薬剤師国家試験では、多くの科目で計算問題が出題されます。計算問題は、106回国試26題、107回国試26題、108回国試25題と最近3年間は、それまでの回と比較して増加傾向です。図に示す通り、108回国試の計算問題の正答率には、科目によりバラツキがあります。108回国試では全体的に正答率の高い問題が多く出題されており、計算問題の平均正答率も107回国試の56.1％と比較して、108回国試は67.0％と高い傾向にありました。国試で計算問題を取りこぼさないためには、正答率が高い問題を確実に得点することが大切です。これから109回国試に向けて勉強を始める方は、学修の優先順位として、既出問題の中で正答率の高かった問題から解法を確認しましょう。
108回国試の科目別計算問題の傾向を示します。物理は、酸と塩基などの頻出範囲から新傾向問題まで幅広く出題されています。薬剤は、Michaelis-Menten式など公式を使って解答を導く問題が出題されています。実務は、投与量の計算を中心に正答率80％以上の平易な問題が多い傾向にあります。
計算問題を克服するためには、既出問題を暗記して解くだけでなく、式や問題の内容を理解しながら学修しましょう。特に計算問題の出題が多い物理、薬剤、実務について、薬ゼミの科目責任者が108回国試の具体的な出題について解説します。109回国試に向けて計算問題の勉強を始める前に確認してみてください。
科目名：物理
108回国試計算問題 問95
物理の計算問題は例年4題ほど出題されます。計算問題は国試の合格者と不合格者の正答率差が大きく、合否に影響します。頻出範囲としては、「束一的性質」「酸と塩基」「反応速度」が挙げられ、一部新傾向の問題も出題されます。計算問題の演習を行う際は、解法の三つのプロセスとして、[1]使う公式を思い出す[2]指数対数の計算[3]単位変換――を意識してください。これらのプロセスを意識して演習を繰り返し、自分の力で解説の再現ができることを目標に学修してみましょう（問95 参考正答率60％、解答番号3）
科目名：薬剤
108回国試計算問題 問267
薬剤では、出題基準における「薬動学」「TDM（投与計画含む）」「製剤材料の物性」の各小項目で計算問題が頻出です。近年の国試では、特に「薬動学」「TDM（投与計画含む）」の範囲で、合格基準に到達している受験生とそうでない受験生との間に正答率の明確な差がついています。また薬剤では、計算問題に使用する公式が多数あります。複数の公式を組み合わせて解くような問題も出題されますが、本設問のように、使用する公式が一つのみの問題も出題され、正答率は高い傾向にあります。正答率が高い問題を確実に得点できるように、まずは公式をしっかり覚えましょう。次に、覚えた公式を使いこなせるように既出問題や模試問題などを活用して演習を行いましょう。最後に、国試では決められた時間内に正答を導き出す必要があるため、問題演習を反復して定着させていきましょう（問267 参考正答率77％、解答番号4）
科目名：実務
108回国試計算問題 問337
実務の計算問題は、散剤、液剤、消毒薬、注射剤、輸液に関する内容を中心に出題されます。例年、難易度は平易から中等の場合が多く、本設問においても90％の受験生が正解しています。既出問題において、抗がん剤の投与量計算は出題数として多くはありませんが、問題文中の情報を整理し、組み立てることで解答を導くことができます。初めて見るパターンの問題でも、解答として何が求められているかを考え、そこから逆算して必要な情報を問題文から見つけることで解法が見えてきます。国試対策として、既出問題を用いた演習を行う際にも、解法の流れを理解して、答えを導くよう意識しましょう（問337 参考正答率90％、解答番号2）
LINEから無料で過去問解説
薬学ゼミナールの公式LINEアカウントから、今回紹介した108回国試問題を含め、薬ゼミオンライン教室で無料公開している「過去問解説動画（101～108回）」を視聴できます。問題の解説も見て、より詳しく勉強したい方は、自分で一度問題を解いてみてから解説動画も覗いてください。薬ゼミオンライン教室で直接の視聴も可能です。
＜LINEの使い方＞
薬ゼミLINEで「108-267」「108 267」のように記入して、送信してください。
薬ゼミLINEURL
https://liff.line.me/1656872021-gB4GGQbK/d1d91698df194e68a1625e4abb11509b
