【各業界の動向と展望をチェック!】求められる地域医療貢献~保険薬局~

2022年11月15日 (火)

薬学生新聞

 保険薬局業界は、2021年度調剤医療費が前年度比2.8%増の7兆7059億円となり、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ20年度に比べると回復の兆しを見せている。一方、患者が薬局に行く頻度はコロナ拡大前に比べると減少しており、処方の長期化を受けて、調剤後のフォローアップ強化など処方箋受付時以外の対人業務の充実が求められるようになった。厚生労働省は調剤の一部外部委託を認める方針に舵を切り、対物から対人へのシフトがより加速すると予想される。処方箋調剤のみに経営を依存する薬局は厳しい局面に立たされる。在宅医療や健康サポート機能、災害対応など地域医療への貢献が、今後の薬局の評価指標となりそうだ。

 薬局の経営環境はコロナ拡大の影響で落ち込んだ一時期から脱しつつある。21年度調剤医療費のうち薬剤師の業務に対する技術料は2兆0103億円と2兆円を突破し、技術料全体のうち対人業務を評価する「薬学管理料」も3年ぶりに増加に転じた。

 ただ、コロナ拡大による受診抑制等の影響が小さかった19年度と比べると、調剤医療費の伸び率は横ばいで処方の長期化が進んだ。

 処方箋獲得をめぐる薬局間の競争は激しい。国内には約6万1000の薬局、約19万人の薬剤師が従事し、人口当たりの薬剤師数はOECD加盟国の中で最も多く、飽和状態となっている。薬局での処方箋受取率は約76%に達するなど、院外発行は頭打ちだ。

 さらに、在宅医療で多職種と連携を図り地域医療を担う一員としての役割や、オンライン資格確認等システムを通じた各種医療情報の共有、電子処方箋の導入、オンライン診療、服薬指導のルール整備など薬剤師を取り巻く環境は大きく変化している。

 こうした状況を受け、厚労省の作業部会は、今後の薬局薬剤師の業務や薬局の機能のあり方、それを実現するための方策をアクションプランとしてとりまとめた。

 医薬品医療機器等法では認められていない調剤の一部外部委託を認めたのが大きな柱。対物業務の効率化を図り、対人業務に注力できるようにするため、一包化業務に限り調剤の外部委託を可能とする対応方針を示し、委託先は同一法人内に限定しない方針を打ち出した。委託元と委託先の関係で距離制限を設けない場合は、委託先の集約化や大規模化が進むと考えられるため、当面の間は委託先を3次医療圏内(都道府県)に限定することとなった。

 患者の医療安全を担保する仕組みを最優先にするとの考えから、業務の委託範囲を限定した形でスタートすることとしたが、効果や影響等の検証後には見直しを行うとしている。調剤の外部委託についてはさらなる規制緩和策がとられる可能性もある。

 対物業務の効率化を通じて対人業務に注力する環境整備が進むと、処方箋対応に偏重した薬局は淘汰され、患者に寄り添い地域への貢献を果たした薬局が評価されていくだろう。“門前から地域”への大きな流れを受け、健康サポート機能や在宅業務、災害への有事対応などの機能が求められ、多職種間連携や薬局間連携も必要になる。保険薬局業界を志望する薬学生は、薬剤師としてどうすれば地域に貢献できるのか、どの薬局であれば必要な経験を積めるのかを考え、薬局探しをしてもらいたい。



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