【医学アカデミー薬学ゼミナール】正答率の高い計算問題で得点を!‐薬剤師国試の計算問題対策

2022年6月15日 (水)

薬学生新聞

物理科目責任者 上赤 伸吾、薬剤科目責任者 大川 紀明、実務科目責任者 政野 敬史

 薬剤師国家試験では多くの科目で計算問題が出題されます。例年20題ほどの出題ですが、106回国試では26題と増加し、107回国試も同数出題されていました。107回国試の計算問題の正答率には図に示す通り、科目によりバラツキがありました。また、計算問題全体での平均正答率は106回国試での65.3%と比較すると難化し、107回国試では56.1%でした。これから108回国試に向けて勉強を始める方はまず、必須問題や実務問題などのように正答率の高い問題から解けるようにしていきましょう。

図

107回国試の傾向

 107回国試の科目別計算問題の傾向を示します()。「物理」では与えられた文章を考えて解答を導く問題が増え、正答率40~59%の問題が減少しました。「薬剤」では物理薬剤に比べ、薬物動態に関する問題について既出問題ベースの出題が多かったです。「実務」では散剤・液剤の計算を中心に平易な問題が多く、正答率はすべて80%以上でした。

 計算問題を得点するためには、既出問題を暗記して解くだけでなく、式や問題の内容を理解しながら学修しましょう。特に計算問題の出題が多い物理、薬剤、実務について、107回国試の具体的な出題を示します。これから108回国試に向けて計算問題の勉強を始めるための参考にしてみてください。

「物理」第107回国試 問94(参考正答率22%)

出題の特徴とアドバイス

 本設問は、イオンの半透膜透過に関する計算問題であり、問題中の文章と図および式を用いて情報を整理し、解答する力を必要とします。

 物理では、出題基準における「反応速度」「酸と塩基」「物理平衡」「容量分析」の各小項目で計算が頻出です。まずは既出問題を解くことから勉強を開始し、頻出範囲の「単位に関する基礎知識をつける」「頻出の公式を覚える」ができたら、次は、「公式の意味」など内容の理解を進めましょう(解答番号2)

「薬剤」第107回国試 問169(参考正答率74%)

出題の特徴とアドバイス

 設問文から得られる情報をもとに関連する公式を導いていきましょう。薬剤では、出題基準における「薬動学」「TDM(投与計画含む)」「製剤材料の物性」の各小項目で計算問題が頻出です。近年の国試では範囲ごとで正答率が大幅に異なり、「薬動学」「投与計画」の範囲では、合格基準に到達している受験生とそうでない受験生との間に正答率の明確な差がついています。薬剤においては、計算問題に使用する公式が多数あり、特に計算問題を苦手としている受験生では、適切な公式を導くために演習が必要です。決められた時間内で正答するために、既出問題を使って繰り返し問題演習を行いましょう(解答番号4)

「実務」第107回国試 問341(参考正答率82%)

出題の特徴とアドバイス

 実務の計算問題は、散剤・液剤・消毒薬・輸液(カロリー、mEq、Osm、NPC/Nなど)を中心に3~4題が出題されます。例年、難易度は平易から中等の場合が多く、本設問においても80%以上の受験生が正解しています。しかし、問題文中の情報を整理し、内容を正確に理解しないことには、計算式を組み立てる段階で間違うこともあります。国試の終盤で得点源となる計算問題を取りこぼさないように、普段の模擬試験から時間配分に注意するとともに、既出問題を用いて演習を行う際には、「なぜ、このような解法なのか」ということまで理解して、答えを導くよう意識しましょう(解答番号5)



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