【国試予備校の現場から】ドクさんのメッセージ

2023年6月15日 (木)

薬学生新聞

メディセレスクール社長
児島 惠美子

児島惠美子氏

 こんにちは。メディセレのしゃっちょう児島惠美子です。新型コロナウイルス感染症の5類移行を経ても、地震や大雨で明るい兆しが見えにくい世の中です。

 私は2008年からカンボジアやベトナムの医療支援活動に取り組んできました。その中で、ベトナム戦争の枯葉剤の影響で下半身がくっついて生まれた結合双生児「ベトちゃんドクちゃん」のドクさんと知り合いました。

 分離手術後、兄のベトさんは残念ながら26歳で亡くなってしまいましたが、ドクさんは結婚し双子の子どもをもうけました。40歳を迎えるにあたってドクさんから「いつ死ぬかわからないので、僕の半生を絵本にしてほしい」と依頼され、21年に日本画家と協力して絵本を出版しました。「ぼくのお父さんはドクちゃん」という、ドクさんの子どもの視点から半生を語った絵本です。

来日しメディセレに来てくれたドクさん

来日しメディセレに来てくれたドクさん

 このほど6年ぶりに来日したドクさんが、メディセレに来てくれました。「僕について書かれた本は多いが、この絵本が一番伝えたいことを書いてくれている」と言ってくれてホッとしました。

 ドクさんは現在、分離手術を受けたベトナムのツーズー病院の医療事務として働いています。新型コロナウイルス感染症の流行で、病院は本当に大変だったそうです。ドクさんは身体が弱いため、ワクチンを4回打ったのに、2回も感染してしまったそうです。私と話をしていて都合が悪くなると「コロナのせいで記憶がなくなってしまったよ!」と冗談を言っていました。

 激動の人生を歩んできたドクさん。メディセレスクール生に向けて「勉強して、僕みたいな身体の弱い者を助けてくれると嬉しい」と激励の言葉をくれました。「僕のような戦争被害者を作らないでほしい」とも言っていました。この言葉を胸に、薬学から社会を明るくしていければ良いと思います。



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