新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。上級生の皆さんも進級おめでとうございます。4月からの生活に、期待や不安などさまざまな感情を抱いていることでしょう。今回、日本薬学生連盟広報部は薬学生11人(2~6年生)にアンケートを行いました。皆さんの今後の学生生活の参考になれば幸いです(2023年度同連盟広報統括理事、慶應義塾大学薬学部4年生 杉林澪)
コロナの影響受けた学生生活
まず、「これまでの学生生活で大変だったことは何ですか」と質問したところ、どの学生も学業に関する回答が見られました。低学年では定期テストに向けた勉強や実習のレポートが大変であることが分かりました。5年生頃から授業に関することに加え、就職活動や卒業研究が大変だったという回答が見られました。
学業面以外には、コロナ禍の影響も見られました。4年生以下は新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が流行した後に大学に入学し、不自由な学生生活を強いられました。「入学直前にCovid-19が流行しはじめたことで、大学に一度も通えないままオンライン授業が始まった。それにより、友人ができず心細かった」という回答があり、コロナ禍の影響で、入学前に期待していたものとは違う学生生活になってしまったことがうかがえます。
進路選択の助けになる授業も
次に、「これまでで最も面白かった授業は何ですか」と質問したところ、生薬学や有機化学といった化学系の授業が面白かったといった回答が多数を占めました。その他、薬理学や製剤学といった回答も見られました。
どの科目にも共通する理由として、「薬の構造について学ぶことができた」「他の科目とつながる感覚がつかめ、幅広い領域を扱う薬学の世界を俯瞰することができた」などの声が挙がりました。特に生薬学が面白かった理由として、味見をして生薬に生で触れた経験が挙がりました。中には「構造式ばかり出てきて内容を理解できなかったが、むしろそれが面白かった」といった学問の奥深さを感じさせる回答もありました。また、有機化学については「反応機構や命名法の学習が楽しかった」といった高校での学びが深まったことを感じさせるような回答も見られました。
薬学とは直接関係のない科目も挙がりました。キャリア形成の授業では「薬剤師の資格だけでは将来仕事がなくなってしまうことや、薬剤師の資格を生かせる仕事を学ぶことができた」という意見があり、自分自身のキャリアを形成する上で参考になる、有意義な授業であったと考えられます。
アルバイトは週に数回が大半
次に、「アルバイトをしていますか」という質問をしたところ、全学生が「している」もしくは「していた」と答えました(図1)。そこで、「週に何回ほどやっていますか」と質問したところ、多くの学生が週に1~4回ほどやっているという結果になりました(図2)
テスト期間に入る前に休みをもらいながら学業との両立を図る学生や、複数のアルバイトを掛け持ちする学生も見られました。また、学期中はアルバイトをせず、長期休暇中にアルバイトをする学生もいることが分かりました。
アルバイトの業種についても調査したところ、飲食店や塾講師を中心に、ドラッグストア、医療事務などの薬学生らしいものも挙がりました。その他、ワクチン接種会場といったコロナ禍の時代を反映したアルバイトを経験した学生もいました。
「いつ頃まで続けたいですか(いつまで続けていましたか)」と質問したところ、多くの学生が「6年生まで」と答えました(図3)
このことから、在学中はなるべく長い期間、アルバイトに取り組みたいと考えていることが分かります。特に6年生までは続けたいと答えた学生については、「卒業直前まで」「国家試験前まで」「夏頃まで」など、アルバイトを辞めたいと考えている時期は様々でした。
就職活動は5年生頃から
「いつ頃から就職活動を始めましたか(始めたいですか)」と質問したところ、半数以上の学生が5年生以降に意識し始めると回答しました(図4)
1~3年生から就職活動を始めた学生については、「合同説明会への参加」や「実際に現場で活躍している薬剤師に話を聞く」ことで自分自身の将来像を明確化していたと回答しました。
「進路選択のきっかけになったことは何だと思いますか」と質問したところ、「課外活動」や「実務実習」「授業」といった回答が挙がりました。このことから、学生生活を送る中で自然と進路が固まっていく人が多いことがうかがえます。
おわりに
今回の調査を通し、多くの学生が学業とアルバイトなどを両立しながら学生生活を送っていることが分かりました。その中で、自分自身の興味や適性を見いだし、進路選択につなげていくことがうかがえました。新入生の皆さんも在学生の皆さんも、今後の大学生活をイメージするのにこの記事を役立てていただければ幸いです。