との相互作用を理解しましょう。

■領域における学修方法のアドバイス

 核酸の種類・構造・性質について、他科目に関連する知識を早期に修得することが大切です。その中でもヌクレオチド代謝については、出題頻度も高く、構造に関連する問題が多く出題されます。構造に関連する内容については、既出問題をベースに基礎知識の土台を固めることで学修効率が高まるため、問題演習を繰り返し行い、学修していきましょう。

 (解答2、3 参考正答率49%)

衛生

■領域における特徴、出題傾向

 衛生は、「公衆衛生のトピックスや法律の改正点が出題」されることが多いです。例えば、2025年に後期高齢者が増加する社会背景を踏まえて、第106回国試では「高齢者のウェルニッケ脳症に関する実践問題」が出題されたと考えられます。

■第106回薬剤師国家試験出題例
■出題例のPOINT

 本設問は「栄養と健康」の分野からの出題であり、リード文から「生物」でも学ぶビタミンB1欠乏症やエネルギー代謝、リフィーディング症候群の知識とつなげることが求められています。

■領域における学修方法のアドバイス

 高齢者で問題となりやすい、フレイル、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)、PEM(タンパク質・エネルギー低栄養状態)などに対応することが、薬剤師には求められています。栄養学を理解するためには、糖質・脂質・蛋白質の代謝(生物)や構造式(化学)の知識も欠かせません。早いうちから科目の壁を越えて勉強しておくと、必ず成績は伸びますよ!

 (解答1 参考正答率68%)



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