【医学アカデミー薬学ゼミナール】第109回薬剤師国家試験合格に向けて

2023年4月15日 (土)

薬学生新聞

学校法人医学アカデミー薬学ゼミナール学長
木暮 喜久子

木暮喜久子氏

 2023年2月18、19日に第108回薬剤師国家試験(国試)が実施されました。コロナ禍で頑張って学生生活を送り薬剤師となった方々が、医療人として素晴らしい活躍をしてくださると確信しています。第109回国試を受験される皆さんも感染に注意し、予防しながら国試対策を進めてください。

 第108回国試の難易度は、第107回と比較してやや平易でしたが、合格ラインは6年制国試始まって以来の高さでした。基本的な問題や既出問題を理解し、学修していれば正答できる問題もありました。また、五肢択一の問題も例年より多かったように思います。

 しかし、すべての科目で臨床につながる問題が多く出題され、臨床現場で求められる適切な情報を取捨選択し、判断する能力を問う問題や他の職種と連携して行うチーム医療での実践力を問う問題など「考えて選ぶ」良問が多かったと思います。

 2月28日に文部科学省は、医学・歯学・薬学教育の一部を共通化した令和4年度改訂の「薬学教育モデル・コア・カリキュラム」を公表しました。この改訂コアカリ(R4)は24年度の新入生から導入されますが、第108回国試には既にチーム医療・多職種連携に関する問題など、この方針を反映した問題が多く出題されました。また「臨床薬学」の項目で学ぶ、薬物治療の個別最適化を問う問題も多く出題されました。実務実習で体験してほしい「代表的な8疾患」では、継続して出題の多い癌や感染症以外に、第107回から循環器系疾患(心疾患と高血圧)の出題も増えています。第109回も臨床を意識した出題は多くなると思われます。

第108回国試の結果

 総合格率69.00%は、近年で最も高かった第107回(68.02%)をわずかに上回る結果でした(表1)。6年制新卒の合格率は84.86%(合格者数7254人)で、第107回(85.24%)、第106回(85.55%)と比較すると若干低下しましたがほぼ同程度、第106回(41.29%)、第107回(40.75%)と低下し続けていた6年制既卒の合格率は44.05%(合格者数2267人)と上昇しました。

 第108回の合格ラインは、全問題の得点が345点換算で235点となり、6年制国試で最も高得点となりました。また、禁忌肢選択数は「2問以下」でしたが、薬ゼミの分析によると第108回の合格者数に禁忌肢による大きな影響はなかったと思われます。また、必須問題での足切りも影響は少なかったと思われます。

薬ゼミ自己採点システムによる分析

 薬ゼミの自己採点システムは、第108回国試受験者総数1万3915人中の1万2015人が登録しています。同システムの分析から、正答率が60%を超える問題数が、第106回は225題、第107回は229題でしたが、第108回では266題と増加しています。このことから、しっかりと得点できる問題をおさえることが大切であることがわかります。

 第108回の合計平均点は、第106回、第107回に比べて大きく上昇しています。必須問題は第107回よりわずかに上がり、理論問題と実践問題は第107回より大きく上昇しています(表2

 第108回の領域別正答率(表3)では、例年通り難易度の高い理論問題の「物理・化学・生物」「薬剤」、実践問題では「物理・化学・生物」において、正答率が継続して60%を下回っています。

 新卒者の合格率は既卒者より高いことから、6年生の皆さんは新卒での合格を目指して早く国試対策をスタートさせてください。国試合格には各科目の知識をつなげた学修が必須で、科目リンクができる参考書の活用が重要です。受験生の約95%が使用している薬剤師国家試験対策参考書「青本」は昨年度より薬理と病態・薬物治療を複合的に学べる本としてリニューアルし、多科目にリンクしやすくなっていて科目の知識をつなげやすいと好評です。

第109回国試に向けた概略と対策

 第109回の合格を目指すためにまず、最近の問題を中心に既出問題を7年程度、暗記ではなく周辺知識も含めて学修しましょう。第108回国試にも反映された改訂コアカリ(R4)を踏まえて開催される講習会、講座、教材などを選択して学修しましょう。第109回国試対応「青本」の実務には、第108回で多く出題された「個別最適化」の項目が新たに加わっています。是非参考にしてください。

 「必須問題」は、医療の担い手である薬剤師として特に必要不可欠な基本的資質を確認する問題であり、共用試験のCBT試験と同様の五肢択一の問題です。一般問題に比べて比較的正答率が高い問題が多く得点源となります。80~90%の得点率を目指して勉強してください。第108回でも必須問題は9割(81点)が正答率60%以上の得点しやすい問題でした。必須問題の中では「物理」の正答率は53.8%と最も低くなりました。ただし、生物は「物理・化学・生物」として区分されるため、足きりに該当する受験者は少ないと予想されます。

