【薬学生 キャリア相談Q&A】他学部に転部するか悩んでいます

2023年6月15日 (木)

薬学生新聞

キャリア・ポジション代表取締役
西鶴 智香

西鶴智香氏

Q

 今年4月に薬学部に入学した大学1年生です。本命の大学に落ちて、今の大学は滑り止めに受けた大学です。それもあるのですが、薬学部に入って気づいたのは、薬剤師になるための科目が多く、自分はまだ薬剤師になると決めたわけではないので、この大学を選択してよかったのか悩んでいます。転部するなら早い方がいいでしょうか?

A

 この時期、新入生の相談で一番多いのが、「本命に落ちて今の大学に入学。浪人し再受験するかどうか未だに迷っている」という相談です。薬学部に限らず、他の学部の学生でも同じように迷う方はいるのですが、特に薬学部は6年間通うわけですから、ご本人の迷いは大きいと想像できます。

 薬学部は2006年から6年制になりました。4年制の時代には、製薬企業や化学関連企業、また薬関連以外の企業に就職する方もいました。大学側も特段、薬剤師育成に注力していたわけでもなかったので、そういう就職を選択する学生が多かったのだと思います。医薬分業率が高まり薬局薬剤師の需要が増えたことや、チーム医療の始まりで病院薬剤師も今まで以上に臨床の知識が求められ始めたことなどが背景にあり、医療人として働く心構えや高い志を持った薬剤師を育成するために6年制が始まりました。

 そういう目的からすれば、薬剤師になるつもりはないのであれば、他学部に転部する選択肢はアリだと思います。薬学部6年制を卒業し、例えば化粧品企業や食品企業などを志望する学生もいるのですが、そういった業界は大変人気で、4年制卒の工学部や農学部の学生がたくさん応募し、狙っています。面接対策も十分に練っており、そこで選ばれなければなりません。今、医療人への興味が全くないのであれば、早期の決断は悪くないと思います。

 ただし、きちんと親と話し合い、承諾を得ることが大事ですね。高い受験料も入学金もおそらく親が出してくれたのだと思います。転部するなら、「自分は○○の仕事をしたいから、薬学部では学べないと気づいた」「医療人になりたいわけではない」としっかり伝えなければ、「何となく迷っている」では賛成してもらえないと思います。

 それから、薬学部6年制を出て一般企業に就職する学生もいるので、そこも知っておきましょう。最近ではゲーム会社やIT企業、コンサル企業に就職する学生もいます。またこういった専門出版社の記者や編集者になる薬学生もいるのです。薬学部では高学年次に医療機関での実習などもありますが、それでも上記のような就職先を選ぶ学生もいるので、あまり早急に結論を出さなくてもいいのではとも思います。「何となく迷っている」が、はっきりと「他学部でもっと○○領域を集中して学びたい」という考えになるならば、その時は転部という選択もあっていいのではないかと思います。



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