ニュースダイジェスト 「薬事日報」の紙面から

2023年6月15日 (木)

薬学生新聞

【財政審】高額薬収載は費用対評価で‐薬剤師がリフィル切替提案

 財政制度等審議会は5月29日、政府が策定する骨太の方針などに向けた建議をまとめ、鈴木俊一財務相に手渡した。高額医薬品については、保険財政に与える影響から「早急な対応が必要」と強調。諸外国と同様に費用対効果評価を行った上で保険対象の可否を判断するよう求め、医薬品の有用性が低い薬剤は患者自己負担を増やすとの方向性を示した。一方、リフィル処方箋の普及促進に向けては、薬剤師がリフィル処方箋への切替について処方医に提案することを評価する仕組みも要求した。

 薬価改定については、改定率はマイナスとなっている一方、薬剤使用量の増加や新規医薬品の保険収載により薬剤費総額は拡大傾向とし、さらなる薬剤費の増加が見込まれるとした。

 その上で、単価が高額な医薬品の収載が増えていることを背景に、「保険給付が現状のままでは保険料や国庫負担の増大が避けられない」とし、高額医薬品の保険収載については費用対効果評価で可否を決定するよう言及。

 一方で高額な医薬品で有用性が低い薬剤は自己負担を増やすか、薬剤費の一定額までは自己負担とする方向性を提示した。

 薬剤費については、中長期的に持続可能、負担可能なものにしていくために、総額自体を日本の経済規模の推移と整合を取ることに「一定の合理性がある」とした。民間団体から具体的な提案が出ていることを踏まえ、「関係者で建設的な議論が進展することを期待したい」との文言を盛り込んだ。

 製薬業界に対しては、世界大手メーカーとの売上高の差やワクチン開発で海外メーカーに遅れを取ったことを教訓とし、競争力強化を促した。後発品の安定供給については少量多品種生産構造となっている産業構造の課題解消を求めた。

 一方、リフィル処方箋の普及促進に向けては、医療費効率化効果が年間50億円程度にとどまる現状から、積極的な取り組みを行う保険者をインセンティブ措置により評価するよう提言。さらに薬剤師がリフィル処方箋への切り替えを処方医に提案することを評価する仕組みや、OTC類似薬については薬剤師の判断でリフィルに切り替えることを認めることなどを検討するよう迫った。リフィル処方箋による適正化効果が未達成であれば、年末の診療報酬改定でその分を差し引くことも検討すべきと提言した。

 薬局に対しては、門前・敷地内に立地する薬局が大半で、総薬剤師数が増えているのに対し、薬剤師1人当たりの技術料水準は維持されていると指摘。対人業務へのシフトを進める中、多剤・重複投薬にかかる患者や医師との調整を評価する調剤報酬は「極めて少ない算定回数」と断じたほか、対人業務の評価体系の見直しも「既存点数の一部を表面上整理したことにとどまる」とさらなる適正化の必要性を示唆した。

(2023年5月31日掲載)

【規制改革推進会議】訪看STの配置薬剤拡大‐薬局で24時間対応急務に

 政府の規制改革推進会議は6月1日に答申を取りまとめ、在宅医療分野では、訪問看護ステーション(ST)で取り扱い可能な薬剤の対象拡大について、遅くとも2024年度中に結論を得ることを明記した。24時間対応可能な薬局が存在しない地域を対象としており、薬局側の体制整備が進まなければ全国各地で規制緩和が進む可能性もある。在宅患者への適切な薬剤提供をどう実現していくかが重要な課題となりそうだ。

 答申は88項目で構成され、医療関係職種間のタスクシフト/シェア関連項目として、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供」を盛り込んだ。

 訪問看護STに配置可能な薬剤の対象拡大は、在宅業務に取り組む薬局の対応や、薬剤師、看護師などの現場ニーズを聞いた上で結論を得ることとなった。提案する日本看護協会の主張によると、在宅現場で患者急変の際には、看護師が訪問看護STから薬局まで、場合によっては24時間営業の薬局まで医師の指示に基づく薬剤を入手しなければならず、即時対応が困難となる事例があるという。

 そこで同会議は、夜間・休日を中心に、在宅患者が必要な薬剤を得られていない実態を踏まえ、現場の医師、薬剤師、看護師、患者を対象に、課題の有無、課題が発生している地域や頻度を今年度から調査し、24年度に結論を得るとした。

 薬局の24時間対応についても実態を把握する。地域連携薬局は24時間対応を認定要件の一つとしている反面、実際には夜間・休日に対応していないとの指摘がある。そのため、必要に応じて実態調査を行い、24時間対応が可能となるよう輪番制の導入や対応薬局の公表などについて、今年度中に結論を得る。

 24時間対応可能な薬局が存在しない地域では、薬剤師や看護師等に課題把握を目的とした調査を行った上で、訪問看護STに必要な薬剤(最低限の数量に限定)を配置することについて、今年度から検討を始めて遅くとも24年度中に結論を得ることとした。