 「理論問題」は、6年間で学んだ薬学理論に基づいた内容の問題であり、難易度は必須問題より高く、第107回、106回でも難易度の高い問題が多く出題されていました。第108回の「生物」では、第107回より正答率低下、「化学」「法規・制度・倫理」で第107回とほぼ同程度、それ以外の科目では正答率が増加しています。また、理論問題でも連問が出題され、第108回では、糖化反応に関する問題が糖尿病の検査に用いられるHbA1cを取り上げて、「化学」「生物」「衛生」の3連問で出題され、「薬理」と「病態・薬物治療」の連問はどちらも循環器系疾患の内容として2題出題されました。このように科目間の知識を必要とする出題傾向は第109回以降でも変わらず続くことが予想されます。各科目で学修した知識を医療・臨床につなげ、総合的な能力を発揮できるように学修を進めましょう。

 「実践問題」は、「実務」のみの単問と「実務」とそれ以外の科目とを関連させた連問形式の「複合問題」からなっています。「複合問題(基本は2連問)」は、症例や事例、処方箋を挙げて臨床の現場で薬剤師が直面する問題を解釈・解決するための資質を問う問題で、実践力・総合力を確認する出題です。第109回に向けて、実務実習を思い出しながら、基礎も含めた各科目の知識を医療につなげる学修を行いましょう。

 変化する社会情勢の中で、薬剤師に求められることも出題頻度が増加しています。第108回では、少子化対策をふまえ、母子感染や出産、授乳への薬物の影響についても5題出題されています。また、セルフメディケーション推進に関われるよう、一般用医薬品についての出題も増加しています。次回以降の国試でもこの傾向は続くことが予想されます。社会や環境の変化を見逃さず、話題になっていることの理由や対策に興味を持てるようにしましょう。

科目別の国試対策

 「物理」では、必須対策として、既出問題の周辺知識も確認しながら、図や式を読み取る問題の練習をしましょう。臨床現場で使用する製剤の物理的な要因、臨床検査の分析技術の原理(ドライケミストリー等)などを理解し、実践問題につなげましょう。また、第108回で出題の多かった放射性医薬品や画像診断、使用する診断薬についても臨床につながるキーワードになります。

 「化学」では、必須対策として、立体化学、無機化学、生薬などの構造を理解し基礎的な内容を習得しましょう。医薬品や生体分子の構造から化学的特徴や性質を読み解けるようにすれば、理論対策につながります。また、医薬品や生体成分の構造を理解し、相互作用や代謝に応用できれば実践対策になります。

 「生物」では、実験考察問題、図表、構造などを用いた問題が多く出題されます。模擬試験などを活用して、より多くの例題に取り組み、情報を読み取る力を養いましょう。第108回では骨の模式図を見て、褥瘡の好発部位となる仙骨を解答する問題が出題されています。疾患とつなげた解剖生理を学修しましょう。また、実践対策としては脂質代謝、ウイルスの分類や構造について確認しておきましょう。

 「衛生」では、必須は幅広い範囲から基本的な事項が出題されています。苦手範囲を作らないよう学修しましょう。理論ではグラフ、表、構造式など思考力を問う問題が多く出題されています。既出問題や模擬試験を活用して思考力を養いましょう。疾病予防や学校薬剤師など薬剤師に対応が求められている事項や中毒時の解毒薬、感染性廃棄物などは実践問題での出題が予想されます。

 「薬理」では、必須対策として出題頻度の高い薬物の作用機序を解答できるようにしましょう。出題基準から満遍なく出題されています。理論や実践対策としては、臨床上重要な薬物が出題されています。特に実践では個々の患者の情報を把握し、個々の患者に適切な薬物治療を提案する問題(個別最適化)が出題されます。薬物治療や実務の知識とつなげられるようにしましょう。

 「病態・薬物治療」では、必須では、一般的な疾患からの出題が多いため、既出問題をベースに学修しましょう。理論・実践では、代表的8疾患から多く出題されています。特に、実践では複数の疾患がある患者や検査値から状態を把握し、治療法を選択する問題(個別最適化)が出題されていますので、患者情報(症候、検査値など)から必要な情報を選択できるようにしましょう。

 「薬剤」では、薬物動態学、物理薬剤学と製剤学に分けて対策をしましょう。薬物動態学、物理薬剤学では、グラフ・図・計算が内容理解を必要とする問題として出題されています。既出問題を理解する学修を行いましょう。製剤学の範囲は新傾向が多く、臨床で用いられている製剤の認識が必要になります。実務実習で触れた新しい使い方の製剤について、思い出せるようにしましょう。

 「法規・制度・倫理」では、薬剤師としての業務を遂行するために必要な法的知識や臨床現場での行動等の適正性を問う内容が出題されています。プロフェッショナリズムとして、薬剤師に必要な倫理観(研究倫理、医療・生命倫理など)に加えて、薬学の歴史や展望も出題が予想されます。また、地域包括ケアシステム、後発医薬品の使用促進、ポリファーマシー対策など薬剤師が関わる国の施策についても実践を含めて出題が予想されますので、薬剤師を取り巻く環境の変化にも敏感になっておきましょう。

 「実務」では、衛生、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理等、多科目で学ぶ範囲の出題や、医師に治療薬や治療法を提案する内容が出題されています。苦手科目を作らずに、患者情報(既往歴、症候、検査値、処方内容等)からその患者を導く総合力を養っていきましょう。抗悪性腫瘍薬を中心に副作用、抗菌薬の適正使用などの感染症については、複合問題の実務として出題が予想されます。



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