 訪問看護STにおける配置薬剤の拡大をめぐって、日本薬剤師会は反対姿勢を示している。日看協が指摘している在宅患者に薬が届けられていないとの指摘に対しては、「医療関係職種間の連携不足が原因」とし、関係者間で連携を図ることで在宅患者への適切な薬剤提供につながると主張してきた。

(2023年6月5日掲載)

調剤外部委託を特区で提案‐コンソーシアムに27社参加

 調剤業務の一部外部委託の運用方法等を検証する「薬局DX推進コンソーシアム」が6月1日に発足した。アインファーマシーズやウエルシア薬局など27社が名を連ね、狹間研至氏(ファルメディコ社長)が理事長に就いた。今月下旬に国家戦略特区事業として、調剤業務の一部外部委託の実施を内閣府に再提案する計画。大阪府による特区申請や国家戦略特区の許可を経て、早ければ今秋ごろに開始したい考えだ。

 コンソーシアムは、3段階のフェーズで外部委託の運用を検証する構想で、実施地域は大阪市内に限定する。第1フェーズでファルメディコの薬局間において一包化業務の委受託を実施し、具体的な運用方法を素案にまとめる。素案をもとに、第2フェーズでファルメディコと会員企業の薬局間で運用した時の安全性や有効性などを検証する。会員企業の同一法人内の薬局間でも実施する。最終段階となる第3フェーズでは会員企業の異なる法人の薬局間で委受託を実施する。

 各フェーズの実施期間はそれぞれ約2カ月を見込み、最短で2024年3月までに第3フェーズを終える計画だ。

 実施に当たって、コンソーシアム内に▽安全性検討委員会▽有効性検討委員会▽経済性検討委員会――を設ける。各委員会で検討し、医薬品配送のスキーム、監査の方法論や責任の基準、委受託の価格のあり方、採算性などをまとめる。

 コンソーシアムには、正会員としてアインファーマシーズ、日本調剤、ウエルシア薬局、スギ薬局、クオールなど薬局を経営する22社、準会員としてアルフレッサ、トーショー、ユヤマなど5社が参加した。国家戦略特区の事業を終えるまで活動を続ける。

 ファルメディコは3月、単独で調剤業務の一部外部委託を国家戦略特区で実施することを内閣府に提案した。兵庫県と大阪府の自社薬局間で実施する内容だったため、厚生労働省から同一3次医療圏での実施が必要との回答があった。これを受けて、複数企業によるコンソーシアムで、実施エリアを大阪市内に限定し、再提案する方針に切り替えた。

 狹間氏は、6月1日に大阪市内で開いた設立総会で「約6万軒の薬局で品質を担保しながら調剤している。外部委託を意義のある制度にするならば、それに劣らない非劣性を示していくことが重要になる」と強調した。

(2023年6月5日掲載)

【厚労省検討会議】緊急避妊薬に試験販売案‐一部薬局で先行的に検討

 厚生労働省は5月12日、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開き、緊急避妊薬「ノボノルゲストレル」のスイッチOTC化に関するパブリックコメントを踏まえた対応策を議論した。購入者の背景などデータ収集を行った上で検証することが必要として、全国の一部薬局でOTC販売の試験的運用を開始するよう求める提案が構成員から上がった。

 同剤をめぐっては、昨年12月から約1カ月間にわたり厚労省がOTC化に関する意見を募集。寄せられた意見4万6312件のうち、賛成が4万5314件、反対が412件と、賛成意見が反対意見の100倍以上を占める結果となった。

 具体的には、「一部地域での試験的運用を前提に18歳以上は誰でも購入できるようにすべき」などのコメントが見られた。

 パブコメ内容を踏まえ、堀恵構成員(ささえあい医療人権センターCOML)は「全ての対応策を講じるには時間がかかるし、慎重に進める必要もある。早急に一部地域における試験的運用をスタートさせ、購入者の背景、安全性・有効性等に関するデータを収集・分析することで同剤をどのように販売するか重要な判断要素となる」と提案。

 医師、薬剤師構成員を中心に堀氏の提案に賛同する声が相次いだ一方、佐藤好美構成員(産経新聞社論説委員)は「一部地域の薬局ではなく、地域の一部薬局で実施する方が適切だ。地域内で数カ所アクセスできる薬局を確保すべき」と訴えた。

 宗林さおり構成員(岐阜医療科学大学薬学部教授)も「薬剤師の研修がどれほど必要か、どんな場合に産婦人科医につなげるかなどを決めた上で、薬局数を絞りながら全国で幅広に運用する方が良い」と同調した。

 試験的運用の提案に対して、吉田易範医薬品審査管理課長は「効果的だが、現在は処方箋を持参した人にしか同剤を提供できないので、法的な根拠や妥当性も検討する必要がある。薬剤師の責任問題が発生する可能性もあるので、実施の可否も含めて早急に整理したい」と回答した。

(2023年5月15日掲載)



